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DTMでギターストロークの入力と神ツール Genkhord の話

ギターストローク入力の障壁

DTMでギターのコードストロークを打ち込む場合に専用音源で便利機能が搭載されているものはプラグインの機能で良い感じにしてくれますが、そういう機能が搭載されていない音源で打ち込もうとすると大きな障壁が2つあります。
先日こういうtweetをしたんですが、それから調べると色々収穫があったのでシェアしたいと思います。

ギター特有のボイシング

同じコードでもピアノのような鍵盤楽器とギターとではボイシングが違います。
例えばAmのコードならピアノではこう

ピアノのAm

そのまま入力すると

2段重ねでこうなる

こうなりますが、実際のギターでは

ギターのAm

こうなのでこういうノートになります

ギターのボイシング

Amみたいに解りやすいコードなら、ギターのボイシングを暗記しておくこともできますが、ちょっと複雑なコードになったりすると押さえ方を覚えてられません。

なので、都度検索しては押さえ方の画像を見ながら入力していました。


Cakewalkの譜面ビューでギターコード入力

もっと簡単に入力する方法が無いものかと調べていると、とんでもないツールを発見してしまいました。

Windows 用コード進行支援ツール Genkhord

Genkhordの公式ページはこちら
公式ページの機能説明では

  • コードネームボタンをクリックし MIDI により演奏します

  • 「次に来そうなコード」を表示することが可能です

  • DAWにコードをドロップすることができます。

  • スクラッチパッドにコード進行をメモすることができます。

  • 五度圏ビューを装備しています。

となっていますが、他にもオーディオファイルやオーディオ入力からコードを解析する機能をはじめ転調ヘルパーなど多彩な機能が搭載されています。
公式ページのチートシートをみると、とんでもない情報量の画像がありますので見てみて下さい。

それにしてもこのチートシート、Windows2000やXP時代のフリーソフトを彷彿とさせる感じが個人的にどこか懐かしさを感じます。
よく見るとどうやら2007年から開発されているようで、2022年現在もアップデートが行われていて驚きです。
なぜもっと早く発見できなかったのだろうと思いました。

まだ僕も触り始めたばかりで、機能を把握しきれていないのですが、個人的に気になった機能を少しだけ紹介します。
UIがこちら

メインUI

この表や五度圏表から任意のコードをクリックするとコードが鳴ります。
すると、次に来そうなコード名が青く光って提示されます。
よくみると画面左下の方にコードのピアノボイシングややギターボイシングが小さく表示されています。
さらにその下の方にはスケールやアボイドノートまで表示されています。

この表や五度圏表のコードを直接ドラッグアンドドロップしてDAWに張り付ける事もできますし、スクラッチパッドなるもので編集してコードを複数選択してまとめてドラッグアンドドロップもできます。

スクラッチパッド

更に更に画面右側中央辺りのギターのアイコンをクリックするとギターのコードブックなるものが出現します。
そこでギターのボイシングから複数のポジションが表示され、選択する事が出来ます。ここからもDAWにギターのボイシングでドラッグアンドドロップできます。

ギターのボイシング

ここでそれぞれのポジションでの音を鳴らして確認できますし、構成音1音1音鳴らしたりドラッグしてストローク音を確認する事もできます。
驚くべきことに🔍のアイコンから指盤上に構成音を置いて検索できるいわゆる逆引き検索機能もあります。
画面左上の◀マークをクリックするとなんと、変則チューニング(ドロップDチューニング等)にまで対応しているから凄すぎます。
更に更に更にVSTプラグインとしても機能しますから至れり尽くせりでございます。

DAWへのドラッグアンドドロップ部分について動画作ってみましたのでよかったら参考にして下さい。

ストロークの各弦のピッキングのタイミングのズレ

さて、とんでもないツールに歓喜して、凄い熱量で書いてしまいましたが、話はここで終わりません。
もう1つの障壁にピッキングのタイミングのズレがあります。ベタ打ちで打ち込むとこんな感じ

ストロークベタ打ち

はい、何とも残念な感じに聞こえます。
でも実際は弦を弾くタイミングはズレるのでダウンストロークならこういう感じに打ち込みます。

拡大したストローク

ですが、こういう風に打ち込もうと思ったらピアノロールのスナップ機能をオフにして、手動でドラッグして調整しなきゃなので数が多くなると大変です。
そこで考えたのが、スクリプトでなんとかできないだろうかと言う事です。
CakewalkにはCALという独自スクリプト言語があるので、それを使えば何とかなりそうです。
ですが、CALは今でも機能の一つとして残ってはいるものの、随分古い機能で、もう随分と更新されていませんし、Bandlab社もどうやら積極的なアップデートをする雰囲気ではない様に見えます。
そういう背景を考えてしまうと、学習コストに見合ったリターンに乏しく思えてモチベーションがあがりません。
しかし、色々検索しているとお目当てのスクリプトを公開している方がいらっしゃいました。
蛞蝓屋敷
どうやらWindows98の時代辺りに作られたファイルの様ですがよくぞ残ってくれていました。そして無事に動作しました。ありがたいです。
頂いたスクリプトを使った後にベロシティー等調整したものがこちら。

ストローク打ち込み

いかがですか?ちょっとそれっぽくなった気がします。
それでもギターストロークの打ち込みは大変ですが、随分楽に入力できるようになりました。ほぼ他力本願ですが。

追加の記事を書きました

この記事を書いた時点からGenkhordに度重なるアップデートが行われ、記事の内容が少し古くなってしまったので、追加の記事を書きました。
よろしければ、そちらも見て下さい。

そして、ギターストロークに特化したツールを見つけました。こちらのツールとは住み分けができそうです。

個人的にお薦めの無料プラグインの紹介記事も書いています。
宜しければこちらも読んで下さい。


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