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SDGsは先進国自身の組むユニバーサル(普遍的)の真実性

 “崩壊”に近づいているのは米国(民主)だ、それともロシア(共産)

理論生物学から始め歴史を自然科学のように研究してきた進化人類学者のピーター・ターチン。
その独得で大胆な主張は、世界から注目を集めてきた。ターチンから話を聞いた、英紙「フィナンシャル・タイムズ」のヘンリー・マンス記者が、その主張を鋭く分析する。クーリエジャポン 冒頭部分引用

その「ピーター・ターチン」学者に付いてはまったく知らないので、検索してみると、たちまち資料が提示されるので便利だが、その実、それが自分また社会の知識になるかといったら疑わしい。

同様な学者タイプの成田祐輔氏も、最初は無名だし、あのYouTubeの一発発言で、あっという間に日本を席捲したのは外に例がない。飲料広告(キリン)のスポーンサー契約打切り与太も全く関与しなかった。

その今流行りの新進気鋭者ばかりを集めた対談(という形式を模擬したカムフラージュ版)冊子がバカ売れ、だと云うので定石アマゾンで買って、この連休中で読んでみた。なかなか新進気鋭で、ゴーストとかブラックとか、余地はないスタイルで、比肩随踵(ひけんずいしょう 大勢が大挙する様)を遺憾なく発露していた。やはり成田氏と斉藤氏の視点は一線を画していて、成る程、と思わせたロジックだった。

中でも斉藤氏の市場性分析については、マルクス系譜もあってか、地下資源採掘が遠距離化していると指摘し、そのことが世界の紛争(戦争)に加担していると論じていた。
それで思うのは、日本の過去にあった「公害」という社会的科学的汚染による市民被害が、伏せられるという公害問題だった。汚染化学物質の拡散であるから、それが自然消滅することはまずない。
幸か不幸か日本は火山大国で、その火山活動によってさまざまな鉱物資源が地下に埋蔵されている。
その採掘は、石見銀山だから銀だけ、ということではなく、他の様々な鉱物が含まれるが、ただ商業的にペイするかという量の問題がある。中でも「砒素」という猛毒も採掘されるが、これは古くより殺傷能力の効果があって、兵器に使われたという記録もあり、いまの「核」に相当する地下資源だった。それと銅採掘でも発生するガスによって森林破壊したり人畜に有害ということで、此れも国内採掘しなくなった。

それによって日本の河川は浄化され魚が蘇生され水もきれいになった。統計的にそれと並行して公害が減ったことは、そうした地下資源を外国から調達することであり、被害者補償リスクと引き換えに相当対価で賄う方式は、他の先進国と同様、常套手段であり褒められることではないが許容範囲だろう。
そうした視点は、一昔前にはなかった見方であり、立花氏、堺屋氏、田原氏系譜のエスタブリッシュメント方式とは、趣が異なった。

成田氏のいう日本はアメリカより30年、周回遅れしているという指摘は氏の経歴からしたら説得力があり、また40年ビハインドしている説も有効のような気がした。もっとも、話を明治維新まで戻ってみれば、それどころの話ではなく、いまだに徳川と薩長の既得権争いを商業ベースでしているようなので、30年40年は誤りかもしれない。(ヒント「天才たちの未来予測図」~ マガジンハウス)

米進化人類学者ピーター・ターチン「ロシアより“崩壊”に近づいているのは米国だ…トランプを支持して権力拡大を狙う米国の対抗エリートたち」

2024/5/6(月) 17:00配信 クーリエジャポン

理論生物学から始め、歴史を自然科学のように研究してきた進化人類学者のピーター・ターチン。その独得で大胆な主張は、世界から注目を集めてきた。ターチンから話を聞いた、英紙「フィナンシャル・タイムズ」のヘンリー・マンス記者が、その主張を鋭く分析する。

【動画で見る】不安定化する米国の未来を予告していた現代の預言者、ピーター・ターチン

危機を予測した進化人類学者

2010年、英誌「ネイチャー」は、各分野の専門家らに自分の分野が10年後にどうなっているか、予測するよう求めた。グーグルのリサーチ・ディレクターは、インターネット検索がタイプ入力ではなく、ほとんど音声入力でなされるようになるだろうと述べた。そこにはピーター・ターチンのものもあった。もともと生態学者であった彼の予想は、なかでもおそらく最も大胆だった。「次の10年は米国と西欧が不安定化する時期になる」というのだ。特に「2020年ごろに一気に不安定化する」と示していた。

