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『地方議員のリスキリング』~令和5年度研修報告①~

入学式シーズン!花巻東高校の入学式にいってきました。

4月になりまして、今週は、花巻市内の小学校、中学校、高校等で入学式が行われました。

私は4月8日(月)に開催された「花巻東高等学校入学式」にPTA役員として出席してきましたが、今年度は定員を大幅に上回る285名の新一年生を迎えることとなりました。
やはりいろいろな意味で「花東人気」というのでしょうか。
新一年生の県外出身者は40名を超えるということで、女子硬式野球部やサッカー部、今年は硬式野球部においても数名の県外出身者がいるということで、ある意味移住者が増えていることになり、そういう意味ではありがたいことです。

一方で、高校生なので、ずっと花巻にいるわけではなく、ここから大きく様々な場所へ羽ばたいていく。それでも、せっかく花巻にゆかりができるのですから、私たち大人は、そういう高校生たちとの関係を大事にして、卒業しても「花巻は良いまちだったなぁ」と思えるまちづくりをしていく必要があると思います。


住民の声を聴くことも大事。まちづくりを考えていくことも大事。

また、4月は町内会や自治会、各種団体で年度替わりの「○○総会」が開かれるシーズンでもあります。
私もいくつかの「○○総会」に呼ばれていますが、地域の方々の声をお伺いするには絶好の機会であり、私も積極的に参加させていただいています。

総会などでお伺いする住民の方々の声は、地域課題の掘り起こしという意味で非常に重要であり、我々市議会議員として最も重要なアプロ―チとなります。
一方、市議会議員は住民の声を市政に届ける事だけが仕事ではありません。
これからのまちづくりを市民や行政と一緒になって考えていく。そういう役割を担っていかなければなりません。

私は、市議会議員や町議会議員などの地方議員は、現状の社会課題に対応するだけでなく、新たなまちづくりを考えていくためにも、常に自分の知見を広げていく必要があると思っています。
そういった意味で、先進地に視察したり、研修を受けたりしながら議員活動をアップデートしていく、いわゆる『地方議員のリスキリング』を行っていく必要があるのではないでしょうか。

令和5年度の研修報告

私は、昨年度(令和5年度)地方自治体の政策を学ぶ研修や地方議員向けの研修に4回ほど参加をしてきました。
いずれの研修も中身が濃く、また、他自治体の事例などを知ることができて非常に有益でした。

今回の記事では、昨年度参加した研修のうち、いくつかの研修の内容等を紹介したいと思います。

NPO法人政策21主催「政策研究セミナー2023」

1.期日   令和5年11月11日(土)
2.研修先  コミュニケーションギャラリーLiRioリリオ(岩手県盛岡市)
3.目的
  岩手県立大学の二名の研究者から、政策や評価などに関する最近の研究
 成果について、変化する県内外の動向を見据えた話題提供を頂き、地方自 
 治体における政策決定とそのプロセスの課題など、幅広い視点から議論す
 ることを目的とします。
4.内容
(1)社会福祉学と政策学との「微妙」な関係―包括的支援体制政策を例に
   岩手県立大学社会福祉学部教授 佐藤 哲郎氏
(2)EBPM の功罪:公共政策学からの問題提起
   岩手県立大学総合政策学部講師 杉谷 和哉氏 

この研修は、公共政策学の観点から現在の地方政治の問題点を学ぶというもので、公共政策の基礎知識がないとついていけない、レベルの高い研修でした。
とはいうものの、自分の知識がまだまだ足りない「社会福祉」の分野について学ぶことができましたし、「EBPM」について改めて研究者の方に解説いただいたことは、非常に貴重な体験でした。

第一部の「社会福祉学と政策学との「微妙」な関係―包括的支援体制政策を例に」の講演では、地域福祉におけるボトムアップ的な政策が、結果として地域づくりにつながるという事例が紹介されました。
花巻市においては、政策においても地域づくりにおいても「ボトムアップ」の観点が欠けており、これを政策として実現していく困難さを実感しながらも、今後、市当局にボトムアップの重要性についてさらに訴えていく必要があると感じました。

