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【プーケット修行録】どんな人がタイガームエタイに来ているのか

こんにちは。

現在滞在中のタイガームエタイ。

いよいよ、日本への帰国当日となってしまいました。

プーケットでの滞在中に溜めたネタは、実はまだたくさんあります・・・。帰国後も少しずつ書き進めていきたいと思います。

今回は、タイガームエタイにどんな人が来ているのかという「顧客層」についてです。

どの国から来ているのか?

タイガームエタイには、文字通り世界中からトレーニングをしたい人が集まっています。

アメリカ、ヨーロッパ、ロシア、中東、中央アジア、中南米などなど。

地域のバラエティが豊富すぎて、一般化して「こういう人が多い」とまとめるのが難しいほど。ただ、逆にいうと、それが「多様な人たちと知り合える」という滞在の面白さにつながっていました。

世界各国から集まったジム生。

肌感覚になりますが、割合が多い順で行くと下記のような印象でした。

  • ヨーロッパ(多数)

  • アメリカ ≒ ロシア(結構いる)

  • 中東 ≒ 中央アジア ≒ オセアニア(結構いる)

  • 中南米(少数)

  • インド・東南アジア(少数)

  • 東アジア(少数)

  • アフリカ(ほとんど見かけない)

以下、独断と偏見にまみれた個人的な経験に基づく各国の特徴です(個人の感想で正確なデータではない点、ご了承ください)。

ヨーロッパからのジム生は、打撃系(+MMA)のクラスはイギリス、アイルランド、イタリア、寝技系(+MMA)のクラスはドイツ、フランス、イギリスが多い印象でした。フランス人には柔道が上手い人が何人かいました(さすが五輪優勝国!)。その他大陸系(スペイン、ギリシャなど)の人たちも、満遍なくいました。

アメリカは言わずとしれた格闘技大国。打撃クラスも寝技クラスも満遍なくいました。年齢層も幅広く、夏休み中の大学生もいれば、仕事を引退してから来ている初老の方もいました。

ロシアのジム生は、比較的打撃が好きな印象。ムエタイのクラスでよく見かけました。若いロシア人たちは血の気が多いのか、スパーリングで本気になることが多く、強く当てすぎて顰蹙を買っていました。たまに寝技クラスに、足関節がめちゃくちゃ上手いサンボ使いも出現していました。

中東系で知り合ったのは、大体カタールの方々でした。意外なことに、カタールでも格闘技が流行っているみたいです。中東の人たちはお金持ちが多く、会社を経営している人にも何人かいました。カタール人たちとの話によると、サウジアラビアも似たような感じで、格闘技が流行っているとのこと。トルコやイスラエル、パレスチナの人も見かけました。

カタール代表、頑張る。

中央アジアは、カザフスタン、ウズベキスタンあたり。この辺りは、プロ志向の若いアスリートが多かったです。中央アジア各国はMMAやボクシング、レスリングの有名選手の輩出国でもあり、打撃も寝技も強い人が多い印象でした。ロシア系や中央アジア系の人たちは、基本会話が母国語(ロシア語が中心?)で英語があまり得意ではないので、グループで固まって過ごすことが多かったです。

タイガームエタイがある通りにはウズベキスタン料理店も。結構需要がある?

オセアニア系、特にオーストラリア人は結構いました。グラップリングやMMAのクラスで見かけることが多かったです。オーストラリアでは、グラップリングや柔術が流行り始めているとのこと。レベルの高い人(柔術では茶帯や黒帯)が、プーケット観光がてら来ているのをよく見かけました。

中南米から来ている人は、かなり少数でした。ゼロではないのですが、大体プロ選手が本格的なトレーニング(強化練習や試合に向けた準備)で来ている「少数精鋭」な印象でした。コロンビアやメキシコから来ているプロ志望の若いアスリートと数名知り合いました。

同じくアジア人も少数でした。特に日本人は少なく、プロ選手は何人かお見かけしたのですが、アマチュアは私くらいでした。同じように、韓国・中国系も少なかったです。あまり「スポーツ目的で海外旅行をする」という感覚がないのかもしれません。シンガポール人やタイ人は、休暇のタイミングで何人か来ていました。

また、アフリカ系の人は(たまたま出会わなかっただけかもしれませんが)今回知りあうことはなかったです。

どんな目的できているのか?

