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【連載小説】雨恋アンブレラ

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【連載小説】雨恋アンブレラ_6

 小麦色に灼けた肌がグラウンドを駆け回っている。ハーフパンツからすらっと伸びた脚は、同性のわたしでも見惚れるくらい綺麗だ。
 わたしの隣にも見物客がいた。見物客、という言い方は悪意があったかもしれない。陸上部の幽霊顧問として有名な片桐先生はベンチに腰かけてぼんやりグラウンドを眺めているだけで、声をかけることも何か記録をとることもない。
 でもそれはわたしにとっては好都合で、陸上部にとっての部外者が

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