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紺碧の湖

雷に打たれて
枯れてなお 力放つ 杉
物言いたげにかがんだ姿勢
ぼくを じっと見てる

ごめんなさい あなたの言葉は
この荒んだ胸にうまく響くかわからないから
今は遠慮します

ぼくは下を向いたまま
日々の憂いを 口にしてみる
土に浸みこむ…

泣きながら 赴く先は
紺碧の湖
静寂を湛えた水面に そっと
指先浸し 心なだめる

ひび割れた轍
引き返した跡はどこにもなく
湖の底へと続いている
泥にまみれた器

鬼に追われて来たの?それとも
重い荷を捨てに来たの?
凍りきれない意識の群れが
震え 漣がたつ

ぼくは下を向いたまま
いのちの讃歌 鼻歌にする
空に拡がる…

泣きながら 赴く先は
騒然たる我が町
激しく揺れる吊り革 並び
窓に重なる幾つもの顔ににじむ疲れは
課されている 務め

帰るべき場所へ
戻るべき持ち場へ
かえりましょう もどりましょう

※『紺碧の湖』は YouTube「mi苗」のチャンネルで歌(曲)になっています。

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