空き家になったばばの家が怖い

『吉本興行の約束』大崎洋 坪田信貴

今度、大学のイベントで吉本の大崎会長と藝大の伊東教授の対談にご一緒することになり、今回、その予習?をしたいと思い、この本を手に取った。

対談をまとめたもので、前半は物足りなさも感じたが、3部、4部・・・と後半に向けて「吉本興行」という会社がどのようなことに熱を注いでいるのか、具体的に知ることができて面白かった。

特に第4部の清水義次さんをゲストに迎えた「地方創生」をテーマにした話が大変興味深かった。

「誤解を恐れずにいえば、東京における総合設計制度を使った開発にまともなものはありません。公開空地を設けるといいながら、それは付け足しで、みんな建物本体にどれだけいい床をつくるためにしか、頭が向いていないのです。社会風俗の観察者から言うと、実は敷地には大して価値がない。エリアに新たな価値が波及するような開発をすれば、不動産の価値もしっかり保たれる。ですから表参道のプロジェクトでは、ビルの背後への公開空地の動線もしっかりつくり込みました」(アーキテクツマガジン, https://www.arc-agency.jp/magazine/2664/2 )

ただ漠然と、良さげな場所を作ってから、商品としてその場所を売り出すのではなく、誰のためのものなのか、目的を定めてから、投資を始める。

厚木の家の掃除を始めて約半年。やっと綺麗になってきた。そして、ここで行き詰まっている。

最初、私はなんとなく、お金が無い学生達が集中して作品制作に取り組めるアトリエのような場所ができればいいなぁと思っていた。だが、現状、大学や今住んでいる場所からのアクセスなどを考えると、やはり厚木は便利ではない。そして、既にそこに住んでいる人たちとの関係性を考えると、中途半端な気持ちで、その場所に滞在することをやってはいけないということに、今更ながら気付いた。自分達にとって、心地の良い空間を作るためには、その場所に対する責任も、一緒に持つ覚悟をしなくてはいけない。ある意味、やっぱり誰かがそこに「住む」ことを前提にしないと、そういう責任を持つことは、難しい・・・。また、お金が無い学生達が生活するのにも、やはりお金が掛かる。また、作品を制作するのにもお金がかかる。現状は、全体メンバーは20人くらいいて、毎回の活動に参加してくれているのは5人くらい、交通費は自己負担。今は、なんとなくイベントのような形で、遊び半分で参加してくれている人も多いが、やはり活動としての軸が無いと、今後も継続していくのは難しいだろう。

今出ているアイデアとしては、活動自体を作品化し、配信等を中心として、発信していくことや、冊子の制作を行うこと。ただ、それらの活動を行うのにも、なんだろう、今は上手く軸を持てていない。どうしてその場所なのか、どうして、そこで制作するのか。私は元々家族が住んでいた場所、として繋がりを持っているが、全く関係の無いメンバーにとって、その場所にこだわりを持つきっかけは、この活動の意義は、どういふうに考えていけばいいのか、私自身も、うまく言葉にできない。そろそろ、ただ手を動かすことには、限界が来ている気がする。

「余っている家や農地というのは、今日本で大きな問題となっているところですよね。不安のあることや困った問題がビジネスチャンスになるというのは、いまの若い子たちをすごく勇気づけると僕は思うんですよ。いま、困ったり悩んだりしている若い子がとても多いので、それが実は人生の活力の元だということを伝えていければと思います。」(大崎さん、p197)



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