傷だらけのまな板

リスカ跡のよう。



ある日、わたしはパンをいただいた。
そのパンは、とても硬く相当の力を入れないとなかなか切れなかった。

(元々わたしの腕力の弱さもあるけれど。)

わたしは、たまにサンドイッチを作ったりバゲットのようなハードパンを買うこともあるのでパン専用の包丁を持っている。

その包丁はギザギザで、これで手首とか落としたら楽になれそうだ…などと包丁を見つめながらも実行できないでいる。
それほどに、わたしは意気地なしだ。

いただいた硬いパンを、パン専用の包丁を用いて食べやすい大きさに切っていた。

けれど、パンの硬さはなかなか手強い。
ちょっとオーバーに言うと、薄めの木材をノコギリで切る感じ。
その位に硬かった。

硬いパンと戦って、切っている時、わたしはわたしをズタズタにした気持ち悪い女の顔を思い出した。
そして、「死ね(デスボ)!!!」と言いながら切った。

そうすると、どうだろう。
火事場の馬鹿力なのか、とてもスムーズにパンが切れていった。

1スライス毎に、ドン!!と包丁を叩きつけ「死ね(デスボ)!!!!」と切っていった後、ふとまな板に触れた。

すると、まな板はギザギザになっていた。
ここまでボロボロにはなっていなかったけれど、パンを切ったことでなったのだということがハッキリ分かった。

その傷跡を観察し触っていると、
「リスカした跡って、こんな感じになるのかな…」
と思った。

わたしは自分の首をごくごく緩く締めたことはあっても、手首を切ったことはない(包丁を手首に当てたことは何度もある)。
パン切り包丁で手首を切ってダラダラ血を流せば良いのかと思った。

今度やってみようかな、誰からも心配もされない腫れ物の気持ち悪いクズなんだし。
何したっていいよね。笑




わたしの代わりに犠牲になった、薄いまな板。
ごめんね、まな板。
ものを傷つけるのではなく、愚かで気持ち悪い自分を傷付ければよかったんだ。


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