この予想がなされたのは2010年2月のことだ。同年末に始まる「アラブの春」や、2011年9月からニューヨークで起こった経済界・政界に対する抗議運動「ウォール街を占拠せよ」が起こる前である。当時、「大きな政府」に反対する保守派ポピュリストのティーパーティー運動はまだ目新しく、ドナルド・トランプはテレビスターに過ぎなかった。しかし、2020年には暴動やデモが急増した。他の専門家の予測とは異なり、ターチンの正しさが証明されたようだった。ターチンが予測した危機は1年では終わらず、長期化するという。「このような不安定な時期は通常何年も続きます。5年では収まらないでしょう。10~15年続くことが多いです」と語る。

もし彼が正しければ、まだ私たちは危機から抜け出せていない。問題の最も大きな原因に対応できていないからだ。1970年代以降、富は貧困層から富裕層へと流れるようになった。この「富のポンプ」が底辺の人々を苛立たせるのだ。「2年間インフレを抑制しただけでは対処できません」


クーリエジャポン

一方、富裕層の数は増えすぎてしまった。数多くの金持ちが限られた政治権力をめぐって競争している。ターチンは米政治家マイケル・ブルームバーグや、米起業家のピーター・ティールを例に挙げる。大学を卒業する人の数も多すぎる。「国家を崩壊させるのはエリート内部の内紛です。トランプはいま『対抗エリート』なのです。支配者層は彼に本当にすべてを賭けています」とターチンは言う。

「問題は、マクロな暴力が勃発するかどうかです」とターチンは指摘する。マクロな暴力とはまさに大きな視点からのものだ。内戦、革命、政治的分裂、領土崩壊、外国からの侵略などの危機を指す。

「このような危機に陥った社会が、マクロ暴力を回避できる可能性は10~15%程度あります。しかし、必ずしもそのような事態に陥る確率は100%ではないと予測しています」

社会のサイクルを分析

ターチンに会うと、相手にしているのが人間の姿をしたスーパーコンピューターなのか、それとも2020年にたまたま予測を当てた「止まった時計」なのかわからなくなる。その意見に彼自身も興味を示し、「単に運が良かっただけかもしれないです」と同意する。他の現代の予言者の多くがそうであるように、彼の主張も科学に依存している。2023年の彼の著書『エンド・タイムス』(未邦訳)では、生態学者として研究した昆虫の個体群のように、人間社会も普遍的なルールに従うと主張している。

1977年にモスクワから追放された反体制派のソビエト物理学者の息子であるターチンは、ロシア訛りの話し方をする。彼の研究手法は精密だが、あまりの細部に見えにくくなってしまいがちだ。彼の基本的な仮説は、社会は統合(結束)の後に崩壊し、危機で終わるサイクルの上に存在するというものだ。このサイクルはおよそ200年で完結し、再び始まる。

「問題が起きてから数世代が経過します。するとエリートたちはそのことを忘れ、再び自分たちに有利になるように経済を再構成し始めるのです」

崩壊についてより正確に予測するために、ターチンはエリート層の大きさ、党派主義の程度、一人当たりの国内総生産に対する賃金の中央値の比率などの変化を追跡している。賃金動向は民衆の不満の原動力となる。米国ではこれらの傾向が1860年代の南北戦争前と、1970年代以降の2回に悪化している。

同時にターチンは、暴力が50年ごとに繰り返されると示している。米国では1870年、1920年、1970年、2020年に見られた。暴力的な出来事があると、その世代は平和を尊ぶようになる。しかし、第3世代になればそのリスクは忘れられ、再び暴力が生じるようになる。

ターチンは、青銅器時代から20世紀までの200近くの危機とそれに近い危機のデータベースを構築した。そうして危機がどのように発生し、どのように終結するのかを解明しようとしている。

彼の手法は、歴史学の主流派とは異なる。さらに、人間社会は非常に多様で文脈によって異なるため、明確なパターンを見出せないという一般的な考え方とは異質である。皮肉屋ならば、彼のモデルを「良い時代は永遠に続かない」と要約するかもしれない。

