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コロナ禍に狼狽えることなく暮らすために!

コロナ禍の自粛やテレワークなど普段やりなれない生活を強いられ大きなストレスを感じている人も多いと思います。加えて、この暑さ!マスクで蒸れて熱中症になるのも恐ろしいような状態です。三密を避けてソーシャルディスタンスをキープするのが大切なのはなんとなく理解できても、それにこだわり過ぎると暮らしがままなりませんし、ストレスだって溜まる一方です。

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外出を制限する自粛を実行したところ感染者数が減少し、「わーい、やった!やった!」、「さすが、ルールを守る日本人!」と喜び、自粛を緩和したとたんに人の出入りの激しい東京や大阪で感染者数が急激に増え始めてワイドショーやニュースで大騒ぎが始まり、「どうなるねん?!」とまたまた大騒ぎになりました。
その上、食材の価格上昇に伴い家で食べようにも好きなものを思うように食べることができませんし、そもそも買い物に出かけるのも「感染するのではないか?」と恐る恐るという状況です。

そもそも、マスクが足りない時ならいざ知らず、マスクが充足してこれだけ皆さんがマスクをしていても除菌剤や殺菌剤で消毒していても自粛緩和したとたんに感染者が急増して、

●「これってどういうこと?」、

●「マスクの効果って?」、

●「除菌剤の効果って?

と疑問に思う人もいるかもしれません。

コロナ禍の生活で経済的に困っている人もいます。仮に、家に閉じこもって外界との接触を断つことで新型コロナに感染するリスクを最小限に抑えたとしても、働かなければ収入がありませんので生活苦に陥ります。新型コロナで死ぬことは無くても、生活苦で一家心中なんてことになったら元も子もありません。

他方、人が家の外に出てくれなくては商売をしている店は収入が激減しますし、ソーシャルディスタンスを守るだけでも1日のお客様の数は激減します。経営を維持するためには新型コロナが広まる前の数ほど従業員は必要なくなり、パートやアルバイトの方の中には職を失ったという人もいるかもしれません。

何が言いたいのかというと、新型コロナの感染拡大と経済活動の両立はそれほど難しいということです。

感染拡大と経済活動

そんなこんなで、空いた時間でテレビのニュースやスマホやパソコンからの情報を見る機会が増加し、コロナ禍の状況に一喜一憂するような生活をしている人も増加しているようです。

新型コロナウイルスのことを知ろう!

敵を知り己を知れば百戦危うからず」という格言がありますが、新型コロナのことをあまり知らないのに情報だけが入ってくる状況は、まさしく、情報に振り回されている状態です。

ウイルスに対して知識を持っていない人、インフルエンザウイルス、B型肝炎ウイルス、エイズウイルスくらいは聞いたことがあるという程度という人がほとんどで、専門家でも詳しい情報が分かっていない新型コロナウイルスのことなど知る由もありません。

●新型コロナウイルス、もっと言えば、ウイルスがどのような「生命体であるのか?」

●「マスクで感染を抑えられるのか?」、「布マスクと不織布マスクの違いは?」

●除菌剤・殺菌剤でどこまで抑えられるのか?

などを知っていれば、日々入ってくる新型コロナ関連の情報に狼狽えることなく対処していくことができるのではないかと思います。

新型コロナウイルス関連の情報を発信する立場にある人も情報を受け取る側の立場にある人ももっと「新型コロナウイルスがどういうものであるのか?」、「新型コロナの感染症がどんなものであるのか?」を知っていれば、適切な情報発信と対応が可能になり、不安と恐怖にあおられることなくウイズコロナの生活を乗り切ることもできるのではないかと思う次第です。

このことを裏付けることになった出来事の最たるものが、過日の吉村洋文大阪府知事による「ポビドンヨードが配合されたうがい薬がコロナに効く!?」といった趣旨のコメントを発表した会見から始まった一連の騒動です。

