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20240818 和室

日本舞踊をしている
けど、武道の稽古みたいに
みんな横一列に並んで
道場を行ったり来たりして
歩く稽古をしている
わたしは足がもつれて
かつての足さばきを思い出せずにいる
あたまがぼーっとして
疲労感もある
わたしはたぶんスカウトされて始めた
だけどその先生は
今わたしをみていないようだ

ここは実家じゃないのに
階段を登る音がすると
いつも母が来るんじゃないかと思う

古い和室のマンション
自分の住んでいた部屋は
ちょうど新しく始めた仕事の
寮があるマンションだったようだ
向かいの部屋を買っていたらしい
ここはまあまあ安いんだってさ
他の人をみたこはないけれど
わたしは芸妓の見習いのような世界に
いるらしい

給料はまだもらっていない
部屋の家賃がどうなるのかも知らない

ある日
明日の朝郵便物を出さないといけない
受付に預けておく
封筒は2枚
大きいのに“ママ”の宛名と
小さいのに続けて送られるわたしたちの住まい
何か小さな箱も入っていて
少し膨らんでいる

昔使っていたのをひっぱり出して
風呂敷に着物を包む
帯板がみえる
明日持っていかなければいけない
たぶん

ここは実家じゃないのに
母親がいて
昔の話をしている
かつて〇〇だったとき
わたしは涙が溢れる
和室の2LDKくらいの部屋
古い畳みの凹んだ感触
電気はついていなくて薄暗い

久しぶりに書を書かなければいけない
姉の書を見て思い出した
古い道具の数々
黒いフェルトの上の半紙に
書かれたそのまま
真善美 みたいなことが書いてある
それをみてわたしはかつての失われた感覚を
少し思い出しそうになる

母がやってきて書を書き始めた
何かの一節を写経のように
急いでいるようでさささっと
書き終えてどこかへ行ってしまった

わたしも書かなければいけないと
自分の道具を見るけれど
揃っていなくて
そこにあるのを借りることにした
下敷きの上の半紙をどかして
上に小さな範囲を載せてみるけど
どうにもがたつくから
しわのある下敷きもどかして
新聞紙の上で書こうかと思う

乾いた硯に水を足す
半紙に向き合ってみると
かつては自然に行っていたなと
からだが憶えていたような気がした
一枚書き出してみたけれど
精神統一ができていないようで
うまくいかなかった

書き直そうとしたけれど
半紙が全然なかった
一枚きれいなのをみつけたけれど
それは本に繋がっていた

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