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残された貴方へ遺すもの

授業の課題だったもの。 自分が死んだときに、大切な人の何かになれるとしたら?というテーマ。    遠ざかる天井。そして短い浮遊感のあと、私は強く頭を打ち付けた。痛い。  雨で濡れている階段を、登りきるまであと一段というところで踏み外した私は、仰向けに落下した。周囲の人の悲鳴を聞きながら、あ、これ死ぬな、と感じた。  大好きなあの人が真っ青な顔で駆け寄ってくる。薄れゆく意識のなかで、最後に見るのがこの人でよかった、なんて馬鹿なことを思っていた。    気がつくと私は真

    • 二時の虹と口笛

      授業の課題だったもの。 三題噺「口笛」「チョコレート」「虹」を使ってストーリーを作ろう、というテーマ。 「ねぇ知ってる?願いが叶う虹の話」  いつもの帰り道。いつもの噂話。噂好きのチヨちゃんはこうして、帰り道に色々なお話をしてくれます。いつもなら聞き流す眉唾物の噂話ですが、今日のお話はなんだか気になってしまいました。 「虹にお願いをするの?」  私が聞き返すのは珍しいものですから、チヨちゃんの目がキラッと輝いて、ズズいっと近づいてきます。 「それがね、ただの虹じゃな

      • 音タピ―音の鳴るタピオカ―

        音タピ。皆さんも一度は耳にしたことのある言葉ではないだろうか。  若者を中心に爆発的な大ブームを起こした、音の鳴るタピオカ――通称音タピ。街のいたると ころで、こぞって飲まれていた様子は記憶に新しい。しかしそんな音タピも、今では見かけるこ とが少なくなった。その理由とは、一体なんだったのだろうか。  この記事では、音タピ――ひいてはタピオカの人気の変遷について語ろうと思う。 (知らない人の為へ補足。タピオカとは​キャッサバの地下茎からとれるでんぷん。それを大粒の

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