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雪組 「CITY HUNTER 盗まれたXYZ」 感想

配信も入れて6回見ての感想。東京の大楽もライビュか配信見る予定。みんなあちこちで色々面白いことしてるから目が足りないし全然足りない。
シティーハンター好きで2.5ミュージカルが好きな友達を誘ったんだけど楽しんでくれて嬉しかった。ハンマーとゲワイとフロッピーに感動してた。

ストーリーは、アフリカの架空の国で起きたクーデターと日本の暴力団劔会とユニオンテオーペ(シティーハンターの世界の悪の組織)の事件が実は繋がってて、それを冴羽獠(彩風さん)と香(朝月さん)たちが解決する、みたいな感じ。ミック(朝美さん)は二重スパイっぽくユニオンテオーペとリョウの間を引っ掻き回してる笑。あとは、リョウ、香、ミックの三角関係。

セクハラかますリョウとそれをハンマーでしばく香はお約束なんだけど、アニメに登場しなかったミックがはっちゃけてていつも面白いことしてる。
朝美さんミックはユニオンテオーペのリーダー 海原神と電話で話すところが初登場。結構テンション高めで話してるのに自分が世界一のスイーパーになるために巨悪と取引してるギャップが良かった。アルマ王女たちが日本に来たことを海原から聞いて「マジかぁ🤩」って言うところは純粋に楽しそう。朝美さんミックが日替わりで面白いことするのは香をアルマ王女たちのところに案内して、アルマ王女の側近が香を男と勘違いして、それに乗って香にヘッドロックかけられたあと。my初日は謎のバタフライ、円盤収録日は腕立て→イマジナリーベビー。ベビーは成長して朝美さんミックにお手振りされながら下手の袖に消えてった笑。リョウと再会して夜の新宿に繰り出すところは後ろのスクリーンに流れる雑誌の表紙が実は見どころ。「明雪」(明星のパロディ?)とか100ton(CanCamのパロディ)とか。100tonは「最凶の着こなし」って書いてあった。朝美さんミックは週刊誌っぽくて「㊙︎シティーハンターの夜の素顔」とか蛍光ピンクで書いてある。あとはキメ顔のリョウとミックが表紙の男性向けファッション雑誌らしきものも。タイトルはHammerだったかな。ショーパブ「ねこまんま」の場面は猫じゃらしみたいなふわふわを持って踊る娘役さんたちに囲まれたり盆が回ってるときに猫耳カチューシャつけたり。さすがハッスルフレンド(命名は冴子)。猫の鳴き声のマネしたり猫耳姿のかわいい娘役さんに囲まれてデレデレしている。ミックはリョウのハッスルフレンドなのでセクハラもかます。リョウよりはマシだけど。香と伝言板の前で再会したときとかアルマ王女の側近のサリナに抱きついてみたり。ミックはリョウみたいな遊び方じゃなくて道歩いててタイプの女の子見つけるて口説きまくってそうな感じ。
ミックの来日の目的はユニオン絡みと香を手に入れること。初見のときは原作の「ターゲットの恋人が悲しまないようにターゲットの恋人を自分のものにしてから殺る」スタンスが輸入されてるのかと思ったけど、最後のI love you for long timeと原作好きな方の感想読んで「あ、本気だったんだ」って納得した。そこに至るまでが結構胡散臭いっていうかミックの本心が見えない。香がリョウに「パートナー失格」って言われて落ち込んでるところにミックは「リョウを見返してやろうよ!」って言うんだけど、オチを知ってると利用してるのと本気で自分のパートナーになってほしいっていうのがわかる。6回見てルサンクの脚本読んで、獠が舞台に現れたところの電話の相手ってミックじゃないかなと思った。物語が始まった時点でミックが海原を裏切ることと香をアメリカに連れてくのは確定事項だったのかな。3回目までは電話の相手は物語に関係ない依頼人Aだと思ってた。グラフ11月号掲載の彩風さんと朝美さんのトークで電話のところからリョウとミックは繋がってるって話してるからどうも正解っぽい。
最後に後ろのスクリーンに流れる彩風さんと朝月さんの漫画イラスト再現、一緒に見に行った友達は「イラストと写真のセット欲しい」って言ってた笑。


