人生100年時代の地方公務員の人生戦略
先日、地方公務員時代の後輩2人に偶然に会った。
先月まで受託していたスポーツ関係の業務を終了し、自分は次のステージに進むための準備をしている・・・と話すと、
「次のステージ、羨ましいなぁ・・・」
というようなことを話していた。
彼らは、50歳前後の職員で、今の市役所を支えている屋台骨みたいな優秀な後輩達である。
ただ仕事は多忙のようで、2人ともまだ小学生の子どもを抱えているのだが、家族で過ごす時間がとれているのだろうか?と少し不安になる。
自分は2人の子どもがいるが、それぞれ小学校6年生と小学校3年生の時に退職した。
退職して金融資産は激減したが、子どもと接する機会は格段に増えた。また、退職を機に学校のPTAの役員の仕事も増えたので、自分の子どもだけでなく、地域の子どもたちの成長の様子もつぶさに見ることができた。
子育てに正解はないので、子どもたちと時間を過ごしたことがよかったかどうかはわからないが、どちらもこの春、自分が選んだ大学・高校に進み、まずは問題もおこさず、今のところちゃんと学校にも通っているようで安心している。
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地方公務員の定年は今のところ60歳。
実は、2023年から段階的に定年が引き上げられ、2031年度以降は65歳定年となる。
今年度55歳となる公務員の方から下の世代は65歳定年となる計算だ。
後輩たちもこのままいけばあと15年、公務員生活を続けることになる。
これは公務員のライフスタイルに大きな影響を与える。
メリットとしては、安定した収入があげられる。
65歳まで病気をせずに順調に働き続けていったとして、60歳定年より推定で1,800万円程度多い収入が見込める。
61歳から65歳までの給与は、60歳の支給額の7割程度になるが、それでも、まだ小さい子どもを抱える親たちにとって65歳までの定年延長は、金融資産を蓄積する意味でも大きな意味をもつ。
今の日本は、円安が進み、近い将来スタグフレーションの恐れもある。
そんな中、安定した収入を確保できるというのは大きなメリットであろう。
一方で、仕事のやりがいや生きがいといった観点から考えると、65歳まで働くことはメリットだけでない部分も見えてくる。
ベストセラーになった「LIFE SHIFT(東洋経済新報社)」の著者リンダ・グラットンとアンドリュースコットによれば、あと30年後には全国で100歳以上生きる人が100万人を超え、現在の中学3年生の半分が107歳まで生きるようになるという。
100歳まで生きることが当たり前の世界では、これまでの「学校(教育)⇒会社(仕事)⇒余暇(引退)」というスタンダードなライフサイクルの変革を迫られる。
65歳で公務員を辞めたとしても、あと35年という長い期間を「老後」として過ごすのであろうか?
また、「老後」期間の資金をどうするかという問題もある。
65歳にもらえる退職金が一般のサラリーマンより高額だったとしても、支給額が年々減り続け、支給年が先送りされている年金制度に不安を抱えながら、金融資産をただ減らし続けていく「老後」を望むのであろうか?
もう一つの問題は「健康寿命」という問題だ。
65歳までフルタイムで働くうちに、知らず知らずのうちにカラダは悲鳴を上げていく。
それは、単純に肉体の衰えといった問題ではない。
ストレスという魔物が体や脳に与える影響を少なく見積もらないほうがいい。
無事に65歳まで仕事を全うしたとしても、退職した頃にはすでに老化している可能性もある。
やりがいのある仕事をつづけているならばいいが、65歳まで他人にコントロールされる人生にあなたは耐えられるだろうか?
これらの問題を考える意味でも、今すぐにでも自分の人生の設計図を作ってみた方がいい。
それもぼんやりとした「絵」ではなくて、できれば精密な設計図で描くこと。
だが、それは自分の人生を決定づけるモノではない。何回も書き直しが許されている。いや、そのその都度アップデートしていかなければならない。
50歳ならば、あと15年働くうちにその後の人生の展望を描けるような資格をとってもいい。
なんなら、早期退職して趣味をビジネスにするための戦略を描いてもいい。
重要なのは、「ただだらだらと日々を過ごすことではなく、自分の人生を自分で決めること」なのだ。
個人的には、80歳ころまで「やりがいのある」仕事をつづけた方がいい、と考えている。
もちろん、その仕事は、ボランティアに近い仕事や社会貢献できるものであってもいい。
いずれ、年金もらって悠々自適に浪費しながらワイドショーと共に暮らすのではなく、元気であれば誰かのために活動したほうが幸福感は増えるはずである。
本当は、30代や40代からでも自分の人生戦略を考えておいた方がいい。
例えば、80歳まで働くと仮定して、20代から働き50歳で早期退職してたとしても、次の仕事は30年もあることになる。
早いうちから残りの30年の仕事の準備をしておけば、やりがいもあってお金を稼げるビジネスをすることも可能だろう。
思えば、自分ももっとよく戦略を練ってから退職すればよかった・・・と後悔をしている。
だが、退職したことで、あと30年働けるビジョンが描けているのもまた事実だ。
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地方公務員のための幸せメソッド
「自分のパーソナリティを知って、幸せな人生の扉を開く」ための記事を書いています。公務員時代や退職後の「しくじり」経験など織りまぜながら、「…
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