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映画 感想まとめ

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映画単体の感想記事のまとめ
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記事一覧

『リトル・ジョー』感想

『リトル・ジョー』感想

 ネタバレ有り

 第72回カンヌ国際映画祭のコンペの一つ。評判はケシシュのが断トツで低いのだが、本作もかなり評判が悪い。別に私も、高評価をするつもりはないが、なぜここまで低いのかまでは分からなかった。
 にしても昨年のカンヌコンペ作が、日本に上陸していないのは、あと三本程度。一昨年のコンペ作はまだ、全然日本に来ていないのに。
 昨年のコンペ作が比較的日本に来ているとはいえ、いまだ『Bacurau

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『WAVES』感想

『WAVES』感想

 ネタバレ有り

 トレイ・エドワード・シュルツ二本目。『イット・カムズ・アット・ナイト』は好きな映画。そして、本作は大好きな映画になった。

 ほぼずっと流れる音楽に、奇をてらったカメラワーク。映像比変化、美麗な映像。全て最高だった。本作の分かれ目は多様な演出にもあると思うが、被害者視点が全く描かれないことにもあると思う。それは確かに、そうなのだが、本作はそういった作品ではない。それを求めるなら

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『ハラボジの家』感想

『ハラボジの家』感想

 ネタバレ有り

 あいち国際女性映画祭にて観賞

 『ハラボジの家』。まず邦題が素晴らしい。"ハラボジ"とは韓国語で祖父。つまり『おじいちゃん家』。原題は『姉弟の夏の夜』。おじいちゃん家で過ごした、姉弟の物語。

 直近だとキム・ボラの『はちどり』を連想させるが、本作の家族仲は『はちどり』より断然良い。姉弟仲(兄妹仲)というものは、なかなか映画では描かれにくいものだと思っている。兄妹を持たない人

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『はちどり』感想

『はちどり』感想

 ネタバレ有り

・『リコーダーのテスト』観賞前 本作は兄弟がいるかいないかで大きく評価が変わるだろう。本作の三兄妹の仲はあまり良い訳ではない。しかし、それはかなり危うい時期を切り取ったに過ぎない。当然この三人の仲の良かった時代や瞬間は存在する。ウニが兄の背に隠れて人見知りしている時期もあったかもしれないし、家族で楽しく旅行をしている時期もあったかもしれない。

 本作は極めて普遍的な作品。特別な

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『透明人間』感想

『透明人間』感想

 ネタバレ有り

 本作は1933年のジェイムズ・ホエール監督『透明人間』のリブートだが、私はリブート元は観賞していない。

 予告編も見ず、事前情報が無い状態で観に行にくことをここまで、推奨する映画も珍しい。

 理解されにくい、精神障害者の苦しみや痛みを可視化するようなつくりが素晴らしく、またエンタメ性にも富み、病院でのアクションシーンはゲームのようだった。

 私は、予告編には全く目を通さず

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『ルース・エドガー』感想

『ルース・エドガー』感想

ネタバレ有り

 本作のテーマが詰まりに詰まったファーストカットから、最後にいたるまで、興味をそがれることはなかった。所詮一人の人間が見ているものは、一部であるし、見せられているもの、また見ようと試みたものも一部に過ぎない。神の視点で描かれることがない本作だが、ファーストカットのみは、誰の視点でもない。しかし、神の視点というのも違う。我々はロッカーの一部を見せられ、ただ"何かが入った紙袋"が入れら

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『ナイチンゲール』感想

『ナイチンゲール』感想

 『ゲーム・オブ・スローンズ』でリアナ・スタークを演じたアイスリング・フランシオシ主演。
 ナイチンゲールは鳥の名前でもあり、比喩として美声の人を指すそうです。どうしても日本人は看護師で偉人のフローレンス・ナイチンゲールを連想してしまう。国問わないかもしれないけど。

 ネタバレ有り

 何の知識もない状態で観に行った。「女性が復讐する話」程度の情報だけで、舞台がどこなのかも理解していなかった。

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『リトル・ウッズ』感想

『リトル・ウッズ』感想

 日本では劇場公開されず、DVDスルー。ちなみに、正式な邦題は『ヘヴィ・ドライヴ』。邦題も宣伝も予告も映画からかけ離れていて最低。
 本作をスリラー、サスペンス、アクション映画とは思わないように。全然違う。

 主演はテッサ・トンプソンとリリー・ジェームズで、十分ネームバリューのある俳優が務めているが、本作の知名度はとても低い。IMDbでの評価件数は2000件をきっている。そしてエンタメ性の低さか

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『アンカット・ダイヤモンド』 感想

『アンカット・ダイヤモンド』 感想

 私は『神様なんかくそくらえ』でサフディ兄弟にベタ惚れした。『神様なんかくそくらえ』を観たときは、まだ映画を観はじめた頃だったが、日本版のDVDのジャケットが目にとまったのと、東京国際映画祭でグランプリを受賞したとのことで観賞した。今まで観たことがない映画だった。映画に対して全く詳しくない者としても、ここまで荒さを意図的に狙っていることが衝撃的だった。描かれる人物にストーリー。けたたましいサウンド

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『ミッドサマー』感想

『ミッドサマー』感想

 劇場公開版とディレクターズカット版を観賞した。

 ネタバレ有り

 本作を観て感じたことは主に二つ。表面的な人間関係と薬物または、それ以外への依存。

①表面的な人間関係 一つ目の「表面的な人間関係」について。

 生きていれば、誰もが経験しうることだろうが、よくつるむ者たちの中には中心的な人が大抵いる。
 その人がそのグループを繋いでいるし、保たせている。しかし、その中心人物がいなくなったと

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