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【第4回】美容院で僕は微笑む猫娘を見た。

昨日重い腰を上げて、久しぶりに美容院に行った。かなり伸びてきて収集がつかなくなってきた髪を切ったら、やはりさっぱりしたし行ってよかったなと思う。

美容院という空間はおしゃれだ。いい香りも空間に満ちてるし、心地よい音楽もかかっている。普段味わうことのない非日常の空間がそこにはある。

小学生までは祖父に髪を切ってもらっていたし、中学生になってからは近所のおばちゃんのやってる理髪店に通っていた僕には、美容院はちょっと大人の世界に飛び込んだような気分になるわけだ。

けれどもやっぱり美容院は苦手だなと思った。こんなことを書くと美容師さんには申し訳ないなと思うけれども苦手なんだからしょうがない。

そもそも僕は鏡が苦手だ。歯を磨いたりヒゲを剃ったりと身だしなみを整えるときに最低限見るけれども町中を歩く際に鏡があるとできるだけ見ないようにしてしまう。自分自身の容姿があんまり好きじゃないし僕自身の想像している表情と実際に映る表情のズレが嫌な気分になるからだ。だから同様の理由で写真もできるだけ取られたくない。

昔は鏡や写真は本当に嫌いだったけれども大学生になってから少しマシになったし、自撮りは全くできないけれども友人たちとの写真もそれなりに取るようになった。けれども美容院は苦痛だ。何が面白くて自分自身の顔を長時間も眺めていなければいけないんだろうか。

あとは美容師との会話だ。ただでさえコミュ障で緊張しているのに話す相手は美男美女が多くて更に緊張する。会話が広がるような趣味も全然ないし、美容師さんと話題を共有できるような気がしない。実際には話すと結構楽しかったりするのだけれども、行く前はいつも緊張してしまう。そして終わったあとは結構疲れる。

そこで今回は電子書籍を読むことにした。何かを黙々と呼んでおけば話しかけづらいかなと思ったからだ。それに目線を下にするから鏡も見なくてすむ。それに知的な本を読んでおけば何してるんですかと聞かれたときにスゴいヤツと思ってくれるかもしれない。

ちなみにスマホで何しているのか聞かれるなんてことあるのか?と思うかもしれないが、僕は聞かれたことがある。その時は暇つぶしでネタ系のWebメディアを中心に読んでいたのだけれども、美容師さんに「何を一生懸命読んでいるんですか?」と聞かれたときに説明がしづらくて「まあ面白いネット記事を…」言いよどんだ末に「みなさんカット中にスマホで何されてるんですかね」と話しをそらしてしまった。それにネタ系の記事だとどうしても笑ってしまうから相性が悪くてすぐスマホをしまってしまったのを覚えている。

美容院だと雑誌を出してくれるのだけれど、そこに書かれている内容にそんなに興味がなかったりするし、なかなか変えてくれとも言いづらい。そもそもその美容院にどんな雑誌がおいてあるかわからないし。

今回読む書籍は美容院の椅子に座ってから探した。僕はAmazon Prime Studentの会員なので特典で決まった電子書籍を追加料金なしに読むことができるのだ。

何を読もう探しているとあの有名な「ゲゲゲの鬼太郎」の登場人物である猫娘がが書かれた表紙が目に止まった。ゲゲゲの鬼太郎は1960年代から10年毎にアニメ化され現在で6シリーズ目である。シリーズのたびに猫娘のデザインが変更されているため世代ごとに猫娘の認識異なると思うが、僕の目に止まったのは現在放送中の第6シーズンバージョンの猫娘だった。

この最新の猫娘は第6シーズン放映前からTwitterを中心とするネットで話題になっていた。何が話題になっていたかってそのビジュアルの変わりっぷりが凄まじいという理由からだ。これまでは良くも悪くも子供で妖怪という感じだったのだけれども、等身が高くなり大人びて人間に近い今風のデザインになった。要は美少女化したのだ。

現在放映中のゲゲゲの鬼太郎自体は見ていないのだけれど、ネットで流行っていたのを思い出して、ついその本を開いてしまった。
本のタイトルは「ゲゲゲの鬼太郎 CHARACTER BOOK ねこ娘大全」というものだった。

しっかり見てみると確かに可愛い。話題になるのもわかる気がする。僕は第5シーズンの直撃世代だったのだけれども、そのころの猫娘に比べてだいぶ進化している。こんなことを書くと少々気持ち悪いがどうも落ち着かなかった美容院で癒やされた気がした。

それに読み物としても面白く猫娘を中心としたゲゲゲの鬼太郎の歴史や過去や現在の製作者陣や声優のインタビューが掲載されていて非常に面白かった。50年以上愛されているゲゲゲの鬼太郎が持つ魅力は計り知れないものがあるんだろう。

古い作品だからこそ、制作陣はずっと愛されるように守るべきところは守りながらも新しいチャレンジを続けている。今回の猫娘の大幅な等身の変化もチャレンジの一環だったらしい。現にそれが受け入れられて、現在放映中のゲゲゲの鬼太郎の反響はとても良いらしい。本当にすごいことだと思う。

美容院で猫娘が僕に微笑んでくれたように、今日もどこかで猫娘は誰かに微笑んでいるのだろうか。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました! ご支援いただいたお金はエッセイのネタ集めのための費用か、僕自身の生活費に充てさせていただきます。