コロナ博士のコメント1


吉村大阪府知事のコメントの是非

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吉村大阪府知事のコメントだけを聞けば、普通の人なら「うがい薬で新型コロナの心配をしなくて良い」と思っても仕方がないような言い回しにも聞こえます。
吉村大阪府知事が新型コロナ対策に奔走しておられるのを日々のニュースで見ているからこそ注目度が高く、期待度も大きく、言葉の上っ面だけがインパクトを与えてしまうのではないかと思います。
率直に申し上げると、吉村府知事の立場では「自粛緩和によって新型コロナの感染が拡大するのを最小限に抑えることができる」=「効く」と言いたいのだと思います。
感染している患者さん、感染する可能性のある人、感染したら死んでしまうかもしれないと不安に思っている人にとっての「効く」という言葉は「新型コロナウイルスが死ぬ」、「感染症が治る」といった意味の方が強いということです。
言い換えるなら、「効く」という言葉の捉え方が知事と一般の人の間では異なっているということと推測されます。

実際、ポビドンヨードの新型コロナに対する効果に吉村大阪府知事が期待するところが大きすぎて、過剰な表現になってしまったというところもあるのかもしれません。
翌日には誤解のあったことに対する会見が行われていましたし、研究者の大阪はびきの医療センターの松山晃文次世代創薬創生センター長がワイドショーなどに引っ張り出されて詳細な説明がなされていました。

それでは、実際の研究内容と結果はどういうものだったのでしょうか?

ポビドンヨードで新型コロナにどこまで対抗できるのか?

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結論から申し上げると、今回の結果からはポビドンヨードで新型コロナウイルスに対抗できるということは断定できません。

大阪はびきの医療センターの研究そのものは、41人の患者を対象にポビドンヨードが配合されているうがい薬で6時間おきにうがいしてもらった人のグループとうがいをしない人のグループを比較したもので、ポビドンヨードを配合したうがい薬を使用してうがいをした人の方が唾液を採取して行うPCR検査で陰性となる人が多かったというものです。
詳細は8月5日18:09に配信されたABCニュースで公開されています。

簡単にお話しさせていただくと、実験そのものは、
●大阪府の宿泊施設の療養患者41名を対象とした実験
●ポビドンヨードを配合したうがい薬で1日4回のうがいを実施
●毎日、唾液を採取しPCR検査を実施

実験結果は以下のようになります。

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これを見る限りは、ポビドンヨード配合のうがい薬を使ったうがいによって4日目の陽性率が極端に低下していることは分かりますが、新型コロナウイルスが死んでいるということの証明にはなっていませんし、水だけで行う普通のうがいとの差も分かりません。

加えて、41名による実験の結果ということもあり、偶然このような結果が出たという可能性も否定することはできません。
数が少ないからいい加減な結果というわけではありませんが、この結果をもってポビドンヨードが配合されているうがい薬に新型コロナウイルスを死滅させる効果があるということを証明できているものではありません。

また、人数が少ないというだけでなく、うがいをしない人でも陽性率は日に日に低下していますので、療養していれば陰性になるようなもともと体力のある患者を対象にしていることも重要なポイントです。
言い換えるならば、この結果から言えることは、ポビドンヨードを配合したうがい薬を使用してうがいをすることによって、陰性になるのが早くなる可能性があるという程度と考えた方が無難であると思います。

コロナ博士のコメント2

うがいを励行する効果があることは以前から言われていることですし、うがいをするのにうがい薬という一手間を加えることで感染が拡大するのをより抑える可能性があるという方がスマートな成果報告だったのではないかというわけです。

うがい薬の過剰利用によってどんなことが起こる可能性があるのか?

