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断る勇気。

決断力があること。
二つ返事で「はい」と答えること。
かっこいい。こんな人になりたい。
新しい場所・事に踏み出す力、それはその人の強みであり、挑戦心のある人であると評価されることが多い。

その評価は多くの場合、ポジティブな評価だ。
恐れ知らずのチャレンジャーを見て、自分もそうなりたいと憧れる人も多いだろう。

しかし、私は思う。
「断る勇気」
これを持ち合わせている人こそ、真の強さを持っている人なのではないか。

人は毎日、生きているだけで35,000回もの選択をしているそうだ。
それらの選択に対してどれほど自分の意思で「いいえ」と答えて生きているか。


「朝6:00。目覚ましが鳴る。
私は目覚ましを消す。
今日は気持ちが乗らない。
そうだった、昨日から生理になったんだ。
昨日から生理で気持ちが晴れない。しかも曇り空。

でも今日は大事な日。
プレゼンテーションも作ったし、内容もチェックした。
だけど、この状況でうまくできるだろうか。

いやいや、うまくできるかどうかじゃない。
行かなきゃいけないんだ。

そう言い聞かせて重い体をベッドから起こし、目を無理やり覚ますためにアップテンポな曲を流す。
半目のまま自転車を漕いで始まる1日
あぁ今日はどんなご褒美を買って帰ろう。」

これはある日の私。
この朝だけに、たくさんの選択が行われている。

朝起きてから目覚ましを消す。
気持ちが乗らないと認識して、原因を考える。
重たい体と前向きになれない気持ちをなんとか奮い立たせようと音楽をかける。
そして準備のあまり整ってない状態で家を出る。

ここに「いいえ」と言える勇気があったのなら。
今日は気分が乗らないなら、ポップは聴かなくていい。
今の気持ちを無理に上げなくていい。
お仕事だって、なんか大事な日だけど、自分の気持ちも体も大事にしたい。
こういう時に限って小さなミスをたくさんしたり、人に当たってしまったり、いいことはあまり起こらない…
だから「今日は行けません」と伝えよう。

「いいえ」っていう勇気さえあればもっと自分に正直で、心地よい時間が過ごせる。
そんな気がする。

日々の小さな選択から、大きな選択。
どんな選択にも常に「はい」と言えばいいのではない。
それが世の中で言われている「優しさ」かもしれない。
その「はい」で周りの人が少しでも嬉しくなるかもしれない。

でも、「いいえ」もしっかり表明していこう。
それがその人自身をより心地よい場所にできるはず。
自分の心を一番に守れないのは一番やっちゃいけないことだと思う。

そのためにはもっともっと時間に余裕があるといいなと思う。
選択することはもともと難しいこと。
瞬時に決められるから頭がいいということでもない。
命の危険性が迫っているような緊急時にモタモタしてもいいと言っているわけではない。

自分の軸を持って考える時間がそれぞれにあること
「いいえ」と言える余白があること
そんな世界になったらいいなと思う。

断る勇気はなかなか身につけるのが難しい。
特に周りと一緒のことをやるという美学が残っている日本という国の中では、一人だけ違うことをする、調和を乱すものはあまり良く見られないだろう。

だけど、それでもいい。
その「いいえ」に理由があるのなら。
その「いいえ」がその人自身の軸に基づく答えなら。

何も恐れることはないよ。
「いいえ」って言えることも立派な力だから。

どんな選択にも責任は伴う。
「はい」を言うにも「いいえ」を言うにも勇気がいる。

だから、相手が考えた末に答えた「いいえ」は必ず尊重したい。
その答えを出してくれたことに感謝したい。
断れることもあなたの強みなんだよって伝えたい。

そういうオハナシ。




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