藻掻
『あなたにオススメの』 本谷有希子 講談社
高校生の時に好きだった本谷有希子の新作が出ていた!ということで購入。
帯には「気づけば隣にディストピア」というパワーワードがすとんと置いてある。
期待が大きかったからこそだが、正直、何か違うと感じた。
もっとぐしゃぐしゃな感じで・・・。。。リアリティーのある狂いがあると思っていた。だが、これは本谷さんの作品が変化したのではなくて、私自身の作品の受け取りかたが、作品の好みが、変化したのかもしれない。
熱がこもった細かいぐしゃぐしゃが合わさった中に、すーっと背筋の伸びる共感できる恐怖が存在しているのは、やっぱり素敵。
「わたしはこういう人間だ、だからこういうものが好きだ、」
というように、自分のキャラを作ることに、私は今まで熱を注ぎすぎていた気がする。多分、何重にも鎧を着ないと、不安でしょうがなかったのだと思う。それはそれで、可愛かったと思うが、なんだろう、物足りない、今は。
もっと生身で、藻掻いて、作りたい。
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