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青海三丁目 地先の肖像「テスト・ワークショップ」

2020.08.23 | 葛

とある暑い日の午後、東京ビエンナーレ事務局の方々に市ヶ谷の事務所までご足労いただき、私たちの描き続けた地図を使った、テスト・ワークショップをさせていただいた。

新型コロナウイルスの流行を踏まえて、少人数でできる形でのいくつかのワークショップを計画し、試行させてもらった。ここでは特に、フィールド・ツアーを疑似体験してもらったワークショップと、我々が描いたように、地図を描いてもらったワークショップについて、記したい。

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我々は、テーブルに載るサイズで地図をできるだけ大きく印刷、その地図には様々なキーワードをちりばめて、書き込んだ。私たちがトンネルを抜けて、あるいは橋を渡ってこの広大な埋立地に上陸したように、この地図の上で、この大地に「上陸」してもらった。

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上陸した後、それぞれが好きなルートを選び、駒に見立てたPETボトルのキャップを、動かして、一つ一つのキーワードを頼りに、島を探索してゆく。我々は問われたキーワードに応えて、写真や動画、録音、ウェブサイトの情報などを駆使しながら、その場所のことを伝えてゆく。

我々の情報を受け取った参加者は、そこから思ったことや疑問などを付箋に記して、貼った。広い敷地はまだ全て回れていないけれど、想定していた30分はゆうに超えて、この土地のありとあらゆる種別・レイヤーの情報を共有しながら、バーチャルツアーを楽しんでいただけた。

ワークショップが終わってから、我々はその時の付箋のコメントをキーワードとは別にして、地図の上に重ねることにした。

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もう一つ別のワークショップ(捨てるマテリアルで青海三丁目地先に行く自分の分身をつくるワークショップ)を挟んで、建築専門ではない人でも、我々のように衛星写真から地図を描いてみたら、どんな風にその土地を体感できるのだろうか、ということを知りたくて、実験的に地図を描くワークショップを短時間、試行してもらった。

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このテスト・ワークショップに関しては、参加者の感想がそれぞれに違っていたのが興味深かった。

作業をやらされている感が強い、と感じた人もいれば、青海三丁目地先についての情報を私たちから一方的に受け取るだけではなく、衛星写真をなぞりながら、自ら知っていくように感じられて楽しかった、という感想もあった。

参加者らが、我々が想定していたよりも迷いがなくすらすらと筆を進めていたことも印象的であった。

描いてもらった中央防波堤の外側部分のいくつかの場所は、私たちの描いたものとも混ざり合って一緒になって、大きなもう一つの島を形成できるかもしれない・・・。

オンラインのための手法も交えて、どのようにワークショップを行うか、青海三丁目地先を体験してもらえるか、私たちの模索はまだまだ続いた。

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