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6月議会一般質問(市民参画について)

ご無沙汰しております。

花巻市議会6月定例会は6月16日から開会いたしまして、6月21日に私、一般質問をいたしました。

今回、その内容の一部についてご報告したいと思います。

「市民参画条例の制定について」

 みなさん、花巻市では市民参画条例の制定について、検討しているのはご存じですか?

 おそらく、大半の人が

 「なんじゃそれ?」「これって何か私たちの生活に影響があるの?」
 
 と思ってるんじゃないでしょうか?


 そうなんです。

「市民参画」という聞きなれない言葉に加え、市民が「自分たちで街をつくる」という意識が醸成されていない花巻市においては、市民参画条例に関心がないのも仕方ありません。

第2次まちづくり総合計画の市民アンケートにおいても、
「参画・協働のまちづくり」分野は、重要度や不満足度の数値が低く、政策の優先順位としては最も低いランクに分類されています。 


そもそも、参画とか協働というのは、政策以前に、
「まちづくりの基本理念であり政策の優先順位として比較すべきものではない」というのが私の持論ですが、それはともかくこれまで行われてきた市民参画については、「パブリックコメント」や「説明会」など、2つの市民参画の手法を用いて市民の声を聞けば、それでOK!という事例が散見され、重要な計画や条例、公共施設の建設などに本当に市民が参画しているの?という疑問がぬぐえませんでした。

これまでの市民参画については、市が作成したガイドラインに基づいて行われてきました。

https://www.city.hanamaki.iwate.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/003/510/guide20210401.pdf

