【note66枚目】私が失敗した理由は/真梨幸子

 副題をつけるなら『殺人鬼真梨幸子の執念』

 実際の作者のデビュー作『孤虫症』が登場人物の明暗を決めてゆく展開の始終には大きな自意識を感じて背中がむずむずした。あと、自分(仮)のことをそこまで卑下して醜いものと表現する必要あったのかな?ご自身のこととはいえ、やりすぎな気がして心が痛い。

 真梨幸子ワールド、真梨幸子地域というものがおそらく存在していて、彼女が発表する作品には共通して出てくる地名、建物、社名が多い。あと、ある作品の事件を、別作品の人物が話題にあげていたり。私自身の世代としてはCLAMPの作品世界をなんとなく思い出す。

 「ときめき」で身を滅ぼしていく(失敗していく)人だらけで、それは判断力を鈍らせる、時として崩壊させるほどの衝動のようなもの。それでもなかなか、もうどうにも止まらなくなっていく人物たちの愚かしさよ…。

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