雪命
降り注ぐ雪にも記憶や想いが降り積もっていく。
それは 人の瞳に映る景色だけじゃなくて。
二酸化炭素と酸素が混じり合う地球で繰り返される摂理のサイクル。
タイミングが違うだけで 高い所から流れて海へ向かい 気化をする。
四季が巡る。
冬に海へ出れば。
空と大地の気温差で冷気は やがて雪雲に変わって白を纏う。
受取先を指定する必要も することもない。
気まぐれに見える軌跡さえも運命で。
一粒の小さな命も今を生きているだけだ。
証明も。
説明も。
語られることを期待しているんじゃない。
アスファルトの上に優しく横たわったままで 反射する今を見つめている。
あなたが誰かを想うように。
私にも誰かを想った朧げな記憶があるだけ。
凍える両手に息を吹きかけて。
歩く両足を見送る。
水に戻る その頃までに 何度擦れ違えるだろう。
春の陽射しが私を海に届けるまで。
他の誰かと巡り合う その時まで。
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