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「“あたりまえ”の変化」について考えてみた

「ピアノには乾燥しているほうがダメージが大きいんですよ」

という話をするとたいていの方が驚かれます。

ピアノ=湿気に弱いというイメージは強いと思いますが、乾燥に弱いというのは8割くらいの方がご存じない気がします。

なので湿気対策は万全でも、乾燥対策は全くされていないピアノがたくさんあります。

現在日本にある多くのピアノは1970年代、80年代の製造で、その頃は環境が今より多湿寄りだったため、メーカーや楽器店も湿気対策は強く啓蒙していましたが、乾燥対策はあまり口うるさく伝える必要がなかったようです。おそらくその時のイメージが強く残っているんでしょうね。

今は年々乾燥が進んでいます

ヒートアイランド現象でそもそもの湿度が下がっていることに加えて、最近の住宅は高気密、高断熱で乾燥の傾向があります。毎回調律の際には湿度を測るのですが、実際に5年前と比べても年々乾燥は進んでいる実感があります。

昔の「あたりまえ」が実は変わっていることって結構ある気がします

ピアノの作業で言えば、昔は可動部分に滑りを良くするために黒鉛を塗っていましたが、今は黒鉛はフェルトに付くと硬くなって雑音の原因になることがわかり10年くらい前からはほとんど使う調律師はいません。

ピアノ以外でも、昔はケガをしたときには傷口を消毒して乾かすのが当たり前でしたが、今は消毒はせずに傷口をなるべく乾かさないほうが良いことが常識になっていたり。(これもたまたま実は乾燥が良くないよって話ですね)

また10年後くらいにはこれらの常識も変わっているかもしれないので、
「あたりまえ」のことはときどき最新の情報なのか疑ったほうが良いなと思いました。

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