訂正会見なども開かれてポビドンヨードに関する一連の騒動は落ち着いてきたように見えますが、暫くの間はポビドンヨードを配合したうがい薬の品薄状態が続くのかもしれません。
一般家庭は品薄になっても大きく困るわけではありませんが、医療ドラマなどで見ることもある手術の時に術部に塗布するポビドンヨードも不足することになるかもしれません。

また、ポビドンヨードが口の中の新型コロナウイルスを減少させてPCR検査を陰性にするのであれば、唾液を採取して行われるPCR検査が正確でなくなる可能性があります。

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陽性の人がPCR検査を行う前にポビドンヨードが配合されたうがい薬でうがいを実施していると、体内に新型コロナウイルスを抱えているにもかかわらず唾液を採取するPCR検査では陰性という結果が出てしまう人が増加するというわけです。これについては、鼻の粘膜から採取すれば良いとする人もおられますが、口で増えやすいという特徴を活かして唾液中の新型コロナウイルスをPCR検査で検出するのが感染判定に使えるということなのに鼻から採取して同じような感染検出感度が得られるのかは不明です。

個人的に最も大きな問題と感じているのがポビドンヨードが配合されているうがい薬は、比較的リスクの低いと言えどもリスクのある第3類医薬品という点です。
医薬品を転売することが法律に違反する可能性があることも知らずに転売している人がいるというのは論外ですが、ポビドンヨードを含むうがい薬を高頻度で使用することによって健康被害が発生する可能性はゼロではありません。

ポビドンヨードの副作用は?頻繁にうがいしても大丈夫なの?

ウィキペディアのポビドンヨードの説明の中に、ポビドンヨードを配合したうがい薬の副作用についての記載がありました。

ポビドンヨードから遊離するヨウ素の強い酸化作用によって微生物やウイルスを殺すわけですが、人の細胞も無傷というわけではありません。うがい薬で口の中や喉の細胞が傷つけられて荒れてくるために感染症のリスクが高くなる可能性があると言われています。

口の中や扁桃腺で他の感染症を発症することによって免疫力が低下して、新型コロナに感染しやすい、あるいは、重症化しやすい状態になってしまう可能性もあるというわけです。

加えて、うがい薬はうがいをして吐き出すことになりますが、遊離したヨウ素が体内に吸収されることで体内のヨウ素濃度が上昇します。ヨウ素そのものは人の身体には必要な成分ですが、過剰に存在することで甲状腺機能障害を起こす可能性がありますし、稀にアナフィラキシー様反応と呼ばれるアレルギー症状を引き起こすことがあります。
アレルギーのある方は、皮膚につくと痒くなったり発熱したり発赤したりするので、分かると思います。

コロナ博士のコメント3

まとめ

いかがでしたでしょうか?

新型コロナウイルスの特徴の一つである「感染した人に味覚障害や嗅覚障害が出やすい」ことから考えても新型コロナウイルスが口の中で増えやすいということは明らかですので、うがいをすれば口の中にいる新型コロナウイルスは排出されますし、6時間おきにうがいをすれば口の中の新型コロナウイルスの数はどんどん減ってくるのは当たり前のように思います。
増えるスピードより速く排出されれば口の中の新型コロナウイルスの数が減ってくるというわけです。

このように、新型コロナウイルスの特徴を理解しポビドンヨードの殺菌メカニズムなど幾つかの情報を知っていれば、吉村大阪府知事も含めて大騒ぎになることは無かったのではないでしょうか?

科学的に考えること自体はそんなに難しいことではありません。現象や結果、あるいは、それを引き起こす原因となるものの知識を増やすことができれば、誰でも現象を科学することはできるのです。

結果のあるところには必ず原因がありますし、原因が解明できれば安心できますし対処方法も明確になってくるというわけです。今は自粛緩和によって感染者数が増加する傾向にあり不安も恐怖も多いかもしれませんが、国や自治体が決めたルールにのっとって行動するにしても、ウイズコロナで注意すべき点が分かれば、多少は暮らしやすくなるのではないでしょうか?

また、最近は感染源が夜のお店から合宿や部活動にシフトしているように言われていますが、新型コロナウイルスが絶滅していない限り感染源が消えるわけでは無いのでシフトしているという表現は気を付けた方が良いと思います。

今後は、新型コロナウイルスのこと、マスクにできることとできないこと、除菌剤や殺菌剤で注意すべき点などを分かりやすく解説しながら、ちょっと注意するだけで感染リスクを低減できるようなことを、私見を踏まえてになりますが、発信していきたいと思います。

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