文学の可能性/エイリアンの気持ちを忘れないための外国語
文学の可能性
はみ出すことの許容ラインを塗り替えること
人々の脳内でその線引きをいとも鮮やかに刷新すること
一人の人間と共有しえた時点で
それは思想のレボリューション
はみ出した自分を真っ先に
他でもない自分の理性で許容するために
我今日もタイプの指を踊らす
コントロールキーの壊れた紅いキーボードの舞台で
感性のまま文字の躍る
その手段としての言語回路を
脈々と巡らせる
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エイリアンの気持ちを忘れないための外国語
口頭試問でAを取るための陳腐な手段じゃない
母国語はわたしのもの
隊列の先陣を切って理性と感性を取り結ぶ
流鏑馬のように思考の中心を射落とす
穴埋めや並べ替えや選択問題の小手先だけの解法じゃない
英語という外国語を、わたしたちのものに
理性の産湯を未だくぐらない 思考寸前の概念を
語と意味の相互対応も危ういまま
試験的に異言語で産み出してみる
それはあたかも地球に降り立って3年ほどの
子どもが使ってみる母国語のよう
間違いもあるかもしれないが
「こういう組み合わせはきっとこういう意味だろう」「えいやっ!」
推論で組み立てたばかりのパズルを
近しい大人に満面の笑みで見せ
その関心を屈託なく乞う
そういうエイリアン3年目の気持ちを忘るべからずして
わたしは永遠の外国語学習者でいたい
世の中に絶対的なことなどないことを忘れぬために
わたしは異国の言葉という音楽を
自分の何よりの教養として生涯学びながら
その喜びを他の人に伝え続けたい
31Jul2020
-satomi
How I wish I could acquire a language through hands!
-photo credits: from the movie "pk"
「常識」の出どころを疑った時に、真っ直ぐにかつユーモラスに解をくれるインド映画です。DVD出ているので、ぜひ💛
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