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鈴を持つ者たちの音色  第十一話 ”α”-ゴールド⑥

WA(輪):「選ばれし者?(笑)私たちそんなんじゃないよ。ただ、扉を開けて、中に入ったんだ。家の玄関の扉を開けるようにね。ただ、開けた。それだけよ。」

巡回員ゴールド:「ただ、開けた?(笑)…。私は、一度も‥扉さえ開けられなかったのに。
その扉は鉄よりも重く、太いボルトで止められているように壁に張り付き、数ミリとも動かなかった。この壁(岩)を何回も何回も、ここまで登ってきて、結局いつもこの扉は一度も開けられなかった。」

巡回員ゴールドは山登りのスペシャリストだ。
”ゴールドライン”に存在するあらゆる壁(岩)を登り熟知してきた。巡回員ゴールドは数々の壁(岩)を登ってきた中で、ここの壁(岩)が1番特別な壁(岩)と知っていた。
巡回員ゴールドの目的は20歳の儀式に案内することでは無く、自分自身が神聖な洞窟へ入るための工作だった。」

巡回員ゴールド:「君らは、この洞窟の中で何か見なかったか?ここは神聖なる頂。中で何か見たはずだ。」

ふたりは顔を見合わす。

GA(我):「中には何もありませんでした。ただ眩し過ぎて前に進むことが出来なかったので、直ぐに引き返してきました。私たちはどのぐらい中にいたのでしょう?」

巡回員ゴールド:「2時間だ。直ぐに引き返してきた??お前たち何を言っている。。2時間経っているのだぞ。直ぐに?はないだろ。言い直せ!嘘をつくな。それに眩しい?だと。そんなはずないだろ!この中は洞窟だぞ。明かりなんて無い、暗闇のはずだ。」

ふたりは再度顔を見合わす。

WA(輪):「中には時間はないんです。次元が違う。時が進まない部屋になっているのです。」

巡回員ゴールド:「ワッハッハ笑。ハ?おかしいなぁ。笑いが止まらないよ。そんなデマ。通じると思うか?」

巡回員ゴールド:「何を隠しているのかわからないが、とりあえずミーはその洞窟の中に入るぞ。
君たちが扉を開けてくれた。私はその中に入り、”丸魂”を探す。君たちには言っておく。
その”丸魂”は、このぐらいの大きさでな(バレーボールぐらいの大きさをジェスチャーする)ここ”グランドライン”の未来を映し出すそうだ。私はここ”グランドライン”を出たいのだ。このまま”グランドライン”は変わらない世界なのか、それともいつかは滅びるのか、または大きく肥大化し、少しは生きやすくなるのか、それを知りたいのだよ。私は”グランドライン”だけじゃなく、生きているうちに、もっと地上の山々を登りたい。地上への脱出口がもし、どこかにヒントがあるならどんな事をしても、それを手に入れたい!ただそれだけなんだ。じゃぁな。」

巡回員ゴールドは洞窟の中に入っていった。
背中をみる。
洞窟の中は巡回員ゴールドがいくら奥に奥にと中に入っていっても眩しいどころか、明かりひとつ付かなかった。
巡回員ゴールドの言葉を借りれば、巡回員ゴールドは”選ばれし者”では無いようだ。
おそらく”丸魂”も見つからないだろう。
巡回員ゴールドは、あの洞窟で何日も何日も”丸魂”を探して気付くことだろう。
何日たっても時間は止まっていて、外に出てきた時は外の時間は経過している。それが何年後の”グランドライン”なのか何十年後の”グランドライン”なのか。どちらにせよ次に彼が”穴”から出た時の時代の変化は彼には満足するものに変わっていて欲しいものだ。彼が”生きていく”ために。

クライミングは降りる時のほうが難しかった。足をかける位置がわからない。何時間もかけてようやく下まで降りることができた。

WA(輪):「あのさぁ。降りれたのはよかったんだけど、巡回員ゴールドがいなくなって、どうやって本部へ戻るの?帰り方がわからない。この場所までどうやってきたっけ。」

GA(我):「任せといて。24時間以内だったら、まだ鼻が効くから。」

WA(輪)とGA(我)はこうして無事に時間内に本部へ戻ることができた。
時間は午前7時半だった。
隊長は彼らが帰ってきた姿を見て金色の旗を振りふたりを出迎えた。

隊長:「ご苦労だった。君たちの活躍は黒色海鳥からのカメラ映像で確かめたよ。巡回員ゴールドはすまなかった。私利私欲に走ってしまったようだ。あそこの”神聖なる頂”は君たちの手に負えるような所ではなかったのだか、よくやった。もちろん任務はクリアとなるよ。おめでとう。これをやるよ。」

WA(輪)とGA(我)は金色に光ったゴールドの鈴を手に入れた。早速首にかける。
WA(輪)が鈴を振りながらGA(我)に言う。
「ねぇ、隊長は私たちが行ってきた”神聖なる頂”の洞窟の話は知ってるのかな?時が止まる話。そして”丸魂”の話。」

GA(我):「おそらく知らないんじゃないかな。巡回員ゴールドが誰にも教えて無いと思うし、ゴールドのあの感じだと、扉が開いたのもはじめてっぽい感じじゃなかった?僕らが時間が止まる話をしたら笑っていたから、隊長にも話すのはやめよう。僕らが頭おかしくなったとしか思わないよ。」

WA(輪):「いいのかしら。とても大事なことだと思うんだけど。」

GA(我):「僕らが体験した事は現実であった。僕が思うに、この”グランドライン”にはあのような次元が違う場所がいくつかあるような気がする。僕らが見た眩しい”グランドライン”の記憶のように、この”グランドライン”の存在そのものが既にあり得ない次元が違う現実世界なんだから。」

WA(輪):「そうね。ここ”グランドライン”で私たちが普通に生活しているだけで、それは”あり得ない”ことなのね。」

GA(我):「僕、気付いたんだ。ここ”グランドライン”の中にいれば人間の能力だって、もっと色んな能力を産むことができる気がするんだ。例えばアメコミみたいに手から火を出す。とかね(笑)。」

WA(輪):「それは面白い(笑)。本当にそんなことができたとしたら、ここ”グランドライン”はますます色んな可能性を創る場所になっていくね。」

GA(我):「うん。僕らがこれからの”グランドライン”を創っていくんだ。洞窟で見た誰かの記憶の中の水龍だって、現実にきっといる!もしかしたら”グランドライン”の中での不思議な出来事は、あの水龍がもたらしているのかも知れないしね。」

WA(輪):「まだまだ探すものは沢山あるね。」

GA(我):「そうだね!」

WA(輪):「私たち。大人になったのよね。もう今日から大人。。しみじみするわ。」



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