くされ煙
ふわり、ふわり、漂ひたる。
紫だちたる雲の細くたなびきたる。
†
うすく伸びるタバコの香り。
君が吸うから好きだけど、
実はあんまり好きじゃないな。
だって、
服に香りがつくんだもの。
「ちょっとだけ、量、減らせないかな」
君の愉しみを、邪魔したくはないから、
控えめに云う。
「ダメだよ。これを減らせばあたし、
命が続かないんだよ」
あまりに真面目にそう云う君。
それでやはり、わたしはいつも、
くゆる紫煙の中、つい許してしまう。
†
流るる雲のゆく先は、
果てもせぬ、運命の終わりまで。
*
KISE Iruka text 126;
Tobacco Poisoning
(Rewrite of the 001「腐れ煙」)
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