タイガームエタイは有名ジムだけあり、幅広いから、現プロ選手や、プロ志向のアスリートたちが参加して技術を磨いていました。いわゆる「ガチ勢」です。彼らは、自分の試合などを見越してみっちり練習するために、計画的にプーケットに滞在している様子でした。

一方で、「アマチュアだけどスキルアップしたい」「プーケット観光がてらトレーニングも体験したい」という「リラックス勢」は、ほとんど欧米系か中東系でした。

(もちろん個人の肌感覚によるものなので間違っているかもしれないのですが)国によるこのような傾向があるとすれば、面白いなと思いました。

欧米率高め。

自分が知り合った人には、下のような人がいました。

  • 10代男性(カタール人)・・・軍関係の仕事をしていて、数週間の休みが取れたので、趣味の格闘技のトレーニングをしにきた。

  • 20代男性(アメリカ人)・・・大学生で、大学の夏休みのうち1ヶ月間を有意義に過ごすためにトレーニングしにきた。

  • 20代男性(アメリカ人)・・・仕事が変わる転職のタイミング(前の仕事が嫌になったらしい)で、自分の趣味の格闘技に没頭しにきた。

  • 20代男性(ドイツ人)・・・大学院を終了したばかりの学生から社会人になるタイミングで、1ヶ月ほど東南アジア巡りをしつつ、各地のジムで自分の好きなグラップリングのトレーニングをしている。

  • 20代男性(ベラルーシ人)・・・プロ選手を目指していたこともあったが、その後カフェ経営のビジネスを始めたのでそちらに集中していた。影事業がうまくいき始めたので、改めて3〜4ヶ月ほどトレーニングをしにきた。

  • 20代男性(タイ人)・・・バンコク在住で、タイ国内で複数の民泊施設を経営している。リモートである程度仕事を回しながら、1ヶ月間趣味のムエタイと柔術のトレーニングをしにきた。

  • 20代女性(韓国人)・・・韓国で柔術をやっている。今回は韓国のジム仲間3人と一緒に、プーケット観光のついでに柔術やフィジカルトレーニングをしに来た。

  • 20代くらい男性(オーストラリア人)・・・もともとボクシングにハマってよく練習していた(漫画「はじめの一歩」も読んでいたらしい)。休暇で2〜3週間ほど、MMAなど幅広く練習しにきた。

  • 30代男性(カタール人)・・・カタールで金融関係の仕事をしており、結構お金持ちらしい。ただ、自分の周囲の人たちの「あまり健康に気を使わない」ライフスタイルが嫌で、自分はジムに通って体を鍛え、食事にも気を遣っている。今回は休暇で2週間トレーニングをしに来た。ちなみに日本のアニメ好き。

  • 30代男性(アイルランド人)・・・ノマドワーカーでプーケットに半年ほど滞在しつつ、アイルランドの会社から動画編集の仕事を請け負って生活している。プーケットの環境が気に入っているが、ある程度したら本国に戻る予定。

  • 30代男性(アメリカ人)・・・フィンテック系のベンチャー企業を経営している。仕事はリモートでもできるので、プーケットに滞在しながら、格闘技のトレーニングをしている。

  • 30代くらい女性(おそらくイギリス人)・・・本国の会社にリモートワークで勤めながら、プーケットで生活している。格闘技はまだ初心者だが、興味があるのでジムに通っている。

  • 40代くらい男性(フランス人)・・・家族と一緒に旅行でプーケットに来て、空き時間で柔術(黒帯保持)の練習に来た。家族と一緒に行動しているので、練習の時間を家族スケジュールに合わせるのに苦労している感じ。

  • 50代男性(アメリカ人)・・・柔術キャリア10年以上で、仕事が落ち着いたので半年ほどじっくりトレーニングしに来ている。

  • 50代男性(イギリス人)・・・元軍の関係の仕事をしていて、退職後は何年かに一度プーケットに来て格闘技ジム巡りをしている。プーケットの色々なジム事情に詳しい。

フィットネスのクラスは、また違った雰囲気。

滞在期間を考えると、長い人では数ヶ月から半年くらい滞在する人もいますが、ボリュームゾーンは1週間〜3週間くらいという印象でした。バンコクやインドネシアのバリ島などの観光地を巡る中でプーケットに滞在し、トレーニングに参加するという人も多かったです。

また、リモートワークやノマドワークでプーケットに滞在しながらジム通いをしている人も何人かいました。

スポーツツーリズムの地域差?

