まるで記号や文字のよう。くじら座に輝く棒渦巻銀河
【棒渦巻銀河「NGC 1015」(Credit: ESA/Hubble & NASA, A. Riess (STScl/JHU))】
こちらは「くじら座」の方向およそ1億1800万光年先にある棒渦巻銀河「NGC 1015」です。中央の大きな明るいバルジを細くなめらかなリングや淡い渦巻きが取り巻いているように見えるその姿は、どこか象形文字のようでもあります。
NGC 1015は地球からはほぼ正面(真上もしくは真下)から見える銀河のひとつで、印象的なバルジの両端から伸びている棒状の構造が、きつく巻かれた渦巻腕と結びついている様子がよくわかります。棒状構造を持つ棒渦巻銀河は渦巻銀河全体のおよそ3分の2を占めていて、私たちが住む天の川銀河も棒渦巻銀河に分類されています。
NGC 1015では2009年8月に白色矮星と恒星から成る連星で起こるとされるIa型超新星「SN 2009ig」が見つかりました。質量が太陽の8倍よりも軽い恒星が進化した姿である白色矮星は核融合反応を起こさずに余熱で輝く天体ですが、連星としてペアを組む恒星からガスが流れ込むなどして一定の質量(太陽の約1.4倍、チャンドラセカール限界と呼ばれる)を超えることで、白色矮星の内部で核融合反応の暴走が起こって超新星爆発に至ると考えられています。Ia型超新星はピーク時の明るさがほぼ同じとされていて、銀河までの距離を測る際の標準光源として用いられています。
冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡に搭載されている「広視野カメラ3(WFC3)」によって可視光線と赤外線の波長で観測され、2018年5月12日に公開されています。
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Image Credit: ESA/Hubble & NASA, A. Riess (STScl/JHU)
Source: ESA/Hubble
文/松村武宏
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