閏日

睫毛で計った雪の重さとちょうど同じくらいの汽笛の音が身体の外で響いている。目の前で崩れてゆくその白の綻び方があなたの泣き顔みたいな笑顔によく似ていた。たゆんで、 落    。
       。     ち   
  。       。           。
           る   。
時の (銃   。        。
    声)       。がちょうど産声に重なって、わたしはわたしがしんだことにも、その瞬間にわたしがうまれたことにも気付かないまま、きのうのわたしのつづきを生きる、生きている、つもりでいる。冬の空からくすねた赤色が皮膚の裏にねむる。脈打ち、胎動、 う、ごく小さく、すねた、血液。痣が消えるまではそこに意味が宿っている。わたしたちはだんだんと傷が治っていく経過を外から見つめ続けることでしか、おのれの速度を観測できない。外側と内側の帳尻がうまく合わせられなくて、また呼、吸がずれ、て、わた、しが引き剥、がされていく。その摩擦が痛くて眩しかった分だけ、わたしたちはまだ生き残れる。

いつまで経っても回復しない傷があって、やっとわたしは、銃声が聞こえた瞬間からずっと、きのうのわたしのままだったのだと気付いて安堵した。長針と短針はちょうど0を指していて、また頭から12小節の繰り返し、吸って、吐いて、その、繰り返し、この、繰り返し。                                                  (D.C.)

、メトロノームはずれはじめている。

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