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蒼き花束

何度雨に降られようとも、何度運命に見放されようとも、それでもずっと音楽は続いた、それでもずっと、私たちの生活は続いてきた。

さよならの数だけ出会いがあった。
サヨナラだけが人生だけど、そこにはそれだけの出逢いがあった、サヨナラだけが、出逢いだけが、それでも音楽は続いてゆく、私たちの生活は続いてゆく、もう逢えない人、逢わない人、その数だけ私は年を重ねてきた、その数を数えている時間だけが私の今に意味をくれる。

アウトロが聴こえた。こんな時でも皮膚に伝う温度は暖かいからそのせいで余計に泣きたくなった。もう本当にすべてがどうしようもなくて、泣いたって喚いたってどうにもならないのにね。仕方ないことなのにね。そうだね。だから音楽にするんだろ、だからそれを歌うんだろ、どうしようもないから、仕方なく、サヨナラの数だけ歌が生まれる。その歌を聴いてくれる人がいる。その歌に救われている人がいると知って初めて、そこでやっとこのどうしようもなさが私たちの中から消えてゆく、そこで初めて、このどうしようもなさにも意味が生まれる。だからいつも僕は話を聞いてほしいんだって、そう絞り出すような声で歌うあなたを救うために私たちはここにいる。

あなたのサヨナラで生まれた歌が私たちのことを呼ぶ。
あなたのサヨナラで、私はあなたと、あなたは私と出逢うことができたんだね。

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