未来を正確に予想できなかった米政治学者のフランシス・フクヤマは、ターチンのアプローチは「短期的な予測にはあまり役に立たない」と批判する。ターチン自身は多様な未来がありうると言う。そう訴えるのは、学問的な厳密さから自分のモデルの限界を認めているからなのか、それともどんな事態が起きても放免されるようなフリーパスを自らに与えようとしているからなのか。
米国のほうがロシアより崩壊に近い

そもそも、2020年ごろに社会が不安定化するという彼の予測は、完全に正しかったのかどうか。2020年、米国では暴動やデモが増加したが、リンチや暗殺など、彼が引用した他の指標は増加しなかった。「警察は、非常に効率的に暴力的な都市暴動を鎮圧しました」と彼は言い、マクロな暴力はまだ勃発する可能性があると主張する。

『エンド・タイムス』のなかでターチンは、米国人は「自分たちが住む複雑な社会のもろさを著しく過小評価している」と述べている。一方、最近では、複雑な社会のほうがレジリエントで回復力があると主張している。そう言えるのは、歴史的な記録をさらに分析した結果だそうだ。

「本当に深い崩壊は稀になっています。それほど暴力的ではない方法で危機を解決するようになっているのです。 中世では、エリートは殺人者として訓練されていました。いまや陸軍士官学校に行くのは、ごく一部の人々だけです」

現代においては、エリートが最悪の結果を食い止めたこともある。ターチンによると、英国では1830年代から1860年代までの数十年間、不安定な状態に陥った。その根本的な原因は、1750年から1800年にかけて実質賃金が下落したことにある。しかし、食料に対する関税廃止、参政権の拡大、労働組合の設立許可を通じて問題に対処し、革命を回避できたのだという。

1930年代から1960年代にかけて、米国の富裕層は90%以上の所得税率を受け入れ、自らの権力を抑えた。しかし、今日のエリートたち、つまり10%の富裕層は、それに倣おうとしない。「金ぴか時代(1865~1893年の資本主義が進展した時代)のような態度に戻っているのです」

ロシアと、米国のどちらの社会がマクロの崩壊に近いのだろうか。「間違いなくロシアではありません。外圧が国を統一しています」と彼は主張する。ロシアは米国よりも経済格差がひどいのではないかと思うが、違うそうだ。ウクライナ侵攻後、「労働者に有利な状況が生まれている」という。人々が国外に逃亡、徴兵され、移民が減少した一方、工業生産が増加したため、働き手の売り手市場になっている。

ロシアの民間軍事会社・ワグネル代表だったエフゲニー・プリゴジンが蜂起に失敗したのは「いいストレステストでした。誰もが彼に反対しました。間違いなく、いまの米国はもっと危険な状態にあります」と語る。
Henry Mance



■次回予告
宇沢 弘文
は、日本の経済学者。専門は数理経済学。意思決定理論、二部門成長モデル、不均衡動学理論などで功績を認められた。シカゴ大学ではジョセフ・E・スティグリッツを指導した。東京大学名誉教授。位階は従三位。
1951年に東京大学理学部数学科を卒業し、数学科の特別研究生となった。彌永昌吉に数論を、末綱恕一に数学基礎論を学んだが、経済・社会問題への関心から経済学に転じる。数学から経済学へ転じたのは、河上肇の『貧乏物語』を読み感動を覚えたからとも、太平洋戦争敗戦による日本の経済困窮をなんとかしたいという希望からとも言われる。
経済学者として
以後、統計数理研究所、朝日生命などに勤務した後、スタンフォード大学のケネス・アロー教授に送った論文が認められ1956年に研究助手として渡米。スタンフォード大学、カリフォルニア大学バークレー校で研究教育活動を行い、1964年にシカゴ大学経済学部教授に36歳で就任した。専門的な論文として最適成長論や二部門成長論の業績があった。

※日本の経済学者。専門は数理経済学。意思決定理論、二部門成長モデル、不均衡動学理論

ジョセフ・ユージン・スティグリッツ(英: Joseph Eugene Stiglitz、1943年2月9日 - )は、アメリカの経済学者、コロンビア大学教授。1979年にジョン・ベーツ・クラーク賞、2001年にノーベル経済学賞を受賞。IMFの経済政策を厳しく批判している。ウィキペディア

伝説の経済学者「宇沢弘文」を知っていますか (スティグリッツが師と仰ぐ日本の「哲人」とは)  東洋経済


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