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一般質問スピンオフ企画「公共施設の予約とマーケットデザイン」

 12月議会が15日に閉会したので、その内容についてまとめていた矢先のこと、一般質問で取り上げた「公共施設の予約抽選」について、一般利用者向けに文書が送られてきました。

   まなび学園体育室の利用申請について(お知らせ)
 日頃より、 当館体育室をご利用いただきありがとうございます。
 さて、 当館では、本市1 2月議会一般質問のなかで、 当館体育室の一斉利用申請受付時において、 会場に出向くことが困難な団体も、 参加できるような仕組を検討するよう要望されております。
 そこで、従来の申請方法を見直しし、令和5年1月5日における3月申請分の一斉受付にっきまして、 利用申請書をあらかじめ受付し、 当館で厳選なる抽選を行い、 予約申請順を決定のうえ、 申請を受付ける方法を試行的に実施することとしました。
 つきましては、 同封の 「当館使用許可申請書」 を使用していただくか、 市ホームページからダウンロードしていただき、 下記連絡先へメールまたはFAXにて1月4日(水)正午までにご提出くださるようお願いします。
 なお、 申請受付後、借用決定にかかる連絡を申請書提出元へメールまたはF にて送信いたしますので、 ご確認いただき、 再申請や変更・取消等がありましたら、 お電話にてご連絡ください。

(12月19日付 花巻市生涯学園都市会館
佐々木正晴館長発出「まなび学園体育室の利用申請について」より抜粋) 

 私が取り上げた一般質問における課題に迅速に対応していただいたことに、まずはこの場を借りて御礼申し上げます。
 このことは、一般質問で取り上げる前から何回か関係者にはお話ししていたのですが、やはり実際に市議会という公の場で訴えると、こうも違うものか・・・と実感した次第です。

 実際の一般質問では、『体育室の一斉利用申請受付時において、 会場に出向くことが困難な団体も、 参加できるような仕組を検討するよう要望』している訳ではなく、12月議会一般質問その②(公共施設の予約と抽選)の記事でも書いた通り、

 費用的にはかかるかもしれないが、予約抽選自体をデジタル化して、機械による自動抽選システムにしてしまった方が、職員の事務負担軽減につながり、住民のサービス向上につながる。
    そして、これからの社会におけるデジタル化は必須であり、働き盛り世代の負担軽減のみならず、若者から選ばれる街になるためにも早急にデジタルインフラを整備する必要がある。 

 ということを訴えたものでした。

 しかしながら、なかなか届かない市民の声、現場の声を取り上げ、課題を解決していくという議員活動の一つの成果にはなったのかな、と思います。
 一方で、この方法がいいのかどうかについては、さらに検討していく必要があると思います。

 今回、とりあえず、平日の朝8時30分に市民を集めて抽選する・・・といったアナログで、市民に負担を課す仕組みからの改善にはなったと思いますが、一方で、もしかしたら「前の仕組みの方がよかった」という方もいるかもしれませんし、試行錯誤しながらいい仕組みを考えていけばいいのではないか?と思います。

 せっかく試行錯誤するのであれば、ぜひ、公共施設の予約の公平性を担保する仕組みとしての「マーケットデザイン」の導入を検討していただくよう、この場を借りて提案したいと思います。

 「マーケットデザイン」とは、「人々にとって望ましい結果を得るための制度設計」のことで、主にマッチング理論などが有名です。

 具体的な例を挙げると、保育園の待機児童の解消は都市部の自治体の大きなテーマですが、これまでのような行政のルールによる順位付けでは「行政のルールの恣意的な部分もあって公平性を担保するのが難しい」という課題がありました。
 この課題を、アルゴリズムの導入によって解消することにより、待機児童の解消が進むとともに保育園に預けたい親の満足度も向上させることを可能にした、というものです。

 こちらは、東京都多摩市の実証実験の事例ですが、保育園の利用調整のみならず、ワクチン接種の予約におけるマッチングシステムなど、行政の様々な分野で今後「マーケットデザイン」の活用が期待されます。

 保育園の利用調整の仕組みが「マーケットデザイン」で可能ならば、公共施設の予約システムなら尚更「マーケットデザイン」の仕組みが有効でしょう。

 
 これまでは、公共施設の予約重複の解消は「抽選」という『運のいい人(団体)のみが総どりする』公平性があるように見えて『天国』と『地獄』システムだった訳ですが、予約希望団体の中には「かならずここの日時じゃなきゃ活動できない」という団体ばかりではなく、第2希望、第3希望でもいいな、という団体もあると思います。

 そういったところの各団体の全体的な満足度(経済学でいうところの『効用』)を上げるためにも、「マーケットデザイン」の仕組みをぜひ取り入れていただきたい。
 
 実は、この理論、すでに「研修医マッチング」として医療界では取り入れられていて、これを応用すれば簡単にできると思います。

 
 これらの「マーケットデザイン」について、2020年には「東京大学マーケットデザインセンター」が開設し、先ほどの多摩市の事例など、社会実装を目指し各自治体や民間企業とコラボしています。

 東京大学のOBである我が市の首長にぜひ頑張っていただいて、マーケットデザインの社会実装に取り組んでいただけないかなー、と思ったりしています。

 もちろん、こちらも研究しながら、期をみて提案したいと考えています。



 ということで、今回脱線してしまいましたが、「マーケットデザイン」についてご紹介しました。

 マーケットデザインとは何か、勉強したいという方には、ちょっと古いですがこちらの本がおススメです。  

  

 マーケットデザインを含めた経済学の社会実装を勉強したい方はこちらも。


 年末年始の間に、私も勉強です。いろいろと。


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