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―「天獄」の僕と成るか、「自獄」の支配者と成るか―

天使と悪魔―
似て非なる二つの存在。だが結局のところ、何方も人の魂を求めている。
ただ、天使は自らの主(神)に魂を捧げさせ、悪魔は自らに魂を捧げさせる。

前者に交渉の余地は無く、彼らの要求を一方的に突き付け、飴と鞭を使い分けながら時に力尽くでもって、彼らの主とその教義へ服従させようとする。人の魂を天国へと導くのは、彼らに課せられたノルマである。彼らの上司はまさしく主(神)であり、その上司の為により多くの魂を捧げさせることが彼らの役目であり仕事である。それは崇拝・崇敬・敬愛する相手に対する奉仕であり奉納であり、そのことに対する彼らへの報酬・対価は、崇拝者に対して奉仕・奉納したという自己満足感である。
魂は主とそれが治める天のものでり、彼ら自身のものではなく、皆のものではない。

後者は魂を取引材料とした交渉が可能であり、最終的に彼らに魂を捧げると約束するなら、その対価としてその相手の願いを叶える。
人の魂を地獄へ引きずり込むのは、別に彼らに対して課せられたノルマなどではなく、あくまでも引き渡す相手が、偶偶、地獄に属する者だったというだけである。彼らには、より上位の存在がいたとしても、それに常に隷属している訳ではなく、手に入れた魂をそれらに対して、何の見返りもなく自ら進んで捧げようとはしない。彼らは自らが欲しいから魂を捧げさせるのであり、それが役目や仕事であったりする訳ではない。自らが望むものを手にした・実現したという自己満足感が、彼らの報酬・対価である。
魂は自身のものであり、他の誰かのものではなく、自らより上位の者でもない。

天使は天の獄に、悪魔は自の獄に、それぞれ囚われている。
言ってみれば、片方は僕で、片方は支配者であるという、肩書の違いでしかない。
どちらも「獄」に属している点では同じである。
「天獄」か「自獄」か―
どちらの獄かは分からないが、何にせよ、今のこの世界は獄で在るのかもしれない。

そこに属さずにいれるのは、獄という世界、その盤上を眺める対局者だけなのだろう。そして、彼らはしばしば盤上に無頓着でもある。
何故か―
それは、言ってしまえば、きっと、それらのことは彼らにとって、ただのゲームだからである。

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