「スポーツツーリズム」という言葉があります。スポーツを観戦または体験する目的の観光です。

今回の経験だけからすると、スポーツツーリズムに関して、欧米と比べてアジアや中南米ではまだまだ広がりきっていないのかもしれないと感じました。もちろん、オリンピックやワールドカップなどの「観戦」という意味では話は別かもしれませんが、趣味にしているスポーツを「自分がプレイ」するために海外に行くというのは、一般的ではないように思えます。

原因のひとつに、「スポーツ自体を観光目的にする」ことの抵抗感の差があるかもしれません。

アメリカやヨーロッパからは、カップルでプーケットに来て、片方が練習している間に片方が観光をしたり、カップルで一緒に練習に参加している人もいました。

日本人で同じことができるかと言われると、お互いの趣味が同じ格闘技やフィットネスの場合は別ですが、やはり「せっかくの海外旅行なので一緒に過ごそう」「海外旅行ではちゃんと観光地で過ごそう」という意識の方が強い気がします。家族がいる場合はなおさらで、「自分の趣味に家族全員を付き合わせる」ことへの抵抗感は大きいように感じます。

タイガームエタイでは日本人率は少なめ。

別の原因として、(よくある話ですが)「長期休暇が取りにくい」ということも考えられます。夏休みや仕事が変わるタイミングで数週間の休みを取ってタイガームエタイに来ている欧米の人たちが多くいましたが、もし自分が会社員をしていたらと考えると、1週間以上の長期休暇を取るのはハードルが高く感じます。

おまけ:日本で格闘技ツーリズム?

余談ですが、日本における格闘技ツーリズムについて少し考えたいと思います。

日本でスポーツツーリズム自体が流行らないかといえば、必ずしもそうでもないと思います。スキーなどのウィンタースポーツやシュノーケリングなどのマリンスポーツは、家族やカップルで楽しんでいる人が多いのではないでしょうか。

その理由に、「比較的初めてでも楽しみやすい」ことと同時に「スポーツに関連するコンテンツが別途存在する」ことがあるように思います。例えば、スキーのついでに温泉に行ったり、シュノーケリングのついでにビーチでのんびりしたりということはごく一般的です。スポーツ自体が上手でなかったとしても、別のところで楽しむことが比較的容易にできます。

また、ウィンタースポーツやマリンスポーツは、自然の中で行うスポーツで非日常感が高いことも寄与しているかもしれません。

そう考えると、格闘技ツーリズムも別のコンテンツと一緒に楽しめるのであれば、日本人でも受け入れられるようになるかもしれません。例えば、滞在場所の近くの山や海で別のアクティビティが楽しめたり、文化施設や温泉があるエリアが近くにあるなどでしょうか。

プーケットでの家族旅行中にタイガームエタイに来たフランス人のお父さんがいましたが、家族は別のアクティビティ(おそらくマリンスポーツやショッピングなど)を楽しんでいる間に来ているようでした。

それと、日本でも広がりつつあるリモートワークやノマドワークを考えると、滞在しながら仕事ができる環境があれば、滞在期間を長く取ることができるようになるかもしれません。

日本には、柔道や空手、合気道など世界中で競技者がいる武道も数多くあるので、そういったものも取り入れられれば、世界と日本の共通の趣味を持つ人たちが交流するコンテンツができるのではないかと感じています。

終わりに

今回のタイガームエタイ滞在で感じたのは、格闘技は対人競技だからこそ知らない人と知り合うコミュニケーションが生まれやすく、それが特別な思い出につながるということです。

練習後にみんなで食べるご飯は最高。

タイガームエタイでは、世界各国の色々な人たちが一緒にトレーニングをして、(もちろん、すったもんだありつつも)交流して親睦を深めていました。

文字通り、大変な練習で「苦楽をともに」し、練習の後は「同じ釜の飯を食う」ことになります。そこで生まれる絆は、初対面でも、異文化出身でも、言葉が違っても、強いものになります。自分自身、今回出会った人たちとは今後も交流が続いていく予感がしています。

日本でも、ブラジリアン柔術やキックボクシングなど、旅行先や赴任先で出稽古やドロップインで練習をしてきたという話をときどき耳にします。そこでの体験は、やはりいい思い出になっていて、その後の交流にもつながっていると聞くことが多いです。

格闘技を通じて文化を超えた交流が生まれる、そんなスポーツツーリズムが日本でも広がるといいなと思いました。まだまだ妄想の域を出ていませんが、自分が起業をする時は、そんなスポーツも観光も一緒に楽しめる事業ができたらと考えています。

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