キャストについて
私のこれまでの彩風さんのイメージはカリスマ性のあるリーダー(「fff」のナポレオン、「キャプテンネモ」のネモ船長)、DV彼氏(「ワンス~」のマックス)だったけどこんなはっちゃけた役もできるんだなと思ってびっくりした。おちゃらけ主人公(彩風さん)とそれを諌める女友達?(朝月さん)、そして主人公と一緒にふざける主人公の友達(朝美さん)のバランスが良かった。前述の友達が「獠ちゃんあんなしなやかに踊らないし歌わないけどGet Wildの場面はトップスターさんの魂が乗り移ってることにする」とか言ってた笑。宝塚は明るいスケベなら大丈夫なのかな。

朝月さんは作品ごとにめっちゃ化ける。肝っ玉母ちゃんみたいなガブリエル、母性の塊のベラドーヴァとロールヘン、国民的漫画のお転婆なヒロイン香。ハンマーの寸止め感が面白かったです。お稽古とかで当たったりしたのかな笑。朝月さんのガブリエルとベラドーヴァは彩風さんダントンとキャリエールに幸せにしてもらえなかったので宝塚版シティーハンターの獠と香はちゃんとハッピーエンドだといいな。ハンマーのときに大声で叫んでるの見て「こんなトップ娘役って過去にいたのかしらん」って気持ちになった。冴子が獠とイチャイチャしてるところで「失礼!」ってハンマー振り下ろしたあと「あーすっきりした」って言ってるのめっちゃおもしろかった。

朝美さんのミックは「世界中の女の子を食べちゃったけど本気で好きな人には一途」な変なアメリカ人。彩風さん演じる獠とのハッスルフレンド感が良い。ねこまんまのところのチャラくて「ザ・スケベ野郎」な表情がなんか良かった。香をアルマ王女のところに案内したあと「僕がここまでお連れした」でなぜかカッコつけてキメ顔してるのが意味わかんなくて面白い。なんかミックもリョウと似たり寄ったりの(表面上は)パッパラパーな人かと思ったら香の話をちゃんと聞いてくれるのがいいなって思った。香が「パートナー失格」って言われてるところとか。まあ下心ありありなんだけど笑。シティーハンター以前の朝美さんは暖かくて優しい人の役が続いたから新しい一面を見た感じがして新鮮だった。やっぱり朝美さんが演じる役はその後が気になってしまう。ミックのスピンオフ見たいです。私が想像するミックのスピンオフ→「物語から1年後に獠と香に会いに新宿に来たミックがグランマに手相見てもらってその結果が当たりまくって偶然出会った女の子とロマンス」みたいな。原作だとミックはスイーパーを辞めたあとは新聞記者になってる。

綾さん槇村の幽霊感が面白かった。確かにそこにいるのに見えてない。「殺されちまったヤツです」の言い方がなんかよかった。縣さんの海坊主は本物の男かと思うくらいの完成度。ちょっと前は犬だったのに。お皿が割れるところで毎回笑い取ってた。政と葉子のコメディ感がめっちゃ面白かった。同期なので息ぴったり。野々花さんが持ってる小道具のカメラは本物の時もあるらしく、実際に写真を撮ってるらしい。いつか見せてください。政が2回お注射ちっくんされた理由は新公見てわかった笑。夢白さんのプリンセスらしい佇まいと話すと少し子供っぽい感じが良かった。彩さんは一緒に仕事してる織田への当たりがアドリブになっていって織田役の星加さんとノリノリ。

