【第59回】どうせ、さわやかのハンバーグって言うほど美味くないんでしょ?
「さわやか」という静岡県のみで展開するローカルハンバーグレストランのチェーン店がある。
その人気は(たぶん)全国に轟き、元号が変わることで10連休となった今年(2019年)のゴールデンウィークでは、なんと9時間待ちという驚愕の記録を残したというSNS上の噂もあるほどだ。某夢の国も真っ青の待ち時間である。
とにかく美味いらしいという噂をよく聞く。
ただ、よく考えてみてほしい。世間はハードルを上げ過ぎなのではないだろうか。人は行列に並ぶ習性があるというし、何より一部の信者が過度に持ち上げているだけなような気もする。得てしてネット上の発言というのは、ごくわずかの一部の情報だけが目立つようになっている。
いくら「さわやか」が人気とはいえ、所詮チェーン店。決してチェーン店が悪いとは言わない。ただチェーン店に求められているのは万人受けのメニューを提供され、どこで食べても同じ味という安定感であるわけで。期待値を大幅に超えた感動と出会うことは、ほとんどありえないように思うのだ。
また「さわやか」の人気メニューであるハンバーグもハンバーグで疑念がある。ハンバーグは確かに美味しい。けれども所詮、ハンバーグという思いもある。ブロンコビリーやいきなりステーキなどのステーキ店における脇役。ハンバーガーのバンズに挟まれるジャンクな存在。そんなイメージが頭をかすめるのだ。
そんな思いを抱いていた「さわやか」。これまで機会に恵まれなかったのだけれども、ついに対面する日がやってきた。
うまっ!!!!
すまない。これまでのすべての発言を撤回をする。ぜーんぶ、嘘。ウソウソウソ。こんな えっせい に まし゛に なっちゃって と゛うするの。
間違いなく今まで食べたハンバーグより美味い。
100%ビーフのハンバーグだから、よくあるファミレスで提供されるツナギの多いものとは全然違う。肉になれなかったニクモドキではなく、肉そのものだ。一般的に食べられているハンバーグよりも固く噛みごたえがあるが、噛めば噛むほど肉汁とともに旨味が溢れ出す。
付け合せの野菜も、ただのおまけではない。じゃがいもはホクホクしており、人参はしっかり甘く、ブロッコリーは食感が良い。そして変わり種のカボチャは柔らかく仕上がっている。ただの付け合せではなく主力級だ。とにかく美味しい。
「さわやか」の魅力はハンバーグだけではない。店の従業員の方々の教育が、しっかりとなされており、コップから水がなければすぐに足してくれたりと、心地よいのだ。
なぜ、こんないい店が静岡県にしかないのかと思ったけれども、静岡に行かなければ食べられないというレアリティがいいのかもしれない。
ぜひお近くに訪れた際だけではなく、「さわやか」を目的にして静岡へ行こう。
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