見出し画像

6月定例会一般質問②「公共施設マネジメント」

前回、6月14日に行われた一般質問について、2項目質問したうちの一つ「地域公共交通計画に基づく取り組み」について報告しました。

今回は、もう一つの項目である「公共施設マネジメント」について一般質問の要旨と当局とのやりとりについて報告したいと思います。

一般質問の要旨

令和6年3月に改訂された公共施設マネジメント計画の基本方針編(以下基本方針編)。
私は、これからさらに進む人口減少社会に対応した公共施設の在り方を考える上で非常に重要な計画だと思っていて、「公共施設の総量縮減を進め次世代への負担を減らしていくべき」という立場から次の4点について質問しました。
 
1.公共施設マネジメント計画実施計画編(第2次)の策定について
  個別の施設ごとの長期方針と短期方針(維持・廃止・長寿命化など)を
  定める公共施設マネジメント実施計画編(第2次)(以下「第2次実施
  計画編」については、利用者や関係者からの意見聴取やワークショップ
  などの手法を取りながら策定を進めているのか伺う。
 
2.建物施設の将来更新費用について
  策定当初の基本方針編では、建物施設の建替えや大規模改修にかかる将
  来更新費用の試算の結果「今後40年間に約2,278 億円の費用がか
  かる」と予測していたが、策定から7年経過し、建物施設全体の更新費
  用はどうなっているのか現在の推計値について伺う。
 
3.公共施設の維持管理、整備にかかる新たな基金の創設について
  今後、公共施設の維持管理、整備には多額の更新費用がかかると予想さ
  れる。これから、人口減少による税収の減少等を考えると、今のうちか
  ら公共施設の維持管理、整備のための基金を創り、将来のために準備し
  ていく必要があるのではないかと考えるが所見を伺う。
 
4.公共施設マネジメントにおける外部機関の活用について
  今後、新たな指定管理の導入やPPP(※)等公民連携に取り組む計画
  はあるのか。また公共施設マネジメントにおける評価と評価に基づく改
  善、計画、実行のサイクル(PDCAサイクル)をまわしていくための
  外部有識者会議を創設する考えはないか。

市長答弁の概要

上記質問に対する市長答弁の概要は次のとおりです。

1.第2次実施計画編の策定については、8月の策定に向けて現在作業を進
  めている。本来実施計画編は市民参画の対象計画ではないが、議員説明
  会をはじめ、パブリックコメント、地域協議会、地域自治推進委員会、
  住民説明会などを開催し、市民から意見を伺う予定としている。

2.建物施設の将来更新費用については、学校施設の統合など状況が変化し
  ている状況にあり、学校施設や市営住宅、消防施設、公園を除いた部分
  (基本方針編で示した部分)以外の更新費用の具体的な数値の算出はし   
  ていない。

3.花巻市はまちづくり基金(約65億円:R4決算)、財政調整基金(約
  77億円:R4決算)など県内の他の自治体に比べて基金としては充実
  している。今後、公共施設の維持管理、整備について、必要であればこ
  れら基金を取り崩し対応していくこととしており、新たな基金の創設に
  ついては考えていない。

4.指定管理については多くの公共施設について導入しているところである
  が、PPPについてはいまのところ導入予定はない。公共施設マネジメ
  ントに係る外部機関の活用は現在のところ考えていない。

再質問を含めた当局とのやりとり

市長答弁を受け、私は次のとおり再質問をしました。

1.8月に実施計画編の策定を予定しているにもかかわらず、これから議員
  説明会をはじめ、パブリックコメント、地域協議会、地域自治推進委員
  会、住民説明会などを開催するのはスケジュール的にタイトではない
  か?

2.現在の建物施設の将来更新費用は算出していないとのことだが、平成2
  9年3月時点の推計値によれば、このまま総量縮減されない場合、1年
  間あたり建物施設で最大50億円程度の維持管理経費がかかるといわれ
  ている。また道路・橋りょうに関しては今回の改訂版で21億円程度の
  維持管理経費がかかると推計されており、将来にわたって非常に負担が
  大きくなると予想されるが、そういう意味でも財政運営が健全化してい
  る現在のうちに公共施設維持、整備にかかる基金を創ってはどうか。
  ちなみに、県内他市では庁舎建設など具体的な目的のある公共施設の整
  備基金を含め、県内33市町村のうち25の市町村で、公共施設維持、  
  整備のための基金がある。

3.今のうちから公共施設の総量縮減を図る必要があると思うが、個別の施
  設に関して実際に利用者がいるうちは、施設の廃止や休止など、行政と
  してもなかなか痛みの伴う判断はしにくい。その際、客観的なデータや
  判断をするという観点から、外部の研究機関や有識者などを活用する考
  えはないか。

私の質問を受け市長(一部財務部長)は、「スケジュールは厳しいが実施計画編を8月に策定する方向で取り組む。基金創設も一つの考えとは思うが、先般、令和9年度までのアクションプランで財政見通しを示したところなので、まずは現在ある『まちづくり基金』や『財政調整基金』を活用しながら公共施設維持管理につとめていく。有識者や外部機関の活用も考えられるが、最終的には市が判断しなければならないと考えている」と述べました。

所感

「公共施設のマネジメント」に関する質問は、なかなか一般の方には身近なものではなく、議員の方々の中でも関心が高い分野とは言えなかったのかもしれません。
3日目の午後イチという時間も相まって、私の質問がまるでラリホーの呪文のように議場に漂い、皆さんをまどろみの世界へいざなった可能性も否定できません。

しかしながら、将来のまちのことを考えると「公共施設マネジメント」については、決して先送りしてはいけない課題だと思います。

今回私が行った公共施設マネジメントに関するいくつかの提案について、今すぐ導入するような答弁はありませんでしたが、将来負担をできるだけ少なくする公共施設の在り方について、今後も継続して議論をしていきたいと思います。


(※)PPP(Public Private Partnership)とは、公共施設等の建設、維持管理、運営等を行政と民間が連携して行うことにより、民間の創意工夫等を活用し、財政資金の効率的使用や行政の効率化等を図るものであり、指定管理者制度や包括的民間委託、PFI(Private Finance Initiative)など、様々な方式があります。地域の様々な状況・課題に対応するため、各地域の実情にあわせた様々な官民連携事業が全国で検討・実施されています。
(国土交通省官民連携ホームページ:https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/kanminrenkei/1-1.htmlより引用)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?