見出し画像

バーチャルなファンドとリアルなツケ

2023年06月16日記事

「GameStop(ゲームストップ)」ロビンフッドの攻防は嘘?


個人投資家、ヘッジファンドに勝利!? 「ロビンフッド」は過熱する株式市場の「誰の味方」か

2021.02.27 現代ビジネス  小出 フィッシャー 美奈経済ジャーナリスト

米国で若年層の個人投資家を中心に人気を誇る、手数料無料の投資アプリ「ロビンフッド」。そのユーザーが特定銘柄に殺到して株価が急騰する「ロビンフッドラリー」の問題点を当サイトでは指摘してきたが、ブームはますます拡大の一途をたどっている。
つい先日も「ゲームストップ」という銘柄をめぐり、ロビンフッドユーザーの個人投資家とヘッジファンドが対決する一幕があった。結果はまさかの個人投資家の「勝利」ーー。そこにはいかなる背景があったのか。
米国の投資運用会社で働いた経験があり、『マネーの代理人たち』の著書もある小出・フィッシャー・美奈氏が、株式市場を席巻するロビンフッドの影響力と危険性を明らかにする。
YOLO、人生は一度きり!YOLO。ヨーローって何やねん?というと、「人生は一度きり(You Only Live Once )」の略だ。Twitterのハッシュタグ(#)などと並んで、20代から30代の若者のネット用語になっている。
そして「YOLO株」とは、若いトレーダーらの血を騒がせるホットな株を指す。人生は一度きり、だから大きな勝負をしよう、というわけだ。
米国では今、無料携帯投資アプリ、ロビンフッド上で取引されるYOLO株が大きく株式相場を動かし、社会現象となっている。(関連記事:手数料ゼロの人気投資アプリ「ロビンフッド」 ウラで誰が損するのか?)
その代表格が「ゲームストップ」という株だ。銘柄コードはGME。
筆者も時々チェックする投稿サイト「レディット (Reddit)」の投資コミュニティーは、1月から2月にかけて、GMEとYOLOコメントで連日持ちきりとなった。
Photo by Gettyimages

Gettyimages

株のジェットコースターと言うのは、こういうのをさすのだろう。もし、底値の時に貴方が日本円で10万円相当を投じていたら、1年足らずでそれは1600万円くらいになった。そして有頂天になっていたら、今度は1週間ほどで160万円くらいに暴落したのだ。
1日の値動きも極端だった。1月25日から2週間のGMEの値動きを辿れば、2割、9割、1.3倍と上昇を続けた後に4割下げ、その後7割再上昇。そのまま値を戻すかと思いきや、翌週はマイナスの3割、6割、4割、と転げ落ちていった。
特にロビンフッドが取引制限(保有株の処分以外を一時停止)を発動した1月28日は、午前中に4割上がった後、ニュースを受けてそこから7割も急降下。多くのトレーダー達をアドレナリン過多の興奮状態に追い込んだ。
ちなみにゲームストップという会社は、ビデオゲームのソフトや機器を扱う小売チェーンだ。テキサスに本社があり、米国やカナダなどで約1000店舗を展開する。オンライン化の動きに押されて売り上げは減少傾向、利益も赤字転落。時代に淘汰される典型的なビジネスだと見られて、株価も長期低迷していた。

昨年の4月初めには3ドルを割り込んで、そのままピンクストック(1ドル未満の低位株)の仲間入りをしそうな気配だったのだ。
ヘッジファンドとアマチュア投資家軍団の「対決」株価高騰のきっかけとなったのは今年1月11日、ペット用品のネット通販を成功させたチューイー社の共同創業者、ライアン・コーエン氏が同社取締役に就任したことだ。オンライン化による事業立て直しが進むのではないかという期待が一気に市場で膨らんだ。
だが、そこから株価は企業の実態とは関係なく、ジェット気流に乗って上昇した。個人投資家らが特定銘柄を集中して買い上げる「ロビンフッドラリー」(前出関連記事参照)が起きたのだ。
1月28日には、株価は日中のトレードで483ドルをつけ、底値の3ドル程度から160倍になった。1月12日の終値19.95ドルからは、たった10日ほどで24倍だ。
ゲームストップ株がとりわけ世間から注目されたのは、企業の実態から見て株はあまりに割高だと判断して「ショート(空売り)」に出たヘッジファンドと、「ロング(買い)」に回ったロビンフッドのアマチュア軍団の「対決」が起き、ヘッジファンドの方が白旗をあげて退散したことだ。
中でもメルビンキャピタルというヘッジファンドは、この空売り失敗で1月に運用資産の53%を失った。損失額は、40億ドル(4200億円)に及んだという。
メルビンキャピタルの創業者、ゲイブ・プロトキン/Photo by Gettyimagesメディアは、「ダビデが巨人ゴリアテを倒した」と騒いだ。ヘッジファンドを追い詰めた手法では、ロビンフッドの個人トレーダー達はどうやってプロに「勝った」のか。
それは、「ショートスクイーズ」と呼ばれる現象だ。「踏み上げ」とも呼ばれる。次に説明しよう。

