「夜明けの道さ」
―KINGDOM HEARTS Re: Chain of Memories Reverse/Rebirth より―
「君の闇は君のものだよ。君の光と同じようにね―」
自身の闇の象徴である宿敵・闇の探究者アンセムをついに倒すも、その身からまだ闇の「匂い」を感じ取ることに、自分はまだ闇に囚われているのかもしれないと、気落ちするリク。
そんなリクに、王様(ミッキー)はそう語りかけ、優しく励ますのであった。
忘却の城を後にした二人の前に、これまでリクを導いてきた謎の人物・DiZが再び現れる。
睨むような顔でリクが問い掛ける。
「今度は何を選ばせる気だ」
「光への道か―」「闇への道か―」
十字路の真ん中に立つDiZは、静かに答える。延々と伸びる分岐路。果たして、どの道へ―
次にリクの口から放たれた言葉は、王様の険しかった表情を、驚きのそれへと変える。
「どっちでもないな」「光と闇の中間だ―」
真っすぐに、力強くその歩を進めるリク。脇を通り過ぎてゆくリクに対し、DiZの口からは、ため息混じりに皮肉めいた言葉が零れる。
「闇夜に続く、黄昏の道か―」
ヒタ、とリクの足が止まる。
「そうじゃない」
「夜明けの道さ―」
振り返ったその表情は、薄っすらと笑みを浮かべた、夜明けを感じさせるものであった。
それまで自身の内の闇に怯え、これを消し去ろうとしてきたリクだが、それを本当の意味で認め、受け入れたことで、自分だけの道を見出し、歩み出したことを象徴するシーンである。
己の陰や影、闇、或いは弱さは、それを認め、受け入れたとき、どちらの道を行くか、その選択の際に「どちらも(選ぶ、あるいは選ばない)」という新たな選択肢を生み出せる、その力、その源泉と成るのかもしれない―
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