ローカルベンチマーク(ロカベン)とは
ローカルベンチマークとは(通称ロカベン)とは、経済産業省が作成・提供している企業が自社の経営を現状分析するためのツールのことを指し、
「企業の健康診断ツール」として活用ができます。
企業と金融機関、士業専門家などが共通の目線で経営状況についてのコミュニケーションを取りやすくし、それぞれが経営課題を共有し、課題を克服するための行動につなげていくツールとして徐々に普及しています。
また金融機関の事業性評価の「入口」として活用されることも期待されています。
ローカルベンチマーク(ロカベン)の中身
ローカルベンチマーク(ロカベン)は3枚のシートになっています。
1枚目 企業情報・財務分析
2枚目 自社の商流や業務フロー
3枚目 非財務情報
「企業情報・財務分析」シート(1枚目)
<出典>【最新】ローカルベンチマークツール(経済産業省)
1枚目のシートは「企業情報・財務分析」シートです。
企業の情報 商号・住所・沿革・業種・従業員数などを記入します。
財務分析 過去3期分の決算データを入力します。
企業の過去の姿を示すもので、データを入力することで
以下の6つの指標が計算されます。
①売上増加率(売上持続性)=(売上高/前年度売上高)-1
企業の成長がどのステージにあるかを判断するのに有用な指標
②営業利益率(収益性)=営業利益/売上高
本業の収益性を確認する基本的な指標
③労働生産性(生産性)=営業利益/従業員数
労働の成果(営業利益)を 労働投入量(従業員数)で割ったもので生産効率を測るのに有効な指標
④EBITDA有利子負債倍率(健全性)
=(借入金-現預金)/(営業利益+減価償却費)
実質の借入金が生み出したキャッシュフローの何倍かを示しており借入金の返済能力を判断する指標の一つ
⑤営業運転資本回転期間(効率性)
=(売上債権+棚卸資産-買入債務)/月商
営業を行うために月平均売上高の何か月分の資金が必要かを確認する指標
⑥自己資本比率(安全性)=純資産/総資産
総資産のうち、返済義務のない自己資本が占める比率を示しており、安全性分析の最も基本的な指標の一つ
各指標は帝国データバンクが保有する全国10万社の経理データをもとに、同業種・同規模企業の中央値を3点として、自社の指標が0〜5点で評価され、
4点以上なら同業種・同規模の他社より良い評価ということになります。
最終的には、各指標がレーダーチャートで可視化され、各指標につけられた点数の合計点に基づいて、各期ごとに財務情報がABCDの4段階でランクが自動的に表示され総合評価されます。
「自社の商流や業務フロー」シート(2枚目)
<出典>【最新】ローカルベンチマークツール(経済産業省)
2枚目のシートは「自社の商流や業務フロー」シートです。
まず自社の【業務フロー】を分解し整理していきます。
例えば、「商品企画→商品開発→製造→デザイン→販売」という業務フローに分け、各段階で分析を加えます。
業務フローの中で「他社との差別化ポイントは何か?」を意識して整理していきます。
次に自社の【商流把握】を分解し整理していきます。
顧客と取引内容を整理し、商流の中で「顧客提供価値が生み出されているか?」「顧客から選ばれる理由は何か?」を意識して整理していきます。
「非財務情報」シート(3枚目)
<出典>【最新】ローカルベンチマークツール(経済産業省)
3枚目のシートは「非財務情報」シートです。
企業の非財務情報を4つの視点に分けて具体的に記入します。
①経営者の視点
・経営哲学、考え、方針等
・経営意欲(成長志向・現状維持など)
・後継者の有無、後継者の育成状況、承継のタイミング、関係
②事業の視点
・企業及び事業の沿革
・強み(営業力・販売力等)
・弱み(技術力・販売力等)
・ITに関する投資、活用状況
・時間当り付加価値生産性向上に向けた取り組み
③企業を取り巻く環境・関係者の視点
・市場動向・規模・シェアの把握
・競合他社との比較
・顧客リピート率、新規開拓率
・主な取引先企業の推移
・顧客からのフィードバックの有無
・従業員定着率
・勤続年数・平均給与
・取引金融機関数・推移
・メインバンクとの関係
④内部管理体制の視点
・組織体制
・品質管理、情報管理体制
・事業計画・経営計画の有無
・従業員との共有状況
・社内会議の実施状況
・研究開発・商品開発の体制
・知的財産権の保有・活用状況
・人材育成の取り組み状況
・人材育成の仕組み
最後にそれらを総合して、「現状認識」と「将来目標」とのギャップを浮き彫りにして、課題と対応策を導き出すのがゴールになります。
最後に
ローカルベンチマーク(ロカベン)はいかがでしたか?
人が年に1回定期的に健康診断をするように、会社も定期的な健康診断が必要です。
その分析結果を関係者と共有し、専門家等の意見を確認することで、将来起こりうる環境変化に即座に対応できる企業体質に磨き上げておく。
そのためのツールがローカルベンチマーク(ロカベン)です。