お彼岸
そびえたつ入道雲。
祖先の霊の集合体。
彼岸に流れる川は、まるで海のように遠い。
ゆきつくべき場所に、
ゆけるよう敷かれた線路。
まだ列車の通る気配もない。
歩こう。
焼けた後、水に浸かって冷えた、
鉄の道の上を。
まくら木の近くを、
小魚が群れて横切る。
波がはせてきては、
線路の内側に白いあぶくを残す。
残暑、さいごの入道雲。
ああ、風が涼しいな。
暑さは彼岸を越えられぬ。
列車がくる音が聞こえる。
*
KISE Iruka text 132;
HIGAN.
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