死神って身近にいるかもよ?/『死神の精度』を読んで…
「死神」と聞いて、何を想像するでしょうか?黒衣をまとったガイコツが大鎌を振り回し、人間の魂を奪う姿などでしょうか?その姿は十人十色で、色々な死神像を思い浮かばれることだと思います。
しかし、様々な死神像があることは確かですが、一つ、死神には「共通化された理念」というものがあるのではないでしょうか?
死神とは生命の死を司り、魂を管理する存在
伊坂幸太郎『死神の精度』は、人間に扮した死神の「千葉」を主人公にした6つの短編小説集です。この小説の世界では、調査部といわれる部署に所属する死神が、ターゲットとなる人間の死を「可」とするか「見送り」にするかを判断する物語になっています。人の死が知らないところで管理され、死が死神の基準で決まってしまうのは、ある意味「死」というものがシステム化されており不思議ですね。
今回は最初の短編「死神の精度」の感想を軽く書いていきたいと思います。
しばらく経って彼女が、「わたしの人生っていったい何でしょう」と声を漏らした。ー引用:伊坂幸太郎『死神の精度』「死神の精度」(文春文庫)
死神の「千葉」がターゲットとした彼女、「藤木一恵」は大手電機メーカーに勤めており、クレーマーの苦情処理をしているようです。日々寄せられるクレームに憔悴した彼女は、「人生の意義」を見失ってしまいました。
「人生の意義」を見失うということは、自分の根幹が揺さぶられることになりかねないでしょう。それは、ある意味で自己(自我)の死に繋がることになると考えられます。死神がもたらす「死」というものは、物理的な側面とは別に精神的な側面から来ているのでしょうか?
死神の役割とは?
死神の千葉は、確かに人間の姿をしており、会話を交わすことができます。しかし、本来は死神であり、異界の存在であることには変わりはないでしょう。
では、異界の存在(死神)と人間が邂逅することにはどのような意味があるのでしょうか。日々のクレームで傷心し、人生の意義を見出せない一恵が死神の千葉と出会うことでどのような変化が生じるのでしょうか?そして、ターゲットの死を「可」にするか「見送り」にするかの選択権を死神が有することは物語においてどのような意味を持つのでしょうか?
終わりに
今回は、『死神の精度』における物語の一場面のピックアップと死神像について考えていました。ただ、十分な考察には至っておらず、支離滅裂な文章になってしまったかもしれません。申し訳ございません。
物語を読んでいただければ分かると思いますが、死神の千葉は人間とは違った視点に立ち、ターゲットを観察していきます。独特の感性と言葉やレトリックに疎い様が相まって個性的で魅力的なキャラクターになっていると思います。是非『死神の精度』を手に取り読んでみてください。
それでは
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