空売りは、株をよそから借りてきてそれを先に高値で売り、株価が下がったところで買い戻すことで利益が出る。帳簿上の利益を実現益として確定させるためには、株を買い戻して精算することが前提になる。
一方、思惑とは反対に株価が上がってしまったら、空売りの損失はどんどん膨らむ。順買いの場合、損失は投資額を超えることはないので、最悪でも損失は100%に留まる。だが、空売りでは理論上の損失リスクは無限大。
株価が上がり続ければ損失は投資額の2倍にも3倍にも膨れ上がる。(関連記事: 2019年の市場はどうなる?悪者扱いの「空売り」の歴史に学ぶこと)
さて、痛手を受けた空売り筋が損切りをして引き上げようとした時、市場にいるのが買い手ばかりで株を売ってくれる人がなかなか現れなかったらどうなるだろう。特にポジションが大きい場合、自分が買い戻そうとするその行為によって市場の買い圧力を高め、株価を更に押し上げてしまう。
自分の首を自分で締めるようなもので、まさに泣きっ面にハチ。これが「踏み上げ」で、空売りプレーヤーの損失は、ポジションを精算する間にさらに膨らんでしまうのだ。

空売り筋と対決する勢力が意図的に株を独占し、株を売らないことによって相手を追い詰めることもある。レディット上ではアマチュアトレーダーらが、「ヘッジファンドに対抗して買いまくれ」、「(空売りポジションを処分しようとする)ヘッジファンドには株を手渡すな」、などと結束を呼びかけるコメントを投稿した。
これは「玉(ぎょく)締め」などとも呼ばれるが、米国では「ベアスクイーズ(ベア=弱気派。ベア=熊を締め上げるという表現)」とも、またボクシングで相手をコーナーに追い詰めるのに似ていることから「コーナリング」とも称される。南北戦争後に鉄道株がもてはやされた時、ヴァンダービルトをはじめとする「泥棒貴族」らがこの手法で相場を操縦した。
しかし、一般個人投資家がソーシャルメディアを通じて結託し、プロと「対決」したのは前代未聞の出来事だ。

