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「花巻市市民参画条例」修正案否決

12月7日(木)、花巻市議会12月定例会の議案審議が行われました。

今回は、その議案の一つ「花巻市市民参画条例」の審議についてご報告したいと思います。

不十分な「花巻市市民参画条例」

私は、前回の記事及び6月議会一般質問(市民参画について)という記事の中で、この「花巻市市民参画条例」の市当局の案では不十分だと再三指摘してきました。

それは今回の条例案が、「市民参画を推進する規定がない」「重要な計画・条例の策定に関し、市民が企画段階、素案段階から関わっていく規定がない」ものとなっているからです。

私は今回提出された「花巻市市民参画条例」の審議の際、「6月議会において一般質問をした際、市民参画の推進について検討すると話していたが結局今回の条例案には記載されていない。半年間の検討の経緯と今後どうやって推進していくつもりなのか」と質問をしました。

地域振興部長と市長が答弁しましたがよくわからない内容の答弁で、私もちゃんと聞き取れていないのですが、市の考えは「最高規範であるまちづくり基本条例に市民参画の推進は規定してある。規定してあること以上のことは市民参画条例では規定できない。市民に対して、市民参画をしろというような強制はできない」ということと理解しました。

花巻市まちづくり基本条例に「市民参画の推進」が定義されているとはどうしても読み取れないのですが、おそらくこういったスタンスであれば、市民参画が進まないのもやむを得ないでしょう。つまり、今回の条例は、
1.市は市民に対して市民参画の機会を保障する。
2.市民が市民参画するかどうかは重要ではない。
3.市は市民参画の結果に基づき、粛々と計画を進め、条例を制定する。
ということを明文化したものと言っていいと思います。

私のほかにも何人かの議員の方が質問をしました。
質疑を聞いても納得のいくものではなかったので、私と私の考えを同じくする会派の議員で、緊急動議で修正案を提案しました。


動議で提案した修正案のポイント

修正案のポイントは大きく2点あります。
① 「市民参画の推進」を市の執行機関の責務とする。
② 市民参画において計画等の立案から市民が関わっていく内容とする。

分かりにくいのでポイントごとに当局案と修正案を比較してみたいと思います。

(市の執行機関の責務)

○当局案
第4条 市の執行機関は、市民参画の機会を保障するとともに、市民参画の手続において、説明責任を果たすよう努めるものとします。 

○修正案
第4条 市の執行機関は、市民参画の機会を積極的に提供し、市民参画を推 
 進するものとします。
2 市の執行機関は、市民に対して市政に関する情報を積極的に、かつ、分
 かりやすい形で提供し、市民との情報共有に努めるものとします。
3 市の執行機関は、適切かつ誠実に説明責任を果たすよう努めるものとし
 ます。
4 市の執行機関は、市民参画に関する調査及び研究を行うとともに、市民
 参画に対する市民の意識を醸成するよう啓発に努めるものとします。

当局案が「市民参画の機会の保障」「説明責任」のみ規定しているのに対し、修正案では「市民参画の機会を保障」するのではなく、「市民参画の推進」「市政の積極的な情報提供と情報共有」「説明責任」「市民参画に関する市民の意識の醸成」を規定しています。 


(定義)
第2条 (3)市民参画

○当局案
 まちづくり条例第2条第3号に基づき、市民が、主体的にまちづくりに参加し、その意思決定にかかわることをいいます。

○修正案
 市の執行機関の政策等の立案から実施、評価、改善に至るそれぞれの段階において、市民が主体的に参加し、その意思決定に関わることをいいます。

当局案では「主体的にまちづくりに参加し、その意思決定に関わること」と定義しているのですが、これはまちづくり基本条例第2条第3号の「参画」の定義と同じことを言ってるに過ぎません。
一方修正案では、「具体的に政策等の立案から実施、評価、改善に至るそれぞれの段階において主体的にまちづくりに参加し、その意思決定に関わること」と定義しています。

修正案は「市として市民参画を推進し、政策立案の段階から市民が関わる」ことに力点を置いているのをお判りいただけたでしょうか?


修正案の否決と市当局案の成立

動議は認められ、修正案、市当局案の審議となりました。
私は、修正案に賛成の立場で討論をいたしましたが、結果修正案に賛成7票、反対18票で修正案は否決。
市当局案が成立しました。

今回の修正案のスタンスは、市当局案を否定するのではなく「この修正案の方がよりわかりやすく市民参画も推進できる」という前向きな提案だったにもかかわらず、否決されたのは非常に残念でした。
政治は結果がすべてであり、修正案に反対した議員の考えを変えるに至らなかったのは我々の力不足であったと反省をしています。

しかしながら、これまでであれば、当局案に反対するだけであったものを対案を出して市当局と対峙したことに大きな意味があったと思います。
これまで「賛成」or「反対」の二者択一がほとんどだった現状から、「修正案」でより良いものにしていこうという今回の動議が、硬直した花巻市議会の活性化の嚆矢となることを願ってやみません。

勝負でいうと今回は完敗になりますが、まだ、今回成立した「花巻市市民参画条例」に魂を入れていく作業が残っています。
引き続き市民のために汗をかいていこうと思います。

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