これまでガイドラインであったものを条例化するのですから、本当に市民が参画できるような条例化に大きな期待をかけていたところですが、示された素案がこちら

花巻市市民参画条例(素案)
(趣旨)
第1条  花巻市まちづくり基本条例(平成20年花巻市条例第24号。第2条及び第5条に おいて「まちづくり条例」という。)第12条第2項の規定に基づき、市民の参画に関する基 本的な事項を定めます。
(定義)
第2条  この条例において、次の各号に掲げる用語の意義を定めます。
(1) 市民  市内に居住する者、市内で働く者、学ぶ者、活動するもの及び市内で事業を営 むものをいいます。
(2) 市の執行機関  市長、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、農業委員会及び固定 資産評価審査委員会をいいます。
(3) 市民参画  まちづくり条例第2条第3号に基づき、市民が、主体的にまちづくりに参 加し、その意思決定にかかわることをいいます。
(4) 意向調査  市の執行機関が広く市民の意見等を把握し分析するため、当該事案に係る 調査項目を設定し、定めた期間内に市民から回答を求めるものをいいます。
(5) パブリックコメント  意思決定過程で必要な情報を公表し、市民に意見を求め、これ を考慮して意思決定することをいいます。
(6) 意見交換会  住民説明会、公聴会その他の市民の意見を聴くこと又はフォーラム、シ ンポジウムその他の市民と意見を交換することをいいます。 (7) ワークショップ  市民が主体性をもって研究・議論することをいいます。
(8) 審議会 その他の附属機関 地方自治法第134条の4第3項の規定に基づき設置する 附属機関のことをいいます。
(市民の責務)
第3条  市民は、自らの意見と行動に責任をもって、市全体の利益を考慮して市民参画に努 めるものとします。
2  市民は、市民参画に関する市民相互の自由な発言を尊重するよう努めるものとします。
(市の執行機関の責務)
第4条 市の執行機関は、市民参画の機会を保障するとともに、市民参画の手続きにおいて 、説明責任を果たすよう努めるものとします。
2 市の執行機関は、市民参画の手続きにおいて、市民にわかりやすい情報の提供と、市民 との情報共有に努めるものとします。
(市民参画の対象)
第5条 まちづくり条例第12条第1項に定める市民参画の対象は、次の各号に掲げるもの をいいます。
(1) 市の基本構想、基本計画その他の基本的な事項を定める計画の策定又は変更
(2) 市政に関する基本方針を定める条例の制定、改正又は廃止
(3) 市民生活に重大な影響を及ぼす制度の導入、変更又は廃止
(4) 市民に義務を課し、又は市民の権利を制限する条例の制定、改正又は廃止
(5) 公共の用に供される大規模な市の施設(規則で定めるものに限ります。)の計画の策定 又は変更
(6) 特定の地域(花巻市コミュニティ地区条例(平成22年花巻市条例第42号)別表に 規定するコミュニティ地区の区域の一つ又は複数の区域)を対象とし、前2号のいずれ かに該当する事項
(7) 市の執行機関が特に必要と認める事項
2 市の執行機関は、前項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する場合につい ては、市民参画を行わないことができるものとします。
(1) 軽微な事項として規則で定めるもの
(2) 緊急に実施しなければならない事項
(3) 法令の規定により実施の基準が定められており、その基準に基づき実施する事項
(4) 市の執行機関の事務処理に関する事項
(5) 市税の賦課徴収その他金銭の徴収に関する事項
(市民参画の方法)
第6条 市民参画の方法は、次の各号に掲げるものとし、対象となる計画又は条例等に応じて2以上の方法により行うものとします。
(1) 意向調査の実施
(2) パブリックコメントの実施
(3) 意見交換会の開催
(4) ワークショップの実施
(5) 審議会その他の附属機関における委員の公募
(6) 前各号に掲げるもののほか適切と判断される方法
2 市の執行機関は、前項各号に掲げる市民参画の方法を決定したときは、これを事前に公 表するものとします。
(市民参画の実施)
第7条 市の執行機関は、前条第1項各号に掲げる市民参画の方法について、それぞれ適切 な時期に実施するものとします。
2 市の執行機関は、第5条第1項第6号に規定する事項の市民参画の方法を実施するとき は、その地域の市民を対象に行うものとします。
3 市の執行機関は、前条第1項各号に掲げる市民参画の方法を実施したときは、実施状況 を公表するものとします。
(意向調査の実施)
第8条 市の執行機関は、第6条第1項第1号に規定する意向調査を実施する場合は、その 目的を明らかにし、回答に必要な情報を併せて提供するものとします。
(パブリックコメントの実施)
第9条 第6条第1項第2号に規定するパブリックコメントを実施する方法については、市 の執行機関が別に定めるものとします。
(意見交換会の開催)
第10条 市の執行機関は、第6条第1項第3号に規定する意見交換会を開催する場合は、 幅広い市民が参加し、自由に意見を述べることができるよう努めるものとします。
(ワークショップの実施)
第11条 市の執行機関は、第6条第1項第4号に規定するワークショップを実施する場合 は、市民との共同作業を通じて多様な提案を引き出すとともに、当該事案が実現可能なも のとなるよう助言するものとします。
2 前項に掲げるもののほか、市の執行機関は、議題、作業内容及び実施回数の設定並びに 会議を進行する者の選任等を適切に行い、参加者の誰もが自由に意見を述べ、又は議論す ることができる環境を確保するよう努めるものとします。
(審議会その他の附属機関における委員の公募)
第12条 第6条第1項第5号に規定する審議会その他の附属機関の開催及び会議の公開並 びに会議結果の公表については、市の執行機関が別に定めるものとします。
(花巻市市民参画・協働推進委員会の設置)
第13条 市民参画・協働を推進するため、花巻市市民参画・協働推進委員会を設置するも のとします。
2 前項に掲げる花巻市市民参画・協働推進委員会について必要な事項は、規則で定めるも のとします。
(市民参画の点検及び評価)
第14条 市の執行機関は、市民参画によるまちづくりを推進するため、市民参画の手続の 実施状況について点検及び評価を実施し、その結果を公表するものとします。
2 前項に規定する点検及び評価は、前条に規定する花巻市市民参画・協働推進委員会が行 う方法及び規則で定める方法により実施するものとします。
(委任)
第15条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定めるものとします。
附 則 この条例は、令和 年 月 日から施行します。

花巻市市民参画条例(素案)花巻市ホームページより引用

長い引用でごめんなさい。
ガイドラインをご覧いただくとわかると思うのですが、これまでガイドラインにより実施してきた市民参画の方法と大きな変化はなく、花巻市まちづくり基本条例第12条第2項に「市民の参画については、別に条例を定めるものとします」と書いてあるからつくっただけ、と言われても仕方のない内容となっているものです。

もちろん、職員の方が一生懸命ご尽力され、条例化までこぎつけたのには敬意を表します。
しかしながら、条例化するには、市民参画の何が課題で、どう市民参画を変えていくのか?という視点がなければ、これまでの市民参画と何も変わらない。