ロビンフッドの個人投資家らは、「ショートインタレスト(空売り残高=空売りされたまま買い戻されていない株数)」が大きい株を狙い撃ちにした。株が値上がりすればヘッジファンドなどの空売り筋が買い戻しを余儀なくされ、株価がさらに上がるだろうと踏んだからだ。ソーシャルメディアでは、GMEのショートインタレストが120%、などと情報交換も行われた。
彼らは更にSEC(米証券取引所)が提出を義務付ける「フォーム13F」と呼ばれる報告書でヘッジファンドのポジションまで調べて、プロと勝負しに行った。「アマチュアがプロに勝った」は本当か?でも、本当に「アマチュアがプロに勝った」のだろうかーー。
普通、ショートスクイーズというのは、小型株など取引量の限定的な銘柄で起きやすい。流動性が低い、すなわち売り買いする人が少なくて取引が成立しにくい銘柄では、株価が荒っぽく動く。
ところが、これはゲームストップには当てはまらない。
ゲームストップのピーク時価総額は3370億ドル、日本円で3.5兆円もの規模があった。また発行済み株式数の6900万株に対して、トレードが最も盛んだった1月22日には1億9700万株が取引された。市場に出ている全ての株が1日で2.8回も回転したことになる。
つまり、取引のボリュームを見ても、回転の速さを見ても、「流動性(取引のしやすさ)」は十分すぎるくらいあったのだ。これは、個人トレーダーらが「買い占め」たり、株価を「操作」できるような環境ではない。異常な株価の動きは、ロビンフッドだけでは説明できないのだ。
では、何が起きていたのだろう。
考えられるのは、クオンツ系のヘッジファンドなど、多くのプロファンドが「ロビンフッドラリー」に便乗したことだ。ロビンフッドユーザーが作り出した「買い」のシグナルによって自動高速取引のアルゴリズムが起動し、「買いなら買い」で突き進む「モメンタム」トレンドが増幅されたことだ。
さらに、多くの個人トレーダーが「コールオプション(一定の価格で株を買うことの出来る権利)」を買っていたことも、株価高騰の原因となったようだ。
コール・オプションを買う個人がいれば、取引の反対側にはそれを売るプロの「マーケットメーカー(取引を成立させる相手側、ヘッジファンドがその役割を果たすこともある)」がいる。彼らは、コールオプションを売るだけでは株が上がった場合に損がどこまでも拡大してしまうので、通常は現物株を同時に買ってリスクヘッジをする。このヘッジの買い需要が更に株価を上げることになる。
つまり、ゲームストップの異常な株価高騰は、ロビンフッドのデイトレ集団が最後までそれをリードしたというより、彼らの動きがきっかけになってプロの買いが大量に入ったために起きた、と見た方が良いだろう。「アマチュアがプロに勝った」というより、実際には「クオンツ系などのプロが、ファンダメンタル系(企業収益に見合う妥当株価などを分析した上で売買を判断する)のプロに勝った」というのが真相ではないかと思う。株式市場の「義賊」か、それとも「暴徒」かだが、多くのロビンフッドユーザーは、完全に「勝った」気になっていた。
そのため、ロビンフッドが1月28日にゲームストップを含む50銘柄の取引を制限し、株が大暴落した時には、「我々を犠牲にして、ヘッジファンドを救済するのか」と、利用者から轟々とした非難が巻き起こった。
実際には大量の信用買いが殺到した為に、ロビンフッドの手元現金残高が規制で定められた水準を下回りそうになったことが原因だった。しかし、これをきっかけに、SECや米法務省など政府機関が、ロビンフッドやレディットの調査に乗り出す事態となった。
2月19日には米議会下院で公聴会も開かれ、ロビンフッドがユーザーの注文情報をヘッジファンドのシタデルに販売している(*ペイメント・フォー・オーダーフロー、前出関連記事)問題なども取り上げられた。
この出来事で多くの利用者が、彼らが描くロビンフッド文化と現実とのギャップに幻滅することになった。同社が標榜する「ロビンフッド」は、裕福なものから金を巻き上げ、貧しいものにそれを分配する伝説の義賊の名前。そこにあるのは、「弱きを助け、強きをくじく」姿勢だ。若きユーザーらは、ウォール街の既存勢力と対決する「義賊」であることに陶酔していた。
その心情は、レディットの投稿に明らかだ。「我々(個人トレーダー)が市場を操ってるだって?ヘッジファンドは何10億ドルも集めてずっとそれをやってるじゃないか」「ゴールドマンサックスの役員が我々を市場破壊者だと批判した。メディアも株を買わないように人々を怖がらせている。でも(空売りで)会社を潰しているのは、ヘッジファンドだ」など、主流金融機関やメディアに対する対決姿勢が目立つ。
議会公聴会には、ロビンフッド、レディット、メルビンキャピタル、シタデルの代表らと並んで、キース・ギルという34歳のデイトレーダーも喚問された。
バーチャル公聴会で発言するキース・ギル/Photo by Gettyimages2019年からゲームストップ株に注目し、積極的にソーシャルメディアに自身のポジションを投稿、1月26日には元手の5.3万ドルが4800万ドル(約50億円)になったと公開し、一躍「レジェンド」となった人物だ。
彼は、自分には市場操作するような能力はないと強調した上で、「ヘッジファンドなどプロは、自前のアナリストを抱えて分析をやるが、個人投資家にはリソースがない。その差を埋めるのがソーシャルメディアだ」と主張した。だが、基本的に「ロビンフッドラリー」に乗るデイトレーダーらがやっているのは、企業実態と大きく乖離した株を短期的に追いかけるギャンブルだ。
ゲームストップだけではない。彼らは、ソーシャルメディアを利用して、AMC、ノキア、その他「メーム株」と呼ばれるターゲットに次々と照準を定める。集団で寄ってたかって乱暴に株価を釣り上げるその動きは、株式市場の「暴徒」のようにも見えてくる。
問題は、投資経験の乏しい個人が、誰のものかも分からないソーシャルメディアの投稿につられて、生活費を投じて高リスク株に追随することだ。警備員の仕事をしているあるロビンフッドユーザーは、2万ドル(約210万円)を借金してゲームストップ株をピークで買い、その8割を失った。レディットの株式サイトには、こんな冷静なコメントもあった。「株を買う時の最初のレッスン=頼りにできるのは自分だけ(Stock Market 101: You’re on your own)」



