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青海三丁目 地先の肖像「白壁と夢の島」

2021.04.22 | 葛

ほぼ半年ぶりに、青海三丁目地先へと向かうこととなった。昼下がりに北品川にて集合し、車を借りて青海へと向かって走らせた。

五輪の準備がいよいよ進んでいるらしく、東京都のウェブサイトには道路の封鎖状況が掲載されている。その内容によると、どうやら中央防波堤内側埋立地のかなりの部分が封鎖されているようで、特に歩道が歩行禁止となっていて、私たちは現地の状況を確認するために、急いで今回の視察を計画した。

いつものように、まず中央合同庁舎へと向かう。最上階の展望室から眺めて、全体の状況をつぶさに観察した。我々の想定していた以上に、厳密な立ち入り禁止が敷かれていて、庁舎から見える歩道部分は殆ど白い壁で囲まれていて、全く歩ける状況ではなかった。その徹底的な規制に驚く。

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相変わらずコンテナ車の渋滞はひどく、人々が移動できない分、物流はますます盛んになっているようにも見えた。

庁舎の最上階で四周を見渡し中央防波堤の内側と外側の接続部分を除いては、歩行できる範囲もそれなりに残っているであろうと予想して、合同庁舎を出て少し車で巡回することにした。

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白い壁は、臨海部に沿ってずっと続き、橋を渡って外側埋立地までも続いている。五輪のためとはいえ、生身の人を寄せ付けないこの人工島の風景は、この土地の特殊性を際立たせていた。

車をもう一度駐車場に停めて、今度は少し合同庁舎の周りを歩く。

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雑草や街路樹の野放しの生命力が目に付く。誰か植生に詳しい人と一緒に探索しても面白いかもしれないね、と森藤と話をしたりしながら歩く。道々で、どんぐりやゴミの破片を少し拾ってみたりもする。

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三角コーンの残骸が何に使われているとも言えない敷地のあちこちに落ちている。

風の音や機械、車の音が気になって、何度か立ち止まって音も拾いながら、行けるところまで歩き、もう一度庁舎へと戻る。

夕方までの時間を持て余した我々は、行ったことのなかった「夢の島」へとふと思い立って、向かってみた。

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海風がものすごく肌寒く吹く中で、公園には殆ど誰もいなかった。満開の時期がとうに過ぎた桜の木がまばらに並ぶとなりにヨットハーバーが広がっていて、何だか日本じゃないどこか違う場所に黄昏時に迷い込んでしまったような、不思議な気持ちになった。

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公園の奥には閉鎖された植物園や、廃墟にしか見えない、使われていない宿泊施設のような建物などがならび、ここにも人気はなく、私と森藤だけが歩いていた。

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何かのイベント会場として工事が行われている部分が少し遠くに見えていて、ここも五輪関係の場所なのだろうか、と二人で話したりもした。広大で持て余しがちな埋立地はとにかくこういった用途、公園だったりイベント会場として使う他ないのかもしれない。

青海三丁目地先よりも古い埋立地である、「夢の島」との出会いは中々面白かった。

暗くなってきた頃、もう一度青海へと向かった。途中で鉄鋼団地(Steel World)という不思議な地名があり寄ってみたがあまり鉄々しくはなかった。

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昨年秋に行った場所に、もう一回行ってみた。上手く撮影できなかった分、もう一度この土地からの東京のパノラマを目に焼き付けて、帰路についた。

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