かあちゃん楽しい夏休みをありがとう

                             2019秋
今回もこの欄の締め切りを過ぎ、大慌てで原稿をまとめてもう一息という時に、ふと目に入った「かあちゃん楽しい夏休みをありがとう」の文字。クレヨンしんちゃんのポスターのニュースでした。全国のみさえ達の奮闘ぶりに、甲子園球児と似た熱さを感じて涙腺崩壊し、「ああ、これは書かなくちゃ」ともう1日伸ばしてもらって原稿差し替えです。

 小さい子のいる夏のお母さんは本当に激務ですよね。猛暑の中ただでさえいらつくのに、子どものわめき声に対抗しながら3食作り、遊び場へ出かけ、散らかり放題の部屋を整え、たまには電車に乗って遠出もして…。この数週間を乗り越えた母は確実に知恵と筋肉を増やしているはずです。プロかあちゃんは夏にこそ作られるのでしょう。

 さて、広場では数年前から長期休暇の時期は、本来参加できない4歳以上のお兄ちゃんお姉ちゃんも小さなボランティアという形で受け入れています。お仕事は小さい子と遊ぶこと。このスタイルも年々定着してきて、いろいろな効果が見られるようになりました。ふだん凄まじい兄弟げんかをするお姉ちゃんがよその子には優しく接したり、お兄ちゃんの車遊びを憧れのまなざしで見つめるチビちゃんがいたり、若いお母さんと幼稚園児の女子トークが盛り上がる光景も。

そんな中、広場でのあるお母さんの姿に感激しました。彼女は昨年、幼稚園児の上の子の接し方に悩んでいて、相談をしてきました。夏休みに姉妹でやってきたので親子のやりとりを実際見て、いくつか助言をしたりしました。その後も親子や気づきなどを時々聞かせてもらっているうちに夏休みがきて、背が伸び、顔つきもしっかりしたお姉ちゃんがまたやってきました。親子の会話は昨年と比べてとても落ち着いた印象です。そして子ども達が遊んでいる最中、お母さんはとても周りがよく見えていて、どの子にも状況に応じた的確な声かけをしてくれるのです。しかも彼女の魅力である楽しい雰囲気を壊さずに。大人を捕まえて失礼ですが、素晴らしいお母さんの成長です。あっぱれママ!夏は子どもたちだけではなく、大人たちも成長します。一年の成果が花開くのです。どうぞ今夜この夏を振り返って自分が頑張ったことを見つけてください。以前は恋を見つける季節だったけれど、今やプロかあちゃんの実力を身に着ける季節です。

「かあちゃん楽しい夏休みをありがとう」こんな素敵な言葉を我が子から聞けたらどんなに幸せでしょう。もちろん幼い子はこんなことは言えません。でも、日焼けして生命力に溢れたその寝顔そのものがありがとうの印です。間違いなくお母さんの頑張りのおかげで暑い夏を元気に楽しんだ証拠なのですから。

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