[WBS]個人投資家 vs ヘッジファンド!アメリカ株式市場 混乱の裏側![GameStop]
2021年2月5日 アメリカでゲームソフトなどを販売している「GameStop(ゲームストップ)」という企業です。
その株価が先月に入り20倍ほどに膨らんだ後、現在はその3分の1ほどに落ち込むなど異常な乱高下をして株式市場に混乱をもたらしています。アメリカ議会も調査に乗り出そうとしているこの問題ですが、背景には個人投資家とヘッジファンドによる攻防がありました。GameStop[blogcard url="http://www.gamestop.com/"]
アメリカ・カリフォルニア州のロサンゼルス。ここに実際にゲームストップの株を購入した個人投資家がいます。19歳の大学生、ギャビン・メイさんです。去年の秋、個人投資家向けのオンライン証券「ロビンフッド」で株の取引を始めました。新型コロナの影響で若い投資家が増えた。みんな退屈していたし、お金も稼ぎたかった。


金融・経済用語辞典

裸売り(はだかうり:Naked Short)とは、ヘッジを行っていないオプション取引の売りや、株式を借りずに行う空売りのことを指す。

裸売り 空売り の違い
通常、信用取引で株を空売り(ショート)する場合、証券金融会社から貸株を受けて株を売却している。つまり、受け渡しに買い手に対して渡す株式を確保した上で取引をする。

一方で、「裸売り」という場合は、先に市場で売却しておいて、受け渡し日までの間に当該株式を確保するという手段である。そのため、やり方によっては発行済み株式総数を超える空売りでも可能となる。(無価値券を売る)
ちなみに、以前ジェイコム株を巡り、みずほ証券が発行済み株式総数を超えるジェイコム株を空売りしたのはこの裸売り(Naked Short)によるものである。個人投資家はこの株式の裸売りはできない。

オプション取引の場合
オプション取引用語として裸売りという場合、ヘッジ取引を行わずにオプション取引の売りを行うことを指す。たとえば、プットオプションを売るという場合、株価が一定以下にならない限りはオプション料(プレミアム)をオプションの買い手から受け取ることができる一方、万が一株価が大きく下落した場合には下落幅に応じて無制限の損失が発生する。
ヘッジとしては、売ったプットオプションよりも低い権利行使価格のプットを買っておくなどの保険をかけておくことなどが考えられる。

なお、特にディープアプトオブザマネーのオプション売りは、(プットの場合)株価の下落で必要な証拠金の額がとてつもなく拡大していく。この意味があまり理解できない場合、オプションの裸売りは行うべきではない。

ヘッジ取引
ヘッジ(Hedge)とは、「回避」を意味する英語で、ヘッジ取引とは現物の価格変動リスクを、先物取引などを利用して回避(ヘッジ)する取引のことをいう。例えば、現物株を保有している投資家が、今後の株価下落が予想される状況で、現物株を売却せずに先物等を売り建てることで、現物株に発生する評価損を先物等の利益でカバーしようとする取引などが代表的です。このような取引方法を「売りヘッジ」といいます。また、いますぐに現物株を購入する資金はないものの、近い将来資金を得ることができるような状況にある場合、買う前に株価が上昇してしまうリスクを回避するために、先物等を買い建てておく方法が考えられます。このような取引手法を「買いヘッジ」といいます。 日興証券

