映画記録「鳩の撃退法」

数年前に仕事で富山へ出張に行ったことがある。
富山駅近くの商店街で夜ごはんを食べた。
その商店街にポスターが貼られており、それが「鳩の撃退法」だった。
藤原竜也さんが真ん中にバーンと、不敵な笑みで写っている。
気になるじゃない!!

とは言いつつ、映画公開時は怒涛の仕事忙しさだったので、観に行けなかった。
ある日、他のprime videoを観ようとしたところ「鳩の撃退法」のCMが流れた。
それが「この男が書いた小説は現実になる」というキャッチフレーズ。
フィクションがノンフィクションになっちゃう系の、不可思議で魅力的な謎には抗えないんだよ……という気持ちで視聴しました。

小説を読んでいるような感覚の映画だった。
登場人物の説明はなく、一家失踪事件から物語が始まる。

この映画は二つの事件が絡む構成になっている。
ひとつ目は、冒頭の一家失踪事件。
家主の男と主人公は深夜の喫茶店で会う顔見知りだった。
ふたつ目は、偽札事件。
古書店の主人が主人公に遺したお金が、偽札だった。
なぜ血のつながりもない古書店の主人が、主人公に遺したのか、という謎に加えて、なぜ偽札なのかという点。
この辺りが絡み合って、にやけたくなるミステリー映画だった。

藤原竜也のクズ演技が上手すぎて、天才小説家であるという設定に気づけなかった。
この小説家はなんてクズなんだと思いながら観ていたよ……。
天才小説家だから「この男が書いた小説は現実になる」っていうキャッチフレーズだと思われます。
これから視聴するなら、天才小説家が主人公であると知ったうえで観ると、より面白いと思います。
けど、主人公のクズっぷりが際立つぜ。

好きなシーンは、偽札がどうして主人公の元へ来たかを明かすシーン。
とても鮮やかで口元が緩んでしまうよ。
途中のバタバタした展開で忘れてしまうような、最初の疑問点がここで解決するのだ。
ああ、そんなシーンあったなあ、というような絶妙な違和感が解かれてスッキリ。

あと、一家失踪の奥様役の女優さんが良かったです。
女が嫌う女の感じがたまらない。
ふにゃふにゃした嫌な女性っぽさが、この映画の中で際立っていた。

ポスターが貼られていた富山の商店街もこの映画に映っていた。
主人公がクズをやらかし、逃げるシーンで……。

小説を読んでいるような緻密さが魅力的でした!

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