氷の世界IN New York
これまで続けて和食とその食材を、外から見た日本の何か―変か、という視点で記事にしましたが、今朝は、最終回の「氷の世界」を書きました。
初めは寿司で、次が稲荷寿司の御稲荷さん、(麩も継ぎ足した)、そしてその゛前酒゛の添え物氷がテーマです。
季節柄、昨日は「夏至」(冬至への起点)という日本で一番長い日、日の出が4.25分(千葉)ということで夏に向かいますが、これから氷が恋しくなる季節です。それらは冷やすのが目的ですが、同じ目的でも「アイスクリーム」とはまったく別物で、脂肪が全くない融ければただの水というのがミソです。
このアイスクリームにしても、他国からやって来た日本語ペラペラ娘が、決まって云うのが「雪見だいふく」2008年ロッテ発売で、娘たちは名前を知らないので白くて冷たくて甘いアイス・・・、というとそれが「雪見だいふく」というのが、すぐ判ります。
私もスキですから良く買って食べますが実によくできてます。まさにアイスクリームの革命的食品です。
じゃ何が革命か、と云ったら、特別な仕掛けがあるわけでもない。中身は普通のバニラアイスで、その皮が変わっていたのです。和菓子の大福の表皮(モチ米粉と砂糖を練ったーもの)で、昔からあった日本の食材です。昨今ヒットの「苺大福」とコンセプトは似ている。
別のアイスでも「もなか」類がありますが、これも和菓子の「最中」の皮の中にアイスをパックしたもので、いずれも、純日本産和菓子を使った、ハイブリット製品で、それが外国娘にっとて大好きというヒットとなったわけです。
当然なはなしですが、最中も大福も原材料は米(とモチ米)粉ですから、フランスとかイタリア、ドイツ、そしてアメリカなどから生まれるはずがないのです。
明治維新以降、日本は車とか家電とか絹とか、欧米追随でやってきましたが、それらが飽和したいま、今度はアジア原産の食材が、にわかに脚光を浴びるという事態です。
としても悲しいことに純日本食材の味噌、醤油、ミリン、御酢、出汁昆布、ワカメなど、使った「揚げ麩」を作れる若い娘がこの日本に何人いるかという話しです。(それらの食材原資は南国アジアが殆ど)
先日みた映画の感想(暁闇、など若い監督映画)の食卓シーンは、コンビニで買ってきたパック弁当をシングル(マザーかパパ)と二人、もしくは一人で喰うシーンは、意図的にそれを写したいという監督の思い入れがあってのことでしょう。ですから、それはもう暁闇世界、そのものでしたね。(肝心の日本の食卓文化の過激的衰退)
翻って、それとはまったくパラドックスな、寿司がアメリカで常食化している、フランスでは、御稲荷さんを求めて、パリ中を歩き回る変人が、なわ暖簾をくぐるという、逆、明治維新状態が、このところの日本です。
それは嬉しいことに間違いありませんが、YouTubeを観る限りでは、そんな画面は観たことないし、あるのは「こんな世界に誰がした30年回顧」自己批判と自虐論オンパレードで、それがまた、「シリコンバレー神社詣で」信仰が、なかなかやめられないという、この道いつか来た道戻り路、といった逡巡回路を作っているような気がします。
ですから、「氷の世界IN New York」は、私にとっても吉報のような気がしました。
「氷の世界」IN New York
こだわりの一杯に最高の氷を使いたい!
米国のバーテンダーがわざわざ「日本製の氷」を取り寄せるワケ
最高の一杯で客をもてなすために、日本の「氷」を輸入するバーテンダーが米国にはいる
米国製と「違いは明らか」
その日本の氷とは~
米国の寿司レストランのなかには、魚をわざわざ日本から輸入している店もある。より美味しいものを提供したいという情熱のもと、寿司の本場から材料を仕入れているのだ。
そしていま、米国のバーまでもが「とあるもの」を日本から輸入している。どこにでも手に入りそうな、だが最高のサービスを提供したいバーテンダーたちが追い求める、最高品質の「氷」である。
「米国のカクテルバーは、日本のバーテンダーの緻密で優雅な技術に、長らく魅了されてきた。日本のスピリッツ、その他の材料や道具、技術などの特徴的な要素を自分たちのドリンクに取り入れている」
そう報じるのは、飲料に特化した米メディア「パンチ」だ。現在、こだわりが強く高級な米国のカクテルバーのなかには、日本から直接輸入した氷を使用している店も増えているのだという。
ニューヨークのカクテルバー「バー・モガ」のシンタロウ・エレアザル・トッツォが、パンチの取材に答えている。彼は米国製の不均一な氷に不満を抱えていたが、2021年、日本のクラモト氷業が作る氷と出会う。
「米国で手に入れる通常の氷と、クラモトの氷の違いは明らかだ」とトッツォは語る。クラモト氷業の氷は他のブランドよりもゆっくり溶け、カクテルの風味を損なわないのだという。
バー・モガではいま、すべてのカクテルに「クラモト」を使っているそうだ。
クラモト氷業が作る、美しく高品質な氷
NYを酔わせる「日本人バーテンダーの芸術」に米紙が大注目!
