「羨ましい」
わたしには、縁遠い言葉。
わたしは、他人から見て羨ましいと言われたり思われる要素は全くない。
わたし自身、ポンコツで頭のおかしい人型の抜け殻なのだ。
コンプレックスの塊だし、気持ち悪いと思われることや存在否定、人格否定なんて日常茶飯事。
だから、他人から羨ましいと思われるところなんて何ひとつないと自負している。
けれど、何故かは分からないけれど
「羨ましい」
と言われることがあった。
傍目から見ると、順風満帆に見えるのだろうか?
お気楽そうに見えるのだろうか?
特に、わたしなんかより優遇されていたり贔屓目にされている人から言われると困惑と共に苛立ちの感情が生まれる。
「(あなたの方が気にいられてるじゃない。手厚く配慮されてるじゃない。あなたの方が羨ましいんですけど。)」
そんな思いを、胸の奥に抱きながらも、わたしは
「そんなことはない」
と否定する。
いつも、死にたい気持ちと闘っていて。
無価値で、無能な自分と闘っていて。
ただ、目の前にある仕事に真摯に取り組んで。
必死に、毎日食らいついて。
こころは、とうに死んでいて。
女性でも、人間でもないんだと突き付けられて。
そのことに葛藤し続けて。
ただただ、それらが絡みついてここまで来ただけなのに。
そんな、クズなわたしのどこに羨ましいと思える要素があるのだろう?
相手は素直に出てきた言葉かもしれないし、嫌味で言った言葉かもしれない。
けれど、わたしは順風満帆なんかじゃない。
「羨ましい」とは、何なんだろう?
わたしは、人を羨み続けてここまで来た。
そういう人達に負けないという一心で、必死で生きてきた。
わたしには、他人から羨まれるものなんて、何ひとつないんだよ。