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ピアノの購入を相談されたときに伝えたい「買ってはいけないピアノ」

400種類以上。

世の中にはたくさんのピアノのモデルがあって、今まで僕自身が調律したことがある数だけでもこれだけありました(ちなみにブランド数は106でした)これ以外に触った事のないピアノがどれだけあるのか想像もつきません。

その数だけピアノにはそれぞれ特徴があって、良いか悪いかは基本的には「弾く人の好み」です。

なので、全てのピアノが素晴らしい!と締めて終わらせたいところなんですが...

中には設計や造りに致命的な問題があり、好みの範疇を超えておすすめできない、はっきり言うと買ってはいけないピアノがあります。

今回は新品、中古に限らずこれからピアノを買おうと思っている方に向けて、それらのピアノを本音でご紹介します。お客さまや友人、家族に相談されたときに実際に伝えている内容です。

メーカーやモデルを特定している部分は有料記事になっています。今ご自分のピアノが気に入っている方は、本音で書きすぎているので...読まないほうが良いかも(フリではないですよ!)

買ってはいけない① 「ヨーロッパのブランドを中国・韓国のメーカーが買い取ったピアノ」

元々ヨーロッパにあったピアノメーカーを、中国・韓国の会社が商標、ブランドだけ買い取って製造しているパターンで、2006年くらいから国内でも増えてきた印象です。

新品でも価格が安めで、知らないメーカーなので検索してみるとどうやらヨーロッパの老舗ブランドらしい、と言うことで購入される方が多いです。でも実態は当時のものとは全く別物で、設計、材料、組み立て、仕上げ、すべてがピアノとしての最低ラインに達していません

故障が多かったり音の表現の幅が狭かったりと、本体は安くても実はコスパがものすごく悪いと言うのはありますが、なにより一番の問題点は「こういうピアノを目指している」と言うコンセプトが感じられないところ。ポジティブに長く付き合っていくのは難しいと思います。

(古いヨーロッパのピアノでも全てが手放しで素晴らしいわけではないですが、粗い造りの中にも想いが感じられる物が多いです。維持管理は大変だけど愛着を持ってがんばれる、と言うのは意外と大事です)

白や木目だったり装飾がされていたり、デザインがオシャレなものも多いです。ヤフオクなどでも格安で出ているのでお客さまからも「このピアノってどうでしょう?」とお問い合わせがありますが「正直、インテリアとして置くのでなければやめておいたほうが良いです」と強めにお伝えしています。

そもそも買ってはいけないピアノとは何か?

※この章は当初有料のつもりで書きましたが、多くの方に読んで頂きたいので無料公開としました。このあとの有料エリアの最後の、まとめの章と思って読んで頂ければ!

この記事を書いていて「なんでこれらのピアノを買うのを止めたいのか?」考えました。

①のように価格の安いピアノは買いやすいし、予算が理由でピアノ自体買うことをやめてしまうくらいだったら、多少質が悪くてもピアノを手に入れる妨げをしないほうが良いんじゃ無いか?とも思います。一定以上のクオリティのピアノを届けたいと言うのは専門家のエゴなのでは?とも。

現にいわゆる「安ギター」なんかは、とにかくギターをはじめるための1歩としての存在理由があります。

でも①のピアノをはじめとして、買ってはいけないピアノと言うのはひとことで言えば「たぶん、あなたの知ってる“ピアノ”とは違う」からなんです。

ピアノ教室や学校、ホールで触れてきたピアノはたいてい、ヤマハの良くできたピアノだと思います。こんな音で、こんな感じのタッチ。このくらい頑丈で長持ち...と言うピアノのイメージで買うと「あれ?思ってた“ピアノ”と違う...」と言う不幸なミスマッチを防ぎたいと言うことに気づきました。


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