ノミ屋
▼JRAなど本来の胴元を通さず、賭けを丸呑みするのがノミ屋。公営のギャンブルなどもあるのに、私設の胴元に出番があるのはなぜの疑問。

裸売り、のやり方をみると、これに近い。元本偽装してコピー乱発して売り捌くのはれっきとした詐欺行為。それが平然とまかり通るのはやはり異常。

筆者 コメント

もともと「あぶく銭」など余裕がない人間にとって、投資(株、ファンド、FX)に縁はなく、やらなければ損失もないという算数計算は、とても簡単だった。
その記事を読んで、同じように無縁の人も多くいたと思う。その反対で、リーディング画面を駆使して儲けた、という話しはよく訊くが実際の現金を見たわけではない。

としても、カネは多すぎる、と云うことはないので、隙あらば、オンナと同じでちよっかい出す、というのは必要経費の範囲じゃないかと思う。

その悲喜こもごもを説明したのが上の記事である。もともとは「株価操縦ゲーム」の動画は、現場アメリカ発においては、もっと細かな情報が語られていた。日本ではあまり話題とはなっていないようだが、その諸悪「ウォールストリート」がいかにすさまじい手腕かを語ったドキュメントは、アメリカならではと、逆に感心した問題話題作である。

国内のもう一つの頭痛

押し寄せる再開発の波、ネット通販に押され…渋谷・東急本店も閉店2023/02/01 08:11 読売新聞 2023/02/01 08:11
55年の歴史に幕を下ろした東急百貨店本店(1月31日午後、東京都渋谷区で)=木田諒一朗撮影  鉄道各社 テナント誘致 跡地に複合ビル~

東急百貨店本店

 東急百貨店本店(東京都渋谷区)が31日に閉店した。都内では鉄道会社がターミナル駅周辺の百貨店を相次いで閉店し、複合ビルの建設を計画するが、跡地に百貨店が入るかどうかは決まっていない。集客の目玉だった百貨店は、その役割を終えようとしている。
 同本店は1967年11月にオープン。高級住宅街に近く、駅直結だった東横店(東京・渋谷)と差別化を図るため、高級ブランドの品ぞろえを強化した。89年に隣に開業した複合文化施設「Bunkamura」とともに最先端のファッションや文化を発信してきた。跡地に建設される複合ビルには「百貨店が入るかどうかは未定」(東急百貨店広報)という。
 東急百貨店では、東横店も渋谷駅周辺の再開発に伴って2020年に閉店。同駅周辺の百貨店は、セブン&アイ・ホールディングス(HD)傘下の西武渋谷店だけとなった。1月31日には東京都立川市の「立川高島屋ショッピングセンター」百貨店区画と、北海道帯広市の「藤丸」も閉店した。

 セブン&アイは百貨店「そごう・西武」を米投資ファンドに売却することを決めており、旗艦店の西武池袋本店(東京都豊島区)などにヨドバシカメラが出店する案が出ている。日本百貨店協会によると、百貨店の店舗数は昨年末時点で185店と、1999年の311店をピークに減少傾向だ。コロナ禍前から地方の店舗を中心に閉店が相次ぎ、近年は首都圏のターミナル駅に近い店舗にも再開発の波が押し寄せる。
 電鉄系の百貨店では、小田急百貨店新宿店本館も昨年10月、新宿駅西口の再開発工事に伴って閉館した。跡地にはオフィスや商業施設が入る地上48階、高さ約260メートルの複合施設を建設する。京王百貨店新宿店も再開発によってビルの建て替えを計画している。いずれも跡地のビルに百貨店が入居するかどうかは未定だ。背景には、鉄道各社が駅近くの複合ビルに集客力のあるホテルやテナントを誘致し、賃料を稼ぐ事業モデルへの転換を進めていることがある。

おそらく、あと10年すると国内のデパートは無くなる。それを全部ネット通販のせいだと、責任転嫁している日本的商業構造を問題視しない政府と、メディアと企業経済連の罪のなさは、その「ウォールストリート」、より一から学んだ指南テキストなんだろうか。



voice.KORGコルグ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?