夢日記_奇妙な夢話

(ご挨拶)ラブホストーリーを楽しみにしている読者の皆様には、本当に申し訳ない。
ただ、これだけは残したい。残さなくてはならない。成仏しないといけない。そんな義務感に駆られてしまった。
私が本当に見た夢の話を、ここに全て記す。

2021年12月7日午前3:48

誰かが死んだ。
見覚えのない“家族”と思しき約15名ほどの老若男女と旅館にいる。なぜか隣には仲のいい先輩もいた。
旅館の計らいで、死んだ人間の生前を描いた数分間の映像が旅館の中に投影された。
それは、痛いほど綺麗で怖いくらいリアルな作品だった。
血のように真っ赤に熟れた夕日
悲しみが見てとれる程の群青 
全てが綺麗だ。ただ、どこかおどろおどろしい。
何にも形容し難いゾワッとする感覚を覚える。

ただ、死ぬほど美しい


場面が変わる。
目の前には男の子が二人。
兄と弟だと見てとれる。
兄は弟の行動、性格全てに苛ついており「あいつがやることはなんでもない。全て大袈裟だ。」これが兄の弟に対する評価である。

なぜか私は弟についてゆく。
夢の中の景色には見覚えがあり、懐かしさがあった。
それはそのはず、目の前に広がるのは私の地元の景色だったから。

彼はさまざまなものに興味を持った。
自転車にまたがりゆっくり走り出す。
前輪が縁石に乗り上げ、次いで後輪がガッと音を立てる。それでも彼は止まらない。近くにコンクリの壁があるが気づいていない。
「今すぐ彼を止めたほうがいい。絶対に。」
頭で考える前に体が反応し、私は衝動的に彼の行手を阻んだ。

彼を止めたのは理由があった。
私は幼い頃、彼と同じことをした挙句、コンクリに指を豪快に擦り上げ、今でも痛痛しく残る傷があることを思い出したからだ。
私は夢の中で思わず、左手小指の古傷を親指でさすっていた。

彼は恋をした。
「たきぐちはるかちゃん(偽名)」
彼女は何を隠そう、私の初恋の相手だった。
久方ぶりの無邪気なはるかちゃんの姿がそこにはあり、一瞬自分の顔が綻ぶのを実感する。

わたしは気づいてしまった。
彼の行動全てに既視感があるのだ。

そう、彼は‘’私”なのだ。


彼は木の上にリュックを放り投げ、鉄棒をしてる。
リュックの中の携帯が鳴り、彼はヌルッと木を登る。
やばい、嫌な予感がする。
ドンっ!!
鈍い音が鼓膜を震わす。
彼は木から落ち、ひきつけを起こしてる。動けない。息ができない。足からは大量の血が流れている。
そばに兄がいる。
「弟のやることは全て大袈裟だ。だからこんなの大丈夫」
「何を言っている?足から血が出てるんだぞ!彼の黒目は左右に激しく動き、言葉にならない声を発しているんだ!はやく病院に連れて行け!」

兄はようやく事の重大性に気づき走り出す!
急に雨が降り出す、風が強くなる!台風だ!
山なんてあるはずないのに、土石流が彼の行手を阻む。それでも兄は懸命に“私”を抱えて走る!
二人とも死ぬんじゃないか!?

その瞬間、私は頭の中で、もう一つ気づいてはいけないものを悟る。
「私には子供がいるんだ」と。
理由はわからない。そんな覚えもない。でもそれが事実であると何の疑いもなく信じている。

脳内がグチャグチャになり、パニックを起こす。
どうしょう、どうしよう、どうしよう、どうしよう。

隣に誰かの存在を感じ、ハッと振り向く。
そこには黒装束の、口角が嫌に吊り上がった森山未來が私を覗き込んで話しかける。

森山未來「血を流した弟を抱えた兄が、台風の中、走って行く。そんなのできるか?しかもお前は、子供がいるんだってな。お前ならどうする」

どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう…



私は言葉の如く“飛び起きた。
寒くもないのに全身には鳥肌が立ち、口はパサパサで水気がない。
思い出す程リアルで、不気味で、涙が自然と溢れていた。

ただの夢であってくれ

2021年12月17日午前3:48

コンクリートに小指が擦れたときの古傷


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