大正時代から続く老舗の技術
クラモト氷業は、1923年から続く金沢市の老舗氷屋だ。米国の販売代理店「クラモトアイス(Kuramoto Ice USA)」が2020年に設立され、以来、同国で約200のバーやレストランが、日本製の氷を手に入れるべく契約を結んだ。
前出の「パンチ」や、高級ライフスタイル誌「ロブ・リポート」は、クラモト氷業が作る氷について、次のように解説している。
「クラモトの氷の製造には約1週間かかる。まず、日本の白山から得られる軟水を48~72時間かけて凍らせる。すると大部分のミネラルが分離されるのだ。そのため、氷は非常に低い硬度を保ち、不純物もほとんどない」
「長時間かけたこの撹拌プロセスにより、マイクロバブル(細かな気泡)が取り除かれ、密度が高くゆっくり溶ける氷ができあがる……こうして、溶けてもドリンクに水っぽさをもたらさない透明な氷が完成する」
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「たかが氷」ではない
クラモト氷業の氷は、遥々日本から太平洋を越えてやって来る。米国のバーテンダーたちは、なぜそれほどまでに日本の氷に惚れ込んでいるのだろうか。
ロサンゼルスにあるバー「ダミアン」のバーテンダーであるグレース・ペレスは、クラモトのスティックアイスを使っている。細長く背の高い「コリンズグラス」にぴったり収まり、縁まできっちりフィットする点を気に入っているという。氷はやはりゆっくりと溶け、炭酸ハイボールの泡立ちも長持ちするそうだ。
「僕らは地元(米国)のものを使うよりも、日本からこのスティックアイスを輸入するほうを選びます。だって、完璧だからです。この美しい氷に多くの手間と注意が注がれていることがよくわかります」
ロサンゼルスのレストラン「カト」のバー・マネジャーであるオースティン・ヘネリーは、さまざまな方法でクラモトアイスを使っている。削り氷をカクテルに使ったり、自らの手でクラモトの氷を削ってドリンクに使ったりするという。食材同様、氷もこだわるべきだというのが彼の考えだ。
「米国の高品質な寿司や懐石料理のレストランは、日本から魚を輸入しています。最高のものでゲストをもてなしたいからです。最高品質の材料には価値があり、それはどんなものであっても変わりませんよ」
ヘネリーはまた、クラモトアイスのサービスにも価値を感じているようだ。現地で販売代理を請け負っている米沢直人について言及し、次のように語っている。
「ナオトは、流通に問題があれば自ら氷を配達してくれるような人です。そうしたカスタマーサービス、つまり彼が自分の製品と会社、そして仕事に対して抱く愛情は、他ではなかなか見られないものですよ」
当然のことながら、米国は氷不足に困っているわけではない。それでも日本の水から生まれるクラモト氷業の美しい氷に、バーテンダーたちは大きな価値を見出しているようだ。
クーリエ・ジャポン #世界が見たニッポン 4min2024.6.3
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参考資料 クラモトice https://www.ice-kuramoto.jp/
製氷
水を凍らせて砕いて売る——石川県金沢市のクラモト氷業は昔ながらの「氷屋さん」の顔を持つ、古くも新しい企業だ。創業は大正12年(1923年)。長く氷の卸売業に携わってきたが、2016年に製氷業へと転身し、現在はかき氷の移動販売や氷を使ったスイーツの開発、さらには氷の海外輸出まで行う。
数々の新規事業を推進してきたのは、「5代目」の蔵本和彦専務だ。配電盤メーカーでの修行期間を経て、2010年にクラモト氷業に入社。それからまもなくして、父の蔵本顕彦社長とともに、氷の卸売業からメーカーへの進出を果たした。
製氷業へ転身して通常よりも溶けにくく
透き通った氷の生産を開始
「祖父の代から製氷業への転換を考えていましたが、融資が下りなかった。ところが、好材料が重なって父の代で実現できたのです」
2015年には北陸新幹線が金沢まで延伸。大きな経済効果が期待されるなかで、製氷工場として活用できる鉄工所跡地が見つかり、金融機関の融資を取り付けることに成功したという。
同時期に、中小企業の生産性向上等を支援する「ものづくり補助金(令和元年度補正予算以降の正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)」を活用している。砕氷技術を取り入れるためだ。
一口に氷と言っても、専業メーカーがつくる氷と家庭で作られる氷はまったく異なる。通常、家庭用冷蔵庫ではマイナス20℃前後の冷凍室で氷ができあがるが、クラモト氷業の製氷時の温度はマイナス8~10℃。48~72時間かけて135kgの巨大な氷の塊が作られる。ゆっくり時間をかけて凍らせることで不純物を取り除き、溶けにくいうえに透き通った氷を生み出しているのだ。
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