つまり、本当に市民の参画が図れる条例なのか?ということが問題で、私はこの市民参画条例について、次の2点について質問をしました。

① パブリックコメントの結果について
 6月8日までを締め切りとしているパブリックコメントについて、その件数と主な意見について伺う
 
② 市民参画条例制定の目的と制定後の参画の進め方について


①についての市当局の答弁では、
 パブリックコメントは3件寄せられており、その内容は下記のとおりとのことでした。

・振興センターや図書館などに計画や条例の素案をファイルなどに閉じて配布しているものについて表示の工夫を求めるもの
・社会情勢が大きく変動する中、地域が抱える課題や市民と市が協働を推進するための計画の策定を求めるもの、並びに市民が市長等に対して地域の社会課題を推進することのできる政策公募手続きに関する内容を条例に盛り込むことを求めるもの
・条例素案では、市民が積極的に市政に参画することにはほとんど触れておらず推進の方法も明示されていない、また、市民参画・協働委員会においても市民参画・協働の推進についての議論は行われていないので、条例に位置づけるよう求めるもの

②については、今回の条例化の目的は、ガイドラインで示されているものはあくまで内部規定であり、今回条例化することによって、規範となるとともに、市民参画を市の考えとして明確化していきたい。
条例で定める市民参画の対象とするものにあてはまらない場合についても、市政の推進に当たっては、市民の意見を聞くということを基本原則として明確にしたい。

とのことでした。


再質問で、地域振興部長とのやりとりもたくさんしましたが、結論として、

市のスタンスは

・今までの市民参画においては市民参画・協働推進委員会でも評価をいただいており、条例化により、特に変更すべき課題と考えているものはない。

ということです。


私は、パブリックコメントの意見も踏まえ、現在の市民参画については大きな課題があると考えており、次の2点について指摘をいたしました。

・市民の意識醸成がなされていない。条例第4条で市の執行機関の責務の規定があるのだから、そこに「市民の意識醸成」を市の執行機関の責務として規定すべき。


・重要な条例や大規模公共施設の計画については、素案から市民が加わることができるよう、そのプロセスを明確化(明文化)すべき。


時間がなくて、思いのたけをすべて話すことができませんでしたが、結局、今の条例案だと、

①市民参画の手法のうち、2つを市が恣意的に選んで行うことによって、市民が実際に参画しなくても「市民参画をした」というアリバイづくりになる。

②市がほとんどすべて計画して、市民が計画修正しか関与できないことになる。

可能性が高いです。

①については実際に花巻市で開催した意見交換会に住民が誰も参加しなかったという例があります。今の規定であれば、それでも市民参画が行われた、ということになってしまいます。

②については、もちろん専門的な計画や条例等については、骨格や素案を示して市民や専門家の意見を聞くというスタンスが必要だと思いますが、例えば、総合計画とか多くの市民の方が使う公共施設の建設などは、素案の段階から市民が関わっていくべきで、それを明文化(明確化)しておかないと、市が都合のいいように、市民参画を行う危険性があります。

例えば、令和6年度から始まる花巻市の次期総計画における市民参画は、市民アンケートの実施、市民ワークショップの開催から各種団体や地域協議会からの意見聴取を行っており、今後、総合計画審議会等の諮問答申、議会の議決を経て策定されますが、市民参画条例の規定だけでいうと、市単独で基本計画の案をつくってパブリックコメントと総合計画審議会の諮問答申、議会の議決で強引に策定するのも可能なわけです。

つまり、市民にとって都合の悪いような計画も条例も、そして公共施設の計画も、市民参画をやった体にして強行できちゃう。

もちろん現在の花巻市政においてそんなことはないと思いますが、市民が参画する機会をもっと保障するような条例にすべき、ということは声を大にして言っておきたいと思います。


今回も小難しいお話しになってしまいました。

でも、市民参画と協働は、まちづくりの一丁目一番地です。

市民参画条例は、パブリックコメント等の意見を踏まえ、検討していくそうですので、市民参画条例の制定によって、花巻市の市民参画が

「市民の声を聞く」から「市民が積極的に関わる」へ変わる機会となること


を期待したいと思います。





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