また、第二部の「EBPM の功罪:公共政策学からの問題提起」の講演ですが、地方自治体が行う政策は、経験や勘に基づいた政策であったり一部のステークホルダーのための政策であったりすることが散見されますが、「EBPM」とはエビデンス(実証)に基づいた政策をすべきとの考え方で、他自治体では政策立案の手法として取り組んでいるところもあるそうです。
この「EBPM」については、過去に一般質問において言及したことがありますが、市当局においてオーソライズされている(組織として公認して取り組んでいる)とはいい難いところがあります。
講演では、政策の合理化や意思決定の難しさについての言及がありましたが、花巻市ではそもそもどのように政策が決定されているのかが不透明であり、行政評価等を踏まえたスクラップ&ビルド徹底していない中ではPDCAサイクルは回っていかないと思うので、この研修を参考にエビデンスに基づいた政策立案の必要性について、今後さらに市当局に質していきたいと考えています。

地方議員研究会主催「地方公共交通セミナー」

1.期日   令和6年3月27日(水)
2.研修先  国際ビル2階リファレンス(東京都千代田区)
3.内容
   「高齢化の進展・人口減少に対応したまちづくり」
   「地域公共交通活性化再生法の改正と地域公共交通」
    早稲田大学スマート社会技術融合研究機構 電動車両研究所
                   研究院客員准教授 井原雄人氏

花巻市では令和6年度から令和10年度までの5年間を期間とする「地域公共交通計画」がこの度策定されましたが、私は「地域公共交通はこれからのまちづくりにおける最重要課題の一つである」と考えており、専門家の方から「地域公共交通」について学ぶべく、年度末の忙しいときではありましたが研修会に参加しました。

講演の中で、講師の方から「地域公共交通を交通事業者の内部補助を含む経営努力や自治体の赤字補填だけで維持することは困難となっている」という指摘があり、「地域公共交通を移動手段としての価値だけではなく、地域資源と組み合わせることでまちづくりの手段としての価値を見出す必要がある」とのお話がありました。
確かに、地域公共交通を整備することは、外出促進やそれに伴う健康増進、買い物手段の確保、交流機会の創出といった地域住民の課題解決のみならず、観光誘客、移住者の受入れなどまちづくりにおける重要課題の解決につながるものでもあります。

講演の事例紹介の中で、地域公共交通を住民主体で話し合うことによって、潜在的な住民ニーズが浮き彫りとなった事例の説明がありました。

ある住宅地域のコミュニティバスの話です。
その地域のコミュニティバスは、朝、地域住民が住む住宅街の複数の停留所から地域住民を乗せ、病院や公共施設、地域住民がよく利用するスーパー近くの停留所まで運ぶのだそうです。
コミュニティバスの運営者は、そのスーパー近くの停留所への到着時間を、スーパーの開店時間である10時にするようダイヤを組んでいました。
ところが、地域住民によるワークショップを開催したところ、複数の住民からそのダイヤに不満が出たとのことです。

地域住民によると「そのスーパーでは開店から前日の残り物などを特価で売り出す。開店時間にスーパーについたのでは特売に間に合わない」とのこと。

わがままにも聞こえなくもありませんが、高齢者にとっては買い物自体が楽しみの一つでもあります。コミュニティバスですから、そういった細やかな地域住民の声を取り入れてダイヤを組むというのも必要なことです。

地域住民の声を受けて、スーパーの開店時間の15分前にスーパー近くの停留所に着くようにコミュニティバスのダイヤを見直したところ、今まで以上にコミュニティバスを利用する人が増え、結果、住民の外出促進につながったばかりか、コミュニティバスを利用する住民どうしのつながりもできたとのことでした。

花巻市では新たに「地域公共交通計画」を策定しましたが、地域説明会を開催して住民の声を聴いてはいるものの、あくまで「聴いて計画を修正する」ことが主眼であり、現状、住民どうしの話し合いなどは行われていないようです。
「地域公共交通計画」を実践していくうえで、住民が納得した形で進めるためにも、ぜひ「地域住民の話し合いの場」は必要と考えます。

これは一例ですが、今回の研修では、他にも花巻市にとって参考となる事例がたくさんありました。
今後、この研修の事例などを参考に、地域公共交通について市議会一般質問等の場において取り上げ、市当局に「花巻市の地域公共交通のあり方」について提案していきたいと考えています。

次回も研修報告します

以上、2つの研修の内容を紹介しました。
次回は、もう2つ研修事例を紹介したいと思います。
  

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