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くされ煙

 ふわり、ふわり、漂ひたる。

 紫だちたる雲の細くたなびきたる。

 うすく伸びるタバコの香り。

 君が吸うから好きだけど、

 実はあんまり好きじゃないな。

 だって、

 服に香りがつくんだもの。

「ちょっとだけ、量、減らせないかな」

 君の愉しみを、邪魔したくはないから、

 控えめに云う。

「ダメだよ。これを減らせばあたし、

 命が続かないんだよ」

 あまりに真面目にそう云う君。

 それでやはり、わたしはいつも、

 くゆる紫煙の中、つい許してしまう。

 流るる雲のゆく先は、

 果てもせぬ、運命の終わりまで。

KISE Iruka text 126;
Tobacco Poisoning

(Rewrite of the 001「腐れ煙」)

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