『だから、あなたも生きぬいて』大平光代著 講談社

大好きだったおばあちゃんと、何も言葉を交わすことができず、亡くなった後に再開するシーンで、思わず涙が出た。誰からも必要とされていない、居場所が無いと思っている中でも、「私」の存在を大切に思ってくれる人はいる。でも、それを感じることができないほどに、「いじめ」が人に与える傷の深さは凄まじい。

いじめを受けた時、彼女がそのいじめをした人ではなく、自分自身を傷つけたというのは、心の底では誰かが助けてくれると信じていたからこそだろう。だが、その傷はその後の人生の中で常に抱き続ける彼女にとっての大切な人を傷つけてしまったという罪悪感の根本になった。それと共に、罪悪感は、今を生きるためのエネルギーにもなっているということも強く感じた。

人を信じるが故に、誰かの救いを求め、それが無いことに対する絶望で、自分自身を傷つけるという選択したことが、私にもある。だが、結局、周りを変えるためには、自分を変えるしかないし、自分を変えるのは、自分しかいない。死にたいという言葉を繰り返せば繰り返すほど、それに傷付く誰かを見て、自分が傷つき、今度は傷自体が誰かを悲しませることになる。。ただ、今の痛みに耐えることで精一杯の時、そうやって考えることは、なかなかできることではない。

正しいこと、正しく無いこと、好き、嫌い・・・。人と人との関係性は、白黒をはっきりつけることが本当に難しい。おそらく不可能なのだろう。関係性が深くなればなるほど、いいこともわるいことも、それ以外のことも、育っていく。関係性とは、編めば編むほど強度は出るが、扱いは難しくなる縄のようなものなのかもしれない。大きくなりすぎた時、それはもはや何かを縛るための、目的のために消費されるものではなく、それ自体が一つの自立した存在として価値を持つのだろう。

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今こそ出発点

人生とは毎日が訓練である 

わたくし自身の訓練の場である

失敗もできる訓練の場である

生きていると喜ぶ訓練の場である

今この幸せを喜ぶこともなく いつどこで幸せになれるか

この幸せをもとに全力で進めよう

わたくしじしんの将来は 今この瞬間 いまここにある

今ここで頑張らずに いつ頑張る

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