見出し画像

山手線でゆく季節

冬から春にかけて
凝り固まりつつある心
今年もこの季節が窓を飾り
巡り周る…私が人として存在する限り
もうそろそろ脱線してもいい?
輪状の路線道は気が遠くなる
何度も何度も
こんなに苦いのを味わうのに
なんで胃に穴が空かない?
「いちぬけた」が言えればどんなにいいか
無理なのは
私が既に敷かれた線路と組み合っていて
その上を滑るのがさだめだから

あー……
横から誰か突撃でもしてくれないかなぁ
もしくは内部に時限爆弾を設置してくれれば
なんて軽くぼやいてみたんだけど
それすら誰かにとっては不快な呟き

四方の景色は昨日と同じ
なにも変わらないよ
私はまだめそめそしているよ
四方の景色は昨年と同じ
建物ひとつ建っちゃいない
見渡しても見渡しても
ここがひどく寂しい場所なんだって
思い知らされるだけ
耳を澄ましても澄ましても
ここに響く自分の
不安定で荒々しい呼吸のほかは
なにも聞こえない

吊り革が激しく揺れるのも
車体が斜めに傾くのも
珍しくもなんともない
今はもう一人も乗り込まないで
力尽きるまで回送するから

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?