月を追う

あの月を追いかけて

となりの化粧品やさん
その隣のとこやさん
おばさんち
靴屋さん
くすり屋さん
本屋さん
横断歩道
銀行
狭い商店街を抜けていく

少し危ない大人の通りにさしかかっても
あの月だけを見ていれば大丈夫。
怖れる事はない。
悪い事をしているわけじゃないから。

駅についた
地下鉄はやめておこう。
走り出した電車が月を追い越してしまったから
あわてておりる。

見知らぬ住宅街を追いかけて
どこにいるのかわからない。
あの月も高くなって
もうどちらに進めばいいのかわからない。

結局
スマホをたよりに
家まで
帰ってくる
あきらめれば簡単な事。

月だけを見つめて追いかけて行ったら
このちょうどいい暗い夜のまま
とてつもなく広い世界と気付かないふりをして
震えずにいられると思ったのに。

あの月は高く遠くに美しく輝いている。

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