幕が上がる前から賛否両論あったセクハラ描写と斎藤先生の演出について。私はそこまで不快ではなかった。原作漫画を少し読んでたから「こういう感じの漫画なのね」ってわかってたしなんかもう「獠は女好き」が徹底されててその要素が笑いの要素みたいになってる。でも、もしこのシティーハンターの時代設定がもっと今に近い年代、例えば2019年とかだったらセクハラ描写は絶対入れたらだめだと思う。シティーハンターの年代設定は1989年で30年くらい前だから仕方ないと思います。何かするとしたらプログラムに「本作はセクシャルハラスメントを含むハラスメント行為を肯定するものではありません」って注意書きつけるとか。そうやって書いたら何してもいいわけではないけど。
あと「こんなん出ましたけど」とか昭和ネタについては、私は一種のファンタジーとして見てる。私は作品に登場した昭和ネタは政の「親父にもぶたれたことないのに!」(ファーストガンダムのアムロのセリフ)しか知りませんが他のネタは「私が生まれる10年前はこんなのが流行ってたんだな」という気持ちです。昭和ネタはその時代の雰囲気を作り出すための背景みたいなものだと思うので不必要だとは思いません。昭和ネタいらないという感想も見かけましたがそこまで言うことないかなと思いました。感想は人それぞれなので否定はしません。ただ、ミュージカルとかバレエとかそういった創作、表現は様々な国や時代、価値観やその時代に生きた人々の思想も反映されるから「今」の時代に相応しくない表現が出てくるのは当たり前。少し前に古代インドを舞台にしたバレエ作品「バヤデール」がオリエンタリズム的と批判されていたのを見て、それを言ったらオペラの蝶々夫人もバレエのシェヘラザードも海賊もダメってことになるし何でもかんでも今の価値観だけで判断すると過去の素晴らしい物が失われるのでは?と思った。自分が嫌と思ったら見ない選択肢も取ることもできるので闇雲に批判したり作品自体を貶すのは違うかな。
https://twitter.com/yuki_birth/status/1450914970431074304?s=21
多様性はみんなが少しずつ不快な世界

新人公演との違い。配信で東京の新人公演も見ました。本公演がミュージカルなら新公は最近のアニメという印象です。新公メンバーのほうが私と年齢が近いのでそれもあるかも。縣さんは青年漫画の王道主人公そのままでした。彩風さんとの違いはGet Wildの歌い方かな?縣さんはIt's your pain or my pain~のところを原曲寄りの音程で歌ってたと思います。縣さんはお家だか実家に漫画があってそれを読んだって言ってたから多分アニメも見たことあるんだろうな。「冴子たんの犬にもなりまーす」はまじ犬wで「モプシーおるw」ってなった。依頼料として勇気のお守りを返してもらう趣旨の手紙の場面で後ろのスクリーンに裏ピースの縣さんが映るのがじわじわ面白かった。なんで裏ピース笑。香役の音彩さんはセリフの間の取り方が自然で上手かったです。小芝居というか、ハンマーしたあとに小言言うところが朝月さんとは全然違って面白かった。105期は娘役さんの期になりそうですね。彩海さんのミックは朝美さんより闇が深い感じで仕事として人を殺すことに躊躇いが無さそう。最後に空港で香にアメリカ行のチケットを渡すところが朝美さんとかなり違ってた気がする。朝美さんは気持ちは昂ってるけどスマートに余裕持ってチケット渡してた。彩海さんは逸る気持ちを抑えられなくて、とにかく香に一緒に来てほしいのがわかるチケットの渡し方だった。美樹をやってた有栖さん、「キャッツアイラテキャンペーン中なんだけど??」のところで海坊主と政と一緒に笑顔でお客さんに圧かけてて笑った。多分本公演の星南さんはやってないと思う。槇村の幽霊が見えるスケバン女子高生さやか役の麻花さんは槇村の幽霊を殴ろうとして空振りしてるのが面白かった。黒髪ウイッグにセーラー服の麻花さんは少し橋本環奈さんに似てますね。

色々ごちゃごちゃ書きましたが、冒頭に書いた友達がすごく楽しんでくれて、さらに別の友達(加藤和樹さんのファン)も「宝塚のシティーハンター見たい」って言ってくれて私は嬉しいです。


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