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3.22 地球と水を考える日

サファイアの粒が落ちて、水の波紋と王冠が出来た。

王冠はただ宙に浮いて存在しているだけだったが、サファイアを核とした水の波紋は長い長い時間を経て水を丸くし惑星となった。
あたりはただ広く真っ暗で、透明な水が集まって時々虹色に光る瞬間があるくらいだ。
水の波紋が隅々まで行き渡ると、今度は中央に落ちたサファイアの粒が鼓動を始めた。
波は粒子を衝突させて、新たな命を産もうと試みた。
水とサファイア以外の新しい命だ。
初めて生まれた生命に、サファイアは王冠を授けるつもりでいた。
そして何億年の幾倍の時を辛抱強く待ち続け、水の惑星には大陸が出来た。
そして、その養分を得て微細な命が水の中に宿った。
サファイアは歓喜して、その生物に王冠を授けようとしたが、何度与えてもすぐに水の底、サファイアの元に戻ってきてしまう。
命は、王冠を持つには期限が短すぎたのだ。
サファイアからすれば朝授けた王冠が夕方には沈んで返ってくるようなものだ。
段々とサファイアは弱気になり、その間にも新しい生命は増え続けたが、それでも命はすぐに入れ替えを繰り返した。

サファイアは全てが嫌になり、王冠を水に授けた。
水は歓喜して波紋をいくつも作り、生命の発展に積極的に寄与していった。
水は未だ絶えることなく、王冠を戴いてサファイアの惑星を守り続けている。

3.22 地球と水を考える日
#小説 #地球と水を考える日 #地球 #水 #惑星 #